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レヴィアタンの咆哮に、船の方から悲鳴が聞こえてくる。

向こうは向こうで乱戦になっているのか、セイレーンが何度も攻撃を仕掛けているのが見える。

それにしてもあのウンディーネ、殺さない程度ってどういうつもりだろう?

人族に対して恐怖心というか、警戒心があるのは先程の様子を見れば明らかではあるし、レヴィアタンとの協力関係なら殺す事だって基本的には容易なはずだ。

それでも殺すなって事は、敵とは認識しているが殺せないという変な決まりでもあるのか?

そういえばウンディーネは水の精霊、宿っている水が汚れると彼女自身も汚染されてしまうと前に本で読んだ事があるな。

それが関係しているのか?

俺がそう思考していると、


「何で人が海を凍らせて、海を歩いているのよっ!」


ウンディーネが、水の塊を俺に向けて放ってくる。


「アイスバレット!」


俺は迫ってくる水の塊に氷の弾丸を放って相殺させるが、今度はもう一度迫ってくるレヴィアタンの体に反応してアイスアローを放ちつつ、レヴィアタンの攻撃を避ける。

足元が頼りない、氷で凍らせても亀裂が入ってしまったら最後だ。

もっと足場の頑丈さを意識しつつ攻撃しないと!


「アイスウォール!」


ウンディーネとレヴィアタンの連携、なかなかにキツイ。

ウンディーネが水の塊を放ってくるのは簡単に避けたりできるが、避けた先にレヴィアタンが追い打ちで攻撃をしてきて吹き飛ばされる。

先にウンディーネを動けなくさせようとすると、レヴィアタンが彼女を庇って俺のあまり威力が無い攻撃を全て防いでしまう。

どうやったら平和的にウンディーネと話しをする事が出来るんだ。

俺がそう思っていると、セイレーンとマーメイドに襲われていた船からの声が小さくなっていくのを感じた。

向こうも人数を減らされてきている、知らない内に俺の運賃を払ってくれた多少の恩があるから、出来ればこの場くらいは貴族や他の者達を生かして返してあげたい。

俺はそう思いつつ、先程作った氷の壁を破壊されて少し後ろに後退する。

こうなったら、もう手加減なんかしていられない。

俺はそう思い直し、アイテムを入れている袋からアイテムを取り出す。

魔法発動時間を短縮させる課金アイテム、マジックショートニング。

クールタイム短縮課金アイテム、マジックブレジ。

2つのアイテムを同時に使用し、俺は杖を構える。

そして、


「アイシクル・スピアッ!アイシクル・アローッ!ヘイル・バレットッ!ヘイル・ストームッ!」


一気に中級派生魔法を連続使用する!

先程とは大きさが何倍も違う氷柱の槍に氷柱の矢、人の頭より大きい氷の弾丸をレヴィアタンに向けて放つ!

先程までの低威力とは違い、レヴィアタンの重厚な鱗を砕きダメージを負わせる。


「ガアァァァァァァァァアァァァァァァッッッッッ!!!!」


今までの咆哮とは違う、痛みを負わせられた事による怒りを孕んだ咆哮を辺りに轟かせる!

流石レヴィアタン、威圧スキルを使用している様な威圧感を出してくる…。


「だが、俺も威圧スキルは使える!」


俺は自信満々にそう言うと、何とか怒りで発生させていた威圧スキルを使用する。

すると、


「ひっ…」

「こ、殺される…」

「……死にたくない…」

「ぁぁああ~~~ッッ!」


船の方から悲鳴と同時にそんな声が聞こえて来て、それと同時に何かが倒れた様な音と海に落ちた水音がした。

周りのセイレーンとかはこれで良いかもしれないが…。

俺はそう思いながら、やっとこちらに顔を向けて来たレヴィアタンの顔を見る。

蛇の様な体だから顔も蛇に近いのかと思っていたが、どちらかというとドラゴンなどに近いと思う。

あまり大きくはないが角の様な突起物があり、威厳に満ちた美しい顔をしている。

僅かに開かれた口からは輝く鋭い牙がチラリを見え、そこから紅蓮の炎が漏れている。

…レヴィアタンって海に住んでいるのに炎を扱えるのか、色々と凄いな…。

俺がそう思っていると、


「ヒト」


凛としているが、少しイラつきか怒りが籠っている声が聞こえた。

目の前のレヴィアタンが話したのか、今なら話し合いくらい出来るだろうか?

俺はそう思い、


「レヴィアタン、それとそこのウンディーネ!話を聞いて欲しい!」


声を張って、レヴィアタンとウンディーネの2人に話しかける。

しかし、


「イタイ、コロス」


レヴィアタンはそう言うと、鋭い牙が綺麗に生え揃っている口腔内を見せつける様に口を開く。

マズい!

俺はレヴィアタンが次に行う攻撃を察し、


「アイスウォールッ!」


慌てて氷の壁を作る!

その瞬間一気に灼熱の炎が吐き出されて、俺の作り出した氷の壁とその後ろにある足場の氷以外は溶かされてしまった。

顔を出して氷の壁を見るとそれも溶かされてしまっており、もう少し長く炎を吐かれていたら燃やされていただろう。


「暑い…」


俺はそう呟きながら、溶かされてしまった足場に視線を移す。

氷が溶かされただけではなくこの蒸し暑さ、海水を蒸発させたのか。

足場もほとんど無くなり、今のままでは状況が悪いな。

一度船の甲板に戻るか?

俺がそう思っていると、再度レヴィアタンの口が開かれる!

おそらくスキルや魔法ではない、単純なレヴィアタンの生態だからクールタイムなんてほとんど無いのか!

俺はそう判断すると、氷魔法を使って走るだけの氷の道を作り出すと一気に後退する。

それを見逃さないレヴィアタン、口腔から吐き出された炎で氷がどんどん溶かされていく。

この際、船の人達に見られるのは仕方がない!

俺は即座に覚悟を決め、


「クラスチェンジ・召喚士(サモナー)ッッ!召喚(サモン)、ヨルクッ!」


本の中の世界(ワールドブック)の塔の住民でも大きすぎてあまり会う事が出来ないモンスター。

正確には、体には会えるが顔がどこにいるのか分からない程遠くにある可能性がある。

海の怪物レヴィアタンの巨躯を遥かに凌駕する体。

自身の尾に噛みついている愛くるしい姿とは裏腹に、その口には無数の牙が生えており毒を吐く。


「ジャアァァァッッッッ!!!!」


ヨルク。

世界を一周している蛇、ヨルムンガンド。


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