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189頁

レヴィアタンが動き出すと、ウンディーネが動いて船の元に行き水面に浮かんでいるセイレーンやマーメイドを起こし始める。

体が大きいから、あまり急がなくても追いつけるのか。

ウンディーネがあまり急いでいない様子を見てそう思うと、俺も一度船の人達の様子を見る為に船の甲板に戻って来た。

船の甲板には倒れている人達はいるが、皆擦り傷程度の軽傷に済んでいる所を見ると、彼らが気絶した理由は俺の威圧スキルの所為な気がする…。

まぁ、一応死人出ていないし良いか。

俺は一安心すると、ヨルクに飛び乗ってレヴィアタンを追いかける様にお願いする。

ヨルクは俺の言葉に返事をする様に鳴き声を出すと、俺を後頭部?辺りに乗せてレヴィアタンを追う為に泳ぎ出す。

ウンディーネ達も次々と仲間を起こす事が出来、俺とヨルクを囲う様に並走してレヴィアタンの後ろを泳いだり飛んだりしている。

そうして着いた場所は…。


「小さな島だな」


おそらくすぐに一周出来てしまいそうな島だった。

ここからジーグに行くにはどう行ったら良いのだろうか?

俺が少し不安に思っていると、


「話、聞こう」


後ろから声を掛けられて振り返ると、


「?」


ウンディーネでもマーメイドでもない人物が立っていた。

いったい誰だろうと疑問に思いながら見つめていると、彼女の服装から晒している肌に視線が行く。

そこには、僅かな鱗模様が残っている。


「まさか、レヴィアタン本人なのか?」


俺が動揺しながらそう聞くと、


「そう、海の姿だと話しにくい、だから陸に案内した」


レヴィアタンがそう言った。

…マズい、悪い癖が出そうだ…。

俺はそう思いレヴィアタンから少し視線を外す。

こうでもしないと、おそらく彼女の周りをグルグル回って彼女の体を何度も見てしまうだろう。

俺がそう思っていると、


「話して」


レヴィアタンが砂浜に座り、俺にそう促してきた。

俺も砂浜に座ると、海の方から俺の事を監視してくる視線を感じつつも、


「俺は、ジーグにいるセンジンという人に会うためにあの船に乗っていました。元々あの船はレヴィアタン、貴女を討伐するために用意された船でした。ジーグに行くと教えられたので、おそらく貴女を討伐出来たらジーグで食糧補給や船の損傷を直すつもりだったのではないですかね。俺は、ジーグでこれから行おうとしている反乱の事も知っています、詳細はまだ知らなくてそれを聞く為にジーグへ行くつもりだったんですがね」


自分がどこまで亜人族の国ジーグの事情を知っているかを説明し、まずは向こうが話をしようと思ってくれる様に信用を得ようとする。

俺の言葉を聞いたレヴィアタンは頷き、それに続いてウンディーネの方を向く。


「事情は分かりましたが、それでも貴方がレヴィに攻撃したのは事実。それについてはどういうつもりですか?」


レヴィアタンに変わって質問をしてきたウンディーネの言葉を聞き、


「第一に防衛の意味がありました。ジーグに行く為には船がないといけません。場所が分かれば、船を使う必要は無いんですが、ジーグのある方角すら知らなかったので…。あと単純に、レヴィアタンと契約したい欲とか色々と……」


俺はそう説明しつつ、本音は少し言葉を小さく言いはぐらかそうとする。

しかし、


「何で、私と契約、したいの?」


流石に目の前に座っているレヴィアタンには聞こえてしまい、俺は苦笑しながらも、


「簡単に言えば、貴女の強さと美しさですかね。海の姿での貴女はあの体躯でもしなやかに動いていて、とても綺麗でした。あの重厚な鱗に覆われた体がしなやかに動き、口から覗く牙も白く鋭くて美しかったです。そんな牙の隙間から溢れる炎も、勇ましくて良かったです」


そう答えると、少しだけレヴィアタンが嬉しそうに胸を張る。

それにしても思ったのだが、何故海系の亜人族は衣服が水着なのだろうか?

今目の前で胸を張っているレヴィアタンも、胸周りの肌の露出を抑えている水着に、腰にパレオ?みたいな布を巻いている。

しかし普通の衣服に比べれば露出は激しく、目のやり場に少し困る。

何より、彼女の人での姿は鱗模様が出ておりすごく気になってしまう。

俺がそう思っていると、


「レヴィッ!そんな簡単な褒め言葉に乗ってどうするんですか!もっと相手を疑って見てください!」


ウンディーネがレヴィアタンにそう注意する。

その言葉、俺に聞こえちゃ駄目なんじゃないか?

俺がそんな事を思っていると、ウンディーネの言葉を聞いてレヴィアタンが俺の事を見てくる。

すると、


「あの蛇、大きかった、何故?」


レヴィアタンが首を傾げてそう聞いてきた。

動きが可愛い。

俺はレヴィアタンの動きを見て感想を心の中で呟きながら、


「何故と言われましても…。ヨルクはヨルムンガンドというモンスターの種類で、元々の姿があの大きさなんですよ」


レヴィアタンの質問に答える。


「レヴィッ!そんな関係ない事聞いてる場合じゃないでしょッ?!」


ウンディーネが海から怒った様な声を出す…。

目の前にいるレヴィアタンは、どうやらマイペースなんだな。

俺はレヴィアタンに怒っているウンディーネの方を向くと、


「俺が信用できないのは理解できる。だから今はあまり信用しなくても構わない。その代わり、1つお願いを聞いてくれないだろうか?」


そう質問をする。

俺の言葉を聞いたウンディーネは俺の事を訝しんでいる目で見つつ、


「何でしょう?」


話を聞こうとしてくれる。


「貴女達海の亜人族もジーグの反乱の事を知っているのならば、僅かに参加はしますよね?」


俺がそう聞くと、ウンディーネは頷きつつ、


「私達は海での警護と運搬を任される予定です。ジーグから帝都のある大陸に行くには、船や私達が必要ですから」


そう答えてくれる。


「私、皆、乗せて泳ぐ」


ウンディーネの言葉に、レヴィアタンもそう告げる。


「その反乱の際に、俺も僅かだが参加する予定だ。それまでに、俺は君達に信用して貰える様に頑張る。だから、それまで猶予をくれないか?」


俺がそうお願いをすると、ウンディーネは周りにいるマーメイド達やセイレーン達に視線を向ける。

ウンディーネに視線を注がれたマーメイドとセイレーンは、どうすれば良いのか分からない所為で周りの仲間に同意を求める様に視線を彷徨わせるが、誰も決められずに皆がおろおろしてしまっている。

すると、


「良い、待つ」


レヴィアタンが、俺の問いに答えた。


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