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そこまで呆れられてしまう事を言っただろうかと、靜佳のため息を聞いて思っていると、


「妹が甘えてきてるんだから、そこはお兄ちゃんとして察して甘やかしてくれてもいいと思うんだけど~」


靜佳が少し不機嫌そうな声で抗議の言葉を放ってきた。

甘えてきていたのか、あまりこういう事が無かったから分からなかった。

しかし、それを正直に言ったら今度は不機嫌どころか怒らせてしまいそうだ。

俺はそう察し、


「悪かった。それで何をしようか?」


招いたは良いものの、何をするか全く考えていなかった。

俺がそう言うと、


「少し聞きたい事があるんだ~」


靜佳がそう言いながら俺の膝に頭を乗せてくる。

目の前に、獣耳がある………。

俺がそう思って靜佳の頭を凝視していると、


「触っていいよ。「UFO」の時も、話している時にチラチラ視線が頭に移ってたの知ってるし、理解はしてるからね」


靜佳は何故か得意げにそう言いつつ、何故か表情は凄く微笑みを浮かべている。

しかし、そう言われてしまったら触ってしまいたくなる。


「じゃあ、失礼して…」


俺はそう言って靜佳の頭を撫で、それから耳を優しく触る。

ふわふわサラサラの毛に覆われている耳の触感が気持ちよく、更に優しく揉んでしまう。

すると、


「んっ…。それで聞きたい事って言うのが、この塔に住んでいる人というか、「UFO」から引き継いでいる人達の事で聞きたいんだけど…」


靜佳が俺に耳を触られながらそう聞いてきた。

「UFO」から引き継いでいるという事は、シェーファやセシリアの事を言っているのだろう。


「良いけど、それがどうしたんだ?」


俺がそう聞き返すと、


「元々ゲームのNPCだったあの人達が、どうしてあそこまでお兄ちゃんの事を尊敬しているのか分からないんだよね。お兄ちゃんが魅力的じゃないって訳じゃないよ?ただNPCだった時から人格があった訳ではないのに」


靜佳が少し難しい表情でそう言った。

俺はその言葉を聞いて、


錬金術師(アルケミスト)しか育てていない靜佳は知らないだろうけど、召喚士(サモナー)になって契約できたキャラクターには、プレゼントを贈る事で好感度やステータスを上げる事が出来るんだ。おそらく、その好感度がそのままこの世界で引き継がれたんだろうね」


俺の考察を述べると、靜佳はその好感度はどのくらいまで上げる事が出来たのか聞いてくる。

俺はその靜佳の問いに胸を張って、全ての契約したキャラクターの好感度はカンストしている事を答えると、


「ふぅ~ん………」


とても何かを言いたげな返事をしてきた。

その様子に靜佳が何を言いたいのか分からずに困惑していると、


「そういえば、お兄ちゃんの事を探している時に気になる話題があったんだけど…」


靜佳が突然話題を切り替えて、何やら気になる事を話し始める。


「気になる話題?」


俺が靜佳の獣耳をくりくり弄りながらそう聞くと、


「「UFO」の歴史?的な事件というか話題になった話。お兄ちゃん、意外に有名人だったんだね。UFO廃人って呼ばれてたよ」


靜佳がそう言いつつ笑うが、俺はその話に笑う事が出来ないんだが…。

そのUFO廃人って、明らかに尊敬とか良い意味で呼ばれている訳では無いだろうな…。

俺がそう思っていると、


「ヴァルダ・ビステルと戦鬼♰無双さんの話、結構面白かったよ。私が知らない事とかも話題になってた」


靜佳がそう言って、少し昔を懐かしむように儚く微笑むと、


「戦鬼♰無双さんも、こっちの世界に来てるのかな?来てたら、会いたいねお兄ちゃん」


そう囁いた。

俺はその言葉に、


「会いたい気持ちもあるが、こっちの世界に来て欲しくない気持ちもあるな。共に戦えば頼もしい人だけど、あの人リアルで恋人いたらしいしね。恋人と離れ離れになるって、絶対に辛い事だしな」


正直な気持ちを吐露する。

会いたいかと聞かれたら、もちろん会いたい。

敵味方関係なく、会えれば嬉しく感じるだろう。

しかし、それを望んでいる訳では無い。

俺なんかと違って、彼には大事なリアルの世界があった。

俺の言葉を聞いた靜佳は、


「え?あの人彼女いたのッ!?」


とても失礼な驚きをしていた…。

多分面と向かって言っていたら、戦鬼さんは楽しそうに落ち込んだフリをしていただろうな。

俺はそんな様子を想像しながら、


「そうなんだよ。「UFO」サービス終了日に聞かされてさ、俺も最初は疑ったなぁ。結構ログインしていたし、恋人との時間とかあったのかな?」


靜佳の言葉にそう答える。

俺のそんな言葉に、


「そこは大人だから色々自由だったんじゃない?お兄ちゃんは、学業等々犠牲にして「UFO」やってたけど…?」


靜佳が責める様な口ぶりでそう言ってくる。

その言葉には言い返す事が出来ず分が悪いので、


「他にはどんな事が話題になってた?」


話を切り替えて、次の話題を聞こうとする。

明らかに話を切り替えようとした事を察した靜佳は、俺の膝の上からジトッとした目で俺の事を見てくるが、


「あとは、サービス終了が発表されてから実装された装備集めに全力でクエスト周回してた話、皆頭おかしい発言してたよ。周回する難易度じゃないのに、それをどんどん2人だけで周回してたのが、やばいって」


俺の意図を考えてくれてそう言った。

おおう、本の中の世界(ワールドブック)の素材集めしてた時の話か。

俺が靜佳の言葉に必死に素材集めをしていた当時を思い出していると、


「お兄ちゃんも言ってたもんね。明らかにやけになってバランス調整をふざけたって」


靜佳が俺が昔、クエストを周回していた時に言っていた言葉を復唱した。


「今までのイベント的なクエストって、基本的にはある一定のレベルになっていたら誰でも出来る様になってて、難易度をレベルに応じて変える事も出来たから良かったのに、まさかの高難易度のクエスト1つしか無かったのはやけになってるなって思ったな。それの所為で更に人が居なくなった印象すらある」


俺は当時の数少なくなったプレイヤーが、怒ってログアウトしていく様を思い出しながらそう言う。

俺がそう言うと、


「あっ!あと聞きたかったんだけど、お兄ちゃんってまだ廃人になる前に、あるプレイヤーにボコボコにされた事があったの?ある自称古参の人が、そんな事を言ってたよ」


靜佳が思い出したかの様な声を出して、おそらくヴァルダ・ビステルとして一番思い出したくない事を聞いてきた…。


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