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俺が船がもう一隻あり、すぐにとはいかないが準備が出来次第出発する事を教えた貰い安心していると、
「だが問題があってな、今海にはレヴィアタンが出るんだ」
「レヴィアタン…」
男性が怯えた様な、表情を歪めてそう教えてくれた。
レヴィアタン、悪魔の名前でもあるが海に出てくると考えると名前はリヴァイアサンという事だろう。
ここの人達と同じ様にレヴィアタンとは呼ぶが、まさかそんな大物が実在しているのだろうか?
「UFO」の世界には存在していないモンスター、家族に引き入れたい。
そしてどんな姿なのかも凄く気になるな。
一応昔調べた事があるが、こちらの世界のレヴィアタンは一体どんな姿をしているのか?
モンスターの姿なのか、それとも人型のモンスターなのか気になる。
レヴィアタンは神が造り出した海の怪物であり、繁殖しない様に雄は絶滅させられた種族だ。
つまり海にいるレヴィアタンは雌ッ!
凄く見てみたい!
俺はそう思い、そこで思い出す。
レヴィアタンは海の怪物だが、それと対になる様に神に造られたモンスターがもう2体いる。
1体は、元はレヴィアタンと同様に海に住んでいたが両モンスターとも体が大きい故に、陸に移り住んだモンスター、ベヒモス。
もう1体もレヴィアタンやベヒモスと同じ怪物、空の怪物ジズ。
彼らが存在しているとなると、ワクワクが止まらなくなってくる。
とりあえず、まずは目の前にいるかもしれないレヴィアタンを見て、触って、勧誘しよう!
俺がそう思ってテンションを上げていると、
「おい聞いてるのか?何でレヴィアタンの話を聞いて、そんなに目輝かせてるんだ?」
先程話していた男性が、呆れた様な表情で声を掛けてきた。
どうやら考える事に夢中になってしまって、彼の話を聞いていなかった様だ。
「すみません、突然の情報に驚いてしまいました」
「まぁレヴィアタンだもんな。驚くのも仕方がないな」
俺の言葉に、違い意味で捉えてしまった男性が同意の言葉を言ってくる。
そうして俺は次の船が出る明日に備えて、宿屋を探していたのだが…。
「流石港街、新鮮な海の幸が楽しめるなんて…」
食事処の新鮮な魚料理に惹かれて店に入ってしまった。
基本的に塔にいても刺身などの料理は出るのだが、それでもやはり新鮮な魚料理という言葉に惹かれてしまう。
そうしてテンダールで魚料理に舌鼓を打ち、俺は宿屋の一室で塔に戻ってから休む事になった。
翌朝目を覚ましてすぐに外の世界に戻った俺は、宿屋を後にして船着き場に来ていた。
しかし、昨日話したもう一隻の船が分からず、どうしようかと思っていると、
「あんた昨日の…。何やってんだこんな朝早く」
運が良い事に昨日話した男性が、変なモノを見る様な目で俺の事を見てきながらそう言ってきた。
「いえ、昨日話していた通りジーグ行きの船を探していたんですが…。詳細を聞くのを忘れていて…」
俺がそう言うと、
「漁の船じゃないからな、朝早くって訳でも無いんだよ。これから船を動かし始めるし、物資の搬入もまだ完了していないぞ」
男性がそう教えてくれた。
そこから男性にどれくらい時間が掛かるのか聞き、昼くらいに全ての準備が終わる事を聞き、俺はもう一度来る事を伝えて船着き場を離れた。
さて、昼間にまた船着き場に行くとして時間をどう潰すか?
俺がそう思って視線をキョロキョロと周りに移すと、
「ん?」
何やら、とても重々しい装備を身に着けている者達の集団が見えた。
集団のほとんどの者が装備を身に着けて、緊張した面持ちで何やら話し合いをしている。
軽装備なのは、何やら話し合いには参加しているがあまり真剣に話を聞いていない様に見える男だ。
腰に差してある杖を見る限り、魔法使いだと思うが…。
この世界の魔法使いは、貴族しか扱う事が出来ないはずだ。
つまり彼は貴族、ならば周りにいる者達はその護衛なのかもしれないな。
俺がそう思って観察していると、
「良いかお前ら!今姿を露わにしているレヴィアタンを討伐する事で、俺様のもっと上の地位を手に入れる事が出来る!ただの貴族共とは違うと、教えてやるのだ!」
貴族だと思っていた男が、高笑いをしながらそう言った。
やはり貴族だったようだが、考えナシタイプの様だ。
そんな簡単に討伐出来るのなら、真っ先に冒険者達が討伐しているに違いない。
明らかに力不足だろう…。
しかし、彼らを止める理由も無い俺は少し座れそうな位置に移動して、彼らの様子を少し観察させてもらう。
おそらく護衛の他に雇っている者もいるのであろう集団は、皆売っている物の中では上位の装備を身に纏っている。
武器は抜いていないからハッキリとは分からないが、剣なども良い物を揃えているはずだ。
だが、あれだけでは巨大な体のレヴィアタンを討伐する前にやられそうだな。
まだ何か秘策でもあるのだろうか?
俺がそう思っていると、
「この作戦の為にパパに膨大な資金を援助してもらったのだ!その恩を返せる様に、この戦いは絶対に勝たなくてはならない!」
まさかのパパ呼びで驚いてしまうが、まぁ貴族だから仕方がないと思ってしまう。
それにしても、彼らがレヴィアタンを討伐する事でそのお父さんはどの様な利益が得られるのだろう?
利益があるから出資をしたんだろうし、何かしらの考えがあるはずだ。
レヴィアタン討伐の名誉は、討伐した本人とその一団である彼らに授けられる物だと思うし、それ以外となるとどの様な利益がそのお父さんは望んでいるのだろうか?
俺がそう思っていると、少し離れた船着き場に他の船とは異質の船が入って来た。
帆も船体自体大きく、チラリと見えた船の装備も外敵を排除する為に付けられた大型の弩砲、いわゆるバリスタだ。
それが何台も設置されているのが目に入り、言っていた言葉はアレだったが彼らが本気でレヴィアタンを討伐する気でいるのは理解した。
俺が乗ろうとしている船、あんなのだが支払いは大丈夫なのだろうか?
一応金貨もあるが、あんな良い船に乗せて貰ったら足りない様な気がするのだが…。
俺は突如襲われた不安感に、色々な意味で緊張をしながら船に物を運んでいる人達の元に向かった。
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