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レヴィアタンの言葉に、ウンディーネ達は驚きつつも意見を言う事は無かった。

おそらく、レヴィアタンの方が立場が上なのだろう。

唯一意見が言えるウンディーネは、見た感じ参謀とか頭を使う係なんだろう。

そうでないと、マイペースなレヴィアタンだから大変な事になっている気がする。

俺がそう思いつつも、


「ありがとうございます」


猶予をくれたレヴィアタンにお礼を言う。

お礼の言葉を聞いたレヴィアタンは頷くと立ち上がり、ジーグまで航路を案内してくれるというのでヨルクに乗ろうとすると、


「大き過ぎ、私に乗れば良い」


レヴィアタンが海に入りながらそう言った。

レヴィアタンの言葉を聞いたウンディーネが驚いた声を出すが、レヴィアタンは特に気にした様子も無く海に入って行くと、体をどんどん変化させていって戦った時の姿に戻った。

俺はヨルクにお礼を言い塔に戻すと、失礼しますと言ってからレヴィアタンの背中に乗る。

最初に思った事は、想像通りの硬さだなと感じた。

手で触れると鱗の硬さの下に、蛇特有の筋肉の撓りを感じる。

その様子に感動をしていると、


「何触ってるんですか…」


レヴィアタンの隣を滑る様に移動しているウンディーネが、ジトーッとした目で俺の事を見ながらそう聞いてきた…。


「いえ。………すみません」


俺が謝罪の言葉を口にすると、ウンディーネがため息を吐く。

そういえば、彼女は何て名前なのだろうか?

俺はそう思い、


「ウンディーネさん、お名前は?」


ウンディーネにそう質問をする。

すると、


「人族に名前を教える事なんてしない」


冷たくあしらわれてしまった…。

言い方が変だったのは自覚していたが、おそらくそれ以外が問題だろう。

周りを泳いでいるマーメイドや飛んでいるセイレーン達も、俺とはあまり友好的な感じではない。

視線すら向けない様にしているのが分かる。

俺がそう思っていると、少しして島と山が見えてきた。

高さからして、結構高い山だと想定する。

俺がその景色を見ている内にレヴィアタンがどんどんその島に近づいていき、他のモノも見えてきた。

港なのか、船が停留しており建物も建って光景が見えてきた。

すると、


「アレ、ジーグ、ツイタ」


レヴィアタンがそう言ってきた。

レヴィアタンの大きさと速さのおかげで、意外に早くに到着する事が出来た様だ。


「ありがとう。ここで大丈夫です。後は自分で行けます」


これ以上人族の俺と一緒にいるのは嫌だろうと思ってそう言ったのだが…。


「ジーグ、オクル」


レヴィアタンがそう言って動きを止めずにジーグの港まで行こうとする。

…この体が港に入るのは大丈夫なのだろうか?

港に止まっている船に体が当たりそうだが…。

俺がそう思っていると、レヴィアタンが方向を少し変えて進み続ける。

流石に港には入らない様で、少し安心した。

このままレヴィアタンが港に入ったら、凄く目立ってしまってジーグに潜入している帝都の騎士達に目を付けられてしまうところだった。

俺がそう安堵している内にレヴィアタンは島の近くまで俺の事を運んでくれて、俺はレヴィアタンとウンディーネにお礼を言ってからジーグの地に降り立った。

周りにいたセイレーンやマーメイド達は目立つという事で、少し離れた所でレヴィアタンとウンディーネが俺を置いてくるまで海で待っている状態だ。


「ありがとうございました。次に会う時は、信用される様な話を持ってきます」


俺がそう言うと、ウンディーネは何も返事をせずにセイレーン達の待っている場所に行ってしまい、


「キタイ、シナイ、ガ、タノシミ、シテル」


レヴィアタンはそう言ってウンディーネを後を追う様に行ってしまった。

俺は遠ざかっていくレヴィアタン達の後ろ姿を少しの間見送った後、改めてジーグの港に行く為に歩き出した。

幸いな事に港からそこまで離れている訳でも無いし、岸沿いに歩けば着けるのは確認していた。

それにしても、結構森が深そうだな。

俺は足元に注意しながら、海とは反対側の森に視線を移す。

青々しく育っている草木は風に揺られて心地よい音を出しており、それに加えて波の音も聞こえてくる。

天気が荒れた日は大変だろうが、今日の様に天気が良く風が程良く吹いている日は気持ちが良いだろうなと思う。

そんな事を考えている内に港に着くと、


「おぉ~」


俺は感嘆の声を口から漏らした。

皆亜人族、どこを見ても獣耳、もふもふの体毛、鋭い牙、手入れされた爪、種族毎の特徴が見渡す限り続いている。

なるほど、ここが天国か…。

俺がそう思っていると、ふと視線を感じる。

しかも、1人2人とかでは無い、数えられないくらいの視線を一気に感じ取る。

見ると、俺が眺めていた亜人族は歩きながら、作業をしながら、子どもを引き攣れながらも俺の事を鋭い視線で見ている。

仕方がない、俺は人族でありここの人達からしたら避ける相手である。

危険に自ら入って行く者はいないだろう。

俺はそう思うと、


「すみません、少し聞きたいのですがよろしいですか?」


あまり敵意を出していない男性に、低姿勢で話しかける。


「…何ですか?」


少し警戒されてしまったが、話を聞いてくれそうだ。


「ここから一番近い町は、どの様に行ったら良いですか?」


俺がそう聞くと、


「それなら、あの道を進んでいけばすぐに着くよ」


男性が、まばらに人が進んでいく森の道を指差しながら答えてくれた。

彼にお礼を言うと、俺は港を離れてその道を進んでいくのだが…。

やはり少し離れた所から視線を感じるし、少し疲れた様子を装って装備を変えるか。

俺はそう判断すると、道に転がっている岩に腰掛けると少し視線をキョロキョロさせる。

先程も感じた穏やかな空気を感じつつ、人が自分を追い抜いて行くのを見て過ごし、僅かにだが人が全く来ない時に装備を変えてフードを被る。

不審者に見える可能性もあるが、それでも敵意ある視線よりはマシだな。

俺はそう思うと、岩から立ち上がり先に行った人達と同じ道を歩きだす。

そうして少し歩き続けた後、拓けた場所に到着した。

亜人族の街、虐げられていない自由に過ごしている亜人族が楽しそうに生きていた。


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