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199頁

本の中の世界(ワールドブック)を開いた俺は、カルラを召喚しつつエルヴァンを一度塔に戻す事にした。

カルラに乗り上空を飛びながら辺りを確認したが、海以外に見える物と言ったらレヴィアタンと話した時の小島と、海から出ている岩くらいだろう。

俺は仕方なく、カルラにあまりスピードを出さない様にお願いして飛んでもらった。

その際に、俺が乗ってきた船が港町に向かって帰るように動いていたのを確認し、俺はとりあえず船員達が無事だった事に安堵しつつ先を急いだ。

港町が見えてしまえばこっちのもので、後はカルラの好きな様にスピードを出してもらい帝都付近まで帰ってくる事が出来た。

…相変わらず、カルラはスピードを出すのが好きなんだろう、急旋回をして振り落とされそうになった…。

そうして帝都の近くに降り立った俺は、カルラを塔に戻してエルヴァンを再召喚する。

エルヴァンを召喚すると、


「ではエルヴァンは、ただひたすら冒険者として依頼を達成していってくれ。あまり暴れ過ぎるのも良くないが、少し位なら構わない」


俺はそうエルヴァンに指示を出す。


「分かりましたヴァルダ様」


俺の指示を聞いて、エルヴァンがそう返事をする。


「俺も帝都やジーグで行動するが、もし冒険者ギルドの上の者から話があったなら、報告してくれ」


エルヴァンにそう言うと、彼は頷く様に動いた後先に行くと言って歩き出していった。

俺はそれを見送った後、俺も歩き出して帝都に入国した。

帝都に入国すると、俺はまずブルクハルトさんの屋敷に向かう。

相変わらず、賑やかなだな…。

確か、商談でジーグに行く時には会う事が出来なかったが、今日には帰ってきているはずだ。

俺はそう考えながらブルクハルトさんの屋敷に辿り着くと、俺は屋敷の扉を開いて中に入る。

俺が屋敷に入ると、店番をしている奴隷の女性が慌てた様子で、


「少々お待ちくださいっ!」


そう言って屋敷の奥へ走って行ってしまった。

走らなくても良いと言う前に、先に奥に行ってしまった女性の背中を見送って少しした後、


「お待たせしましたビステル様!」


奥からブルクハルトさんが息を荒くして走って来た…。


「あ、あのあまり急がなくても大丈夫ですよ?」


俺がそう言っている内に、ブルクハルトさんは俺の元に来て膝に手を当てて息を安定しようと呼吸をしている。

とりあえず、ブルクハルトさんが落ち着くまで待っていると、


「この間は、申し訳ありませんでしたビステル様!」


ブルクハルトさんが謝罪を言葉を放ってきた…。


「別に怒ってないですし、ブルクハルトさんが商談をしてくれているお陰で、助かっている亜人族がいるんです。俺は何も気にしていないですよ」


俺がそう言うと、ブルクハルトさんがお礼の言葉を言いながら何度も頭を下げてくる…。

…怯えさせる様な事したっけ?

そう思ってしまう程、ブルクハルトさんが低姿勢でお礼の言ってくる。

少ししてブルクハルトさんが落ち着いてくると、


「し、失礼しました。ではこちらでどうぞ」


そう言って奥の部屋に案内してくれる。

ブルクハルトさんの後ろを付いて歩くと、いつもの取引をする部屋に案内してくれた。

ブルクハルトさんの屋敷で働いている奴隷の女性が、俺とブルクハルトさんが座るのと同時に部屋に来てお茶を持って来てくれた。

お茶を俺とブルクハルトさんの間に置いてあるテーブルに置くと、移動して部屋の扉の側に立っていつでも指示を聞ける様にしている。

…聞かれてマズい話ではあるが、ブルクハルトさんの奴隷の人なら話を漏らす事は無いだろう。

でも、今戦争の話をする事で戸惑わせるのが駄目かもしれないな。

俺はそう思うと、


「すみませんブルクハルトさん。彼女には今聞かせられる話ではないので…」


申し訳ない気持ちでブルクハルトさんにそう言う。

俺の言葉を聞いたブルクハルトさんは、


「すまないが、少し席を外してくれ」


扉の側にいた女性にそう指示を出す。


「かしこまりました」


ブルクハルトさんの言葉を聞いた女性が、一礼をして部屋から出て行った。

女性が去って行ったのを確認した俺は、


「ありがとうございますブルクハルトさん。それで、今日はとても重要な話があって来ました」


そう話を切り出す。

俺の言葉を聞いたブルクハルトさんは、黙って俺の次の言葉を待つ。


「近い内に、ジーグに住んでいる亜人族が人族に対して戦争を仕掛けるつもりです」


俺がそう言うと、ブルクハルトさんが体を震わせた。

そして、


「そ、それは本当の事でしょうか?」


そう聞いてきた。

どうしたのだろうか、何故か怯えている様な様子をしているブルクハルトさんを見てそう思ってしまう。

俺がそう思いつつ、


「はい。まだ詳しい事は決まってはいないですが、起こる事はおそらく絶対でしょう。まだ俺もやりたい事があるので、明日や明後日みたいなすぐの話しでは無いですが…。それでも、ブルクハルトさんには話をしないといけないと思いまして伝えに来ました。どこまで戦禍が拡がるかは分かりませんので、引っ越しと言いますか、資産や奴隷の移動を出来る限りしておいた方が良いです。それと、ブルクハルトさんが信用している人にも同じ様に伝えて欲しいです。それをお願いしようと思って今日はここへ来ました」


ブルクハルトさんにお願いをする。

それを聞いたブルクハルトさんは、


「ま、まさかそんな状況になっていたなんて…。分かりました、ビステル様の言う通り奴隷の人達は移動させましょう。最低限の人材と私はここに残りましょう。それと信用出来る人へ情報を伝える事も分かりました」


そう言って、少し体を震わせながら目の前に置かれているティーカップを持ち、呷る様に中身のお茶を飲む。

そんな様子を見ていると、


「しかし、戦争ですか…。…ヴァルダ様は、勿論亜人族の陣営に就くのですよね?」


ブルクハルトさんがそう聞いてきた。

その問いに、


「そうですね。俺は亜人族の誇りを取り戻す為に、亜人族と共に戦います」


そう答えた。

俺のその言葉を聞いたブルクハルトさんは、暗い表情をしながら、


「それでは、あの人族の英雄と…戦うという事ですね…」


そう言ってきた。

俺はブルクハルトさんの言葉に、


「あれは、英雄なんかじゃないですよ」


淡々と答えた。


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