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シェーファとセシリアの襲来は、何故か靜佳と同じ様に腕に抱き付くという事をさせて欲しいというお願いだったらしく、俺はそのくらいならいつでもお願いしてきていいと許可をした。

その結果、


「………これで良いのか?」

「…ン…は、はい…とても…心地よいです…ハァ…」

「………ヴァルダ様、我儘を聞いて下さりありがとうございます」


ソファの真ん中に座った両隣に、シェーファとセシリアが片方の腕をそれぞれ抱き付いている状態になった。

シェーファは俺の肩辺りに頬を擦り付けて、俺の腕を出来る限り抱きしめている。

セシリアは俺の腕に抱き付いてはいるがあまり体を寄せてなく、控え目にくっ付いている。

抱き付き方にも、性格が出るのだろうか?

俺がそう思っていると、


コンコン


「ルミルフルよ、いる?」


新たな来客がやってきた。

その言葉に腕に抱き付いている2人が不満そうな表情をしながらもすぐに退いてくれたのは、素直に感謝をしたいし、俺の事を考えてくれているのだろうと察する事が出来る。

それにしても、随分と珍しい客が来たな。

わざわざ俺の部屋に来ることなんか無かったし、何かあったのだろうか?

俺はそう思いつつ、


「構わない、入ってくれ」


ルミルフルを迎える言葉を放つと、部屋の扉が開かれてルミルフルが、


「失礼するわよ」


そう言って部屋に入ってきたのだが、俺を見た後に少し離れた所に立っているシェーファとセシリアに視線を移した後、


「…出直そうか?」


そんな事を言って、気まずそうな表情をした…。

明らかに誤解をされている。


「構わない。むしろ邪な事をしていた訳では無いから、気を使わないでくれ」


俺がそう言うと、ルミルフルはゆっくりと部屋に入ってくる。

そんな彼女に向かいのソファに座る様に手を向けると、彼女は頭を下げてからソファに座った。


「それで、どうしたんですか?貴女が部屋を訪れるなんて今まで無かった事ですから、何かあったのかと思ってるんですけど」


俺がそう質問をすると、彼女は苦笑して頭を左右に振り、


「そんな重大な事ではないわ。ただ、今貴方達が力を入れている農作業の手伝いをしたいんだけれど、それって誰に許可を貰えばいいのかって聞きに来ただけなの。シェーファさんやセシリアさんに聞くのも良いかなって思ったけど、やはりここは主であるヴァルダ……様に聞くのが一番って思って」


そう言ってきた。

それくらいの事なら特に問題では無いな。

というか、彼女が俺の事をヴァルダ様って呼ぶ事の方が重大な事かもしれないが、おそらく2人がいるからだろうな。

いったい俺がいない時に、シェーファとセシリアは何を皆に言っているのだろうか…。

少し気になりつつ、


「話は分かった。それならば明日にでも畑を管理しているダグスさんに話を通しておく。後は好きにして構わない。それにルミルフル、君には他にもやる事があるしな」


そう言うと、彼女は素直にお礼を言ってきた。

何というか、随分と大人しくなったというか優しさを感じる雰囲気になったな。

ルミルフルの様子を見ながらそう思っていると、


「そうね、まだサールとソルの2人には振り回される事が多いし、ヴィアンも明るくなって甘えてくれる時はあるけど、まだ遠慮がちな所があるから……。子育てって難しいのね。でも、結構ここにいる人達が協力してくれるから、私はまだ楽な方かも」


ルミルフルがそう言って、体をソファに寄りかからせる。

そうしながら、


「シェーファさんもセシリアさんも、結構助けてくれるの。いつもありがとうございます」


彼女が2人にお礼を言う。

すると、


「構いません、これも来る時の予習。今のうちに勉強し実践をしなければいけませんから」

「シェーファの言う通りです。誰がいつ新たな命を宿しても、皆で支えあって子育てをする。色々と勉強になります」


シェーファとセシリアが優しい声でそう言った。

2人を含め、塔の皆がそういう心持ちでいる事はとても良い事だな。

俺も見習わないといけないな、ここ最近は子供達や元奴隷の人達とあまり話せていないし、ダメ主になってしまう。


「良い事を聞いた。俺も改めて、子供達や元奴隷の人達と接していこう」


そう言い、ルミルフルは話が終わった故に部屋を出て行った。

その際に、


「ごゆっくり」


と言ったのだが、まだ誤解が解けていなかったようだ…。

俺がそう思っていると、


「…名残惜しいですが、今日はこれで失礼させていただきますヴァルダ様」

「各々、やる事がありますので」


シェーファとセシリアが俺の元に来てそう言ってくる。


「そうか、あまり無理はするなよ。出来る事なら、俺も手伝うから言ってくれ。必ずだぞ」


俺がそう言うと、2人は感謝の言葉を言って部屋から出て行った。

部屋で1人になった俺は、座っていたソファから立ち上がるとベッドの上に横になる。

特に何かをする事も無く時間だけが過ぎていく。


「たまには、こんな時も良いだろう」


俺がそう呟くと、


「えぇ、最近は凄く忙しそうだものね」


部屋に誰もいないはずだったのに、妖艶でありながらも母の様に優しい声に俺は驚く。

相変わらず、気配が無い。

俺はそう思いつつ、


「今日はしっかりと目が覚めています。貴女こそ珍しいですね。いつもなら俺が眠りそうな時に来るのに」


突然現れた彼女にそう言う。

視線を声のした方向に向けると、人の姿をした彼女が俺の事を見て微笑んでいる。

人の姿をしているなら、見ても大丈夫だな。

俺はそう判断し、


「どうですか最近は、何か面白い事でもありましたか?」


体を起こしてそう質問をする。

すると、


「そうね、好みの女の子がいたくらいかしら?私個人としてはヴァルダ、貴方の子を孕みたいのだけれどどうかしら?」


微笑みながらそう聞いてくる…。

何でそんな事を、恥ずかしがる訳でも無く優しい微笑みのまま言えるんだ…。

俺がそう思っていると、


「ヴァルダとの子、仔とどちらになるのか気になるわね」


彼女はそう言う。

そんな彼女に俺は、


「…確かに気にはなりますけど、あまりそういう冗談は良くないです。…お気持ちだけ受け取っておきますね」


そう言って彼女から視線を外して目を閉じると、


「………いつでも待ってるわヴァルダ。あまり待たされてしまうと、ね?」


体にふわっと女性が覆い被さり、俺の耳元でそう囁き頬にキスをされてしまった。

覆い被さったのに重たさが無かったな。

俺はそう思いながらキスをされた頬を手で触れた。


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