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どういう状態なんだ彼は?

燃え盛る炎を身に纏っている男性を見て最初に思った感想が頭の中に浮かんでくるが、話しかけても良いのだろうかと次の疑問が出てくる。

それにしても周りの地面がサラサラなのが気になる。

これは、灰か?

俺がそう思いつつ少しだけ前に進むと、目を瞑って座っていた男性が俺に気がついたのか目を開ける。

そして、


「縺ゅ=縲?≠縺ォ莨壹∴縺溪?ヲ」


口を開いて何かを言った気がするが、それは言葉なのでは無くただの異音にしか聞こえない。

俺が首を傾げると、男性はハッとした表情になり、


「すまないね。ヒトの言葉で話すのを忘れていたよ」


そう言ってきた…。

どういう事だ?

普通のヒトの様に見える目の前の男性は、ヒトでは無いのか?

俺が疑問に思っていると、


「初めましてヴァルダ・ビステルさん。私の名前は、フランメ」


男性がそう挨拶をしてきた。

何故俺の名前を知っているのかという疑問と同時に、フランメという名前に引っかかる。

どこかで、昔何かで聞いた事がある名前だ。

どこで聞いたんだ?

俺がそう思っていると、


「炎使い、そうネットで呼ばれていた時がありました。私は、貴方や戦鬼†無双さんと同じ異世界に飛ばされた者です」


更に男性がそう言い放った。

その言葉に、俺は驚きと同時に彼について僅かにだが思い出した。

俺や戦鬼さんとは違うサーバーで、炎系の魔法か炎属性の武器しか使わないプレイヤーがいるって耳にした事がある。

彼がそうなのか?

俺がそう思っていると、


「貴方に、伝えたい事があります。とても、重要な事です」


彼はそう言って片膝を立てた座り方をし、


「まずは、帝都の皇族の事について話そうか」


そう切り出した。

何で、彼がそんな事を知っているのか気になるが、今は黙って彼の話を聞こう。

俺がそう思って黙っていると、


「私はこの様に炎を纏っている身だ。それ故なのか、炎がある場所ならある程度意識をその炎に移す事が出来る。これはこの世界に来てから知った力だよ。…まぁこの事は後にして、今の帝都の皇帝は皇族じゃない。神に呼ばれ神を愛し神に愛された男、人族と魔族の戦争に終止符を打った者、突然消えた荒らし、閃光本人だ」


予想もしていなかった言葉に、思考が停止する。

閃光、俺の中で聞きたくない名前と完全に一緒だ。


「閃光の名前は有名だ。課金アイテムでスキルのクールタイムをゼロにして、すぐに次のスキルを使う戦法は有名だった。閃光に倒されたプレイヤーは、結局は課金したプレイヤーが強いのかと諦めた。しかし、そんな閃光の戦法に対抗しようと試行錯誤をしていたプレイヤーがいた。数は少なかったが皆があの男の鼻を折ってやりたい気持ちでいたが、どんどんそんな事を忘れて「UFO」の世界から消えていった。おそらく、最後まであの気持ちを宿していたのは君なんじゃないかな?」


男性が優しい声でそう聞いてくる。

そう聞かれた俺は、少し考えてしまう。

確かに、奴との対抗策は考えて実践して完成したと言っても過言ではない出来になった。

戦鬼さんにも協力してもらったし、大剣での戦い方もその事がきっかけで上手く使える様になった。

だが、姿を消したあの男を追っていたかどうかは、少し分からない。

最初はその気持ちがあったが、最後の方はその事を忘れていたほどだ。

俺が昔の事を思い出しながら考えていると、


「…彼はこの世界の神に呼ばれてこの世界に来たらしい」


男性がそう続けた。

神に呼ばれた?


「この世界の神は、陰湿な女神だ。人族と魔族の戦争が続き過ぎた所為で飽きてしまい、異世界…つまり私達の世界から強い人材を連れて来て終戦させたんだ。それだけならまだマシだったかもしれない。しかし、それまでの間に閃光と女神は相思相愛になり、女神は閃光の言う事を何でも聞いてしまう様になった。亜人族を差別しているのも、閃光がそういう風に女神の力で世界を動かしたと言っているのを聞いた」


彼の言葉に追いつけない俺が首を傾げている間にもどんどん話は進んでいき、もっと話がふざけた事になっている。

つ、つまりあの閃光が戦争を止めた人族の英雄で、あの男の所為で亜人族が虐げられる世界になったという事か?

女神はそれを容認しているし、むしろ協力していると?

あまりの想像を遥かに超えた話をされて、思考が停止すると同時に男性の言葉が本当の事なのか疑ってしまう。

すると、


「戦鬼†無双さんと同じような顔をしますね。無理もないでしょう。こんな話、普通の人が聞けば信用出来ないのも当然です」


男性が僅かに笑いながらそう言う。

俺がその言葉にどう返そうか考えていると、


「戦鬼†無双さんは、この話を聞いて驚いた後に納得していました。閃光が「UFO」で活動していた僅かな期間でしたが、それでも閃光の性格の悪さは短い期間でも分かるくらいだと思ってくれた様で…」


彼がそう言ってくる。

確かに、あの男なら他者を差別する事くらい何とも思わなさそうだ。


「…戦鬼さんが貴方を信じたのなら、俺も信じましょう」


俺がそう言うと、男性は軽く頭を下げて感謝の言葉を告げる。

俺はそれを聞いた後、


「帝都の皇帝は閃光、その閃光は魔族と人族の戦争を終わらせた後、女神と一緒に亜人族の差別をする様に世界を変化させた。そういう事で良いんですね?」


彼の言葉を自分なりに分かりやすく確認する。

俺の言葉を聞いて男性が頷く。

それだけ聞けたら、もう俺のやるべき事は決まったと言っても過言では無い。

亜人族の反乱の際に、俺が閃光を止めていれば良い。

倒す事が出来たらしているが、正直女神の力が未知数故に勝てるか分からない。

俺がそう思っていると、


「戦鬼†無双さんは、貴方にこの話をすれば閃光の横暴を止める為に動くだろうと言っていました。故に私は彼が亡くなった後も、ひそかに情報を収集していました。幸いな事に、閃光と女神は自分達に歯向かう者はいないだろうと言い、自堕落に生活しているので容易でした。その情報と、私の見解をお伝えします」


男性がそう言うと、今まで燃え盛っていた炎が少しだけ火力が下がるのを感じた。


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