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靜佳の言葉を聞いて、本当に久しぶりに当時の事を思い出す。

まだ高難易度のクエストを受けられる様になって、必死に装備のレベルを上げたり当時のレベル上限までカンストさせたりと、充実な「UFO」ライフを送っていた。

俺が1人で懐かしい思い出に浸っていると、


「ちょっとお兄ちゃん、1人で思い出してないで本当の事なのか説明してよ」


靜佳がそう言って頬を膨らませる。

俺はその表情に苦笑をしつつ謝罪をして、


「靜佳にとってはあまりピンと来ないって言うか、下らない事かもしれないけど聞く?」


改めて靜佳の質問に答えた方が良いか聞き返してみると、


「聞きたい。私が知ってるヴァルダ・ビステルは、もう廃人に近いくらいのプレイヤーだったから」


俺の質問にそう言った。

俺はその言葉に更に苦笑した後、


「まだ俺が戦鬼さんや靜佳と会う前、職業レベルや装備レベルを上げたり色々とやる事が多くて、でも凄く楽しかった時にあるプレイヤーと戦ったんだ。それでボロ負けしたってだけなんだ。多分普通の人なら下らない事だったんだけど、当時の俺は「UFO」の忙しさが楽しくてどうしてもそのプレイヤーが許せなくて、俺から戦いを申し込んだんだ。結果は恥ずかしい事に惨敗」


靜佳の問いに、簡潔にまとめつつその事を説明する。

すると、


「お兄ちゃんが自分から戦うなんて、いったいその人は何をしたの?」


俺が自分から戦いを申し込まないと知っている靜佳が、意外だと言いたげな表情でそう聞いてきた。

靜佳のそんな問いに、


「その人は、当時荒し行為が目立つ人だった。職業クラスが騎士(ナイト)だったんだけど、課金でスキルの連続使用が目立つ戦闘スタイル。あそこまで色々なスキルを出会い頭に使用されたら、対応出来るプレイヤーは少なかった。他にも倒したプレイヤーを馬鹿にする発言が多かったけど、まぁそれはあまり皆気にしてなかった。課金も、自身のお金を使っているからそこにも文句は俺には無かった。俺もいつか課金しようと思っていたしね…。だけど彼が言った、「こんなクソつまらない、課金だけでここまで最強になれるゲームなんて、すぐに終わっちまうだろうな~」って言葉に、俺は許せなくて戦いを申し込んだんだ。それからは靜佳の知っている通り、俺は少ししか攻撃できなかったしボコボコにされて負けた」


当時を思い出して少しイラッとしながら答える。

おそらくこのイラつきは、当時の力不足だった自分に対してだろう。

相手の攻撃手段というか、戦闘スタイルは分かっていたのだ。

何故しっかりと勉強しておかなかったのだろうか…。

俺がそう思っていると、


「でも、私が来た頃にはそんな人いなかったよ?」


靜佳がそう答えた。

靜佳の問いに俺は、


「その後少しして、姿を消したんだよ。おそらく飽きて、別のゲームに移動したんじゃないかな?」


忽然と消えた彼の事を教える。


「そっか、だから私が来た時には平和な「UFO」だったんだ」

「そうそう、まぁサーバー移動したって話も聞かなかったし、また別のゲームで荒し行為してるかもね」


俺が冗談交じりにそう言うと、靜佳は笑って他にもネットで見たらしい俺と戦鬼さんの話を聞いてきた。

俺はその話題は真実であったり、過剰に脚色されていて実際はこうだったという事を教えたりした。

そうしていい時間になると、靜佳は自室に帰ると言って俺の部屋から出て行った。

靜佳といる時は、なんていうか威厳があるヴァルダ・ビステルではないから気が張る事が無くて良いな。

おそらく靜佳がいなかったら、俺はいつか気が張り過ぎて疲れてしまっていただろう。

今度、しっかりとお礼を言わないとな。

俺はそう思いながら夜を過ごして、明日の予定を考えながら眠りについた。

翌朝、俺はさっさと支度を整えると外の世界に行き、いつも通り冒険者ギルドで手頃の依頼が無いか受付嬢に挨拶と一緒に質問をする。

しかし、今日は俺が求めている様な近場での依頼が無く遠征をしなければいけない依頼しか無かった。

安い報酬金でなら帝都の街中でも依頼があるのだが、それを受ける時間があるのなら別の事をした方が有意義だと考えて、今日は依頼を受けずに色々と必要な物の為に帝都の外に出た。

帝都の外にいるモンスターを狩り、森や川で素材を採取、そうして時間は昼になり俺は満足して帝都に戻ってくる。

半日だけの作業だったが、暇を見つけてはこうしているから素材は少しずつだが集まってきている。

昼になったし、ブルクハルトさんの商館に行っても大丈夫だろう。

流石に朝早くに行くのも悪いし、奴隷の人達に朝から面接みたいな事させるのも申し訳ない。

そうしてブルクハルトさんの商館に来たのだが…。


「申し訳ありませんビステル様。御主人様は商談の為、今日は不在です。お帰りは夜になるとの事でしたので、再度お越しください。申し訳ございません」


留守番をしている奴隷の女性が、凄く申し訳なさそうに謝罪をしてくる…。


「そんなに謝らないでください。ではまた来ます」


俺はそう言うと、奴隷の女性が再度頭を下げてくる。

緊張した面持ちで俺と接しているが、俺は何かしただろうか?

俺はそう思いつつ、これ以上ここにいても彼女が緊張してしまうだろうから商館を後にした。


「これからどうするか…。もう一回素材集めをするか、今日はもう帰るか?」


俺がブルクハルトさんの商館の前でそう呟いた瞬間、俺は自分の視界に入った者を見て驚く。

少し高い位置を飛んでいるが、それはコウモリの姿に変化したアンリの姿だった。

噂だと、ジーグと呼ばれている島国に遠征に行ったと聞いていたが帰って来たのか?

俺はそう考えたが、アンリがコウモリの姿をしている姿を見てそれは違うかもしれないと思い直す。

おそらく人型を姿で帰る訳にはいかないから、コウモリの姿に変身しているのだろう。

俺はそう思って家の屋根に飛び乗ると、アンリに向かって手を振る。

すると、俺に気がついたアンリが凄い勢いで俺の元に来ると、


「この様な姿で申し訳ありませんヴァルダ様ッ!至急お伝えしたい事がありますッ!」


そう言ってきた。


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