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威力を強化しなかったから危機感はまだ感じないが、それでも相手が相当な防御力を誇っているのは理解した。

バリスタが効かないのは想定していたのか、皆慌てずに次の装填を開始する。

次は槍や大矢では無く爆薬が入っているであろう小樽を装填し、樽から伸びている糸に火を点ける。

やはり爆弾系なんだろう、あれでまずは体を覆っている頑丈な鱗を剥がす作戦か。

俺がそう思っている内に二発目が発射され、レヴィアタンの体にぶつかると同時に爆発した。

爆発音がした後に爆発の衝撃が来る。

音と衝撃から先程よりもダメージがありそうな気がするが、どうだろうか?

俺はそう思いながら煙がまだ晴れていないレヴィアタンの体を見ていると、少しずつだが煙が晴れてきて攻撃した場所の様子が見えてきた。


「くそが…」

「あれでも駄目なのか…」


男達の言葉通り、攻撃された場所の煙が晴れたレヴィアタンの姿を見ると、そこには先程の攻撃の時と同じ様に傷すら付いていない。

爆弾を使った攻撃は自信があった様だが、それでもダメージを負わせる事が出来なかったのは予想外だったのだろう。

どうしたら良いのか分からず、彼らの攻撃に意識も向けずにただ泳いでいるレヴィアタンを呆然と眺めている。

それにしても、大蛇の様に体を柔軟に動かして泳いでいるから鱗の間とかに攻撃したら痛いと思うのだろうが、それも意味が無いのは純粋に凄いな。

俺も周りの武装している男達と一緒に、レヴィアタンの泳いでいる姿を見てそう感想を抱く。

すると、


「ッ?!…敵襲ッ!!セイレーンとマーメイド!それに…ウンディーネッ!」


見張り台から悲鳴と混ざった様な声が聞こえてくる。

ここに来て、別の敵も現れるのは大変だろう。

幸いレヴィアタンは俺達の攻撃など気にしておらず、ただ泳いでいるだけだ。

ならば、こちらに向かってくる敵と戦った方が良い。

俺がそう思っていると、


「部隊の半分はこのままレヴィアタンを攻撃し続けろッ!残りの半分はモンスターの迎撃に当たれッ!」


貴族の男が、そんな無謀な指示を出した…。

まさか、ただでさえ人数が船に乗っている人数しかいない状況で、人員を裂く作戦をするとは…。

気が動転しているのか、それともレヴィアタン討伐の名声に目が眩んで馬鹿な判断をしているのか。

俺はそう思いつつ、おそらくだが彼は気が動転しているからそんな指示を出してしまったのだろうと察する。

それだけ、今の状況はこの人達には危機的な状況に陥っている。

レヴィアタンを逃せば貸してもらった金をただやみくもに使い果たしただけになり、レヴィアタンを討伐しようとしても他に来る敵に攻撃され続ければ武器も消耗し、レヴィアタンと戦う頃には戦う武器も力も残っていない。

俺が周りの観察しながらそう考えていると、


「………………」

「~~~~ッッッッ!!!」


ウンディーネがレヴィアタンの近くに行き、何かを話しかけた。

瞬間、今まで俺達が攻撃しても無視していたレヴィアタンが咆哮するッッ!!

まさか、協力関係に近いのか!

俺がそう思っていると、空からセイレーン達が攻撃を仕掛けてきた!

海の怪物レヴィアタン、水の精霊ウンディーネ、セイレーンにマーメイド。

状況は最悪と言って良い。

しかし、俺は周りの慌ただしく武器を振るっている者達とは違う気持ちが頭を支配していた。

彼女達を全て、仲間にしたい気持ちで心が躍っている。

久しぶりに「UFO」で試行錯誤していた時代を思い出した。

どの様に戦い、どの様に好感度を高めていけるか。

攻略は難しいが、それが楽しいあの感情が今の俺を奮い立たせる。

ウンディーネがレヴィアタンに何か話しかけた後に、レヴィアタンが返事をする様に咆哮をしたという事は、レヴィアタンは意思疎通が可能だという事だ。

ならばもう、これはやるしかない!


「アイスアロー!」


俺は氷魔法を使って周囲に群がっていたセイレーンの群れに穴を作り出す。

もちろん牽制の攻撃故に、当てる事はしない。

群れに穴を作り出した俺は、一気にその穴をくぐり抜けて甲板の端に移動すると、


「グレイシャー・イクステンションッ!」


海に向かって中級魔法を発動する!

俺の杖から放たれた氷の息吹が海に当たると、そこから海がどんどん凍っていく。

どんどん広がっていく氷を見つつ、俺は甲板から飛び降りて凍った海に降り立つ。

MPを消耗しない様に節約して魔法を使わないと、どんどん氷が溶けていくからな…。

氷が溶けない様に少しずつ消耗していくMPを気にしつつ、切れない程度に魔法を放っていく。

難しいとは思うが、随時MPを回復する回復薬を飲んで対応しよう。

俺はそう思うと、氷の上を走りだす!

一気にレヴィアタンに近づくと、まずは俺に意識を向けさせようと少し本気に、


「アイスバレットッ!」


何十発もの氷の塊をレヴィアタンの鱗に向かって放つ。

すると、僅かにだが鱗に亀裂が入るのを確認した。

更にレヴィアタンの動きが少し変わり、体の向きを変えようとしている様に見える。

俺はそのチャンスを逃すまいと、


「アイスアローッ!」


今度は氷の矢を生み出してレヴィアタンの鱗の亀裂に刺し入れる様に命中させていく。

するとレヴィアタンの大きく動き、鎧以上に頑丈な体が俺に向かってくる!


「ッ?!アイスウォールッ!」


慌てて氷の壁を作り出すが、即席の所為で頑丈さが足りずに少し体の速さを押し殺す事が出来たが破壊されてしまい、更に俺にも衝突する!

重厚で頑丈な鱗に、撓った体の威力が想像以上の攻撃力を持っており、俺は吹き飛ばされる。

船の近くまで吹き飛ばされた俺は、ダメージがあまり入っていない事を確認しつつ、消耗戦になりそうだなと考える。

俺がそう思っていると、


「レヴィ~!どうしたのそんなに動いて?」


遠目から見えたウンディーネが、少し慌てている様子でレヴィアタンに話しかけている。

俺がそれを見ると、俺の視線を感じ取ったのかウンディーネが俺に視線を向けてきて、


「…ひ、人族?何で海に立って…」


困惑した様子でそう言い、少し気を引き締めた表情をすると、


「レヴィ!殺さない程度に追い払って!」


レヴィアタンにそう指示を出した。

それを聞いたレヴィアタンは、彼女の言葉に返事をする様に咆哮した。


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