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自信に溢れているというか得意げになっている靜佳を見て俺は、元々は俺と遊ぶ目的で始めた「UFO」だったが、彼女なりの楽しみ方をしていたようだ。

「UFO」ユーザーとして、嬉しい気持ちになる。


「とりあえず、当分は疲れとかあるだろうしゆっくりと過ごしてくれ。食堂の階も分かるだろうし、風呂場の階も分かるだろ?」


俺がそう切り出すと、


「うん。でも今日はもうお風呂に入ってゆっくりと寝たい気分~」


靜佳はそう言って欠伸をした。


「風呂で寝ない様にな。俺はまだ用事があるからここに来れないが、用があったら俺の部屋に来てくれ」


俺がそう言って靜佳の部屋から出ようとすると、


「は~い」


靜佳の気の抜けた返事が聞こえた。

俺はその返事に笑いつつ部屋を後にし、俺は一旦塔の外に出てダグスさん達のいる畑へとやって来た。

すると、


「ヴァルダ様、今セシリアさんが来て今日の作業を終わりにしたところですよ」


ダグスさんが俺に気づいて近づいて来てそう言ってきた。


「そろそろ夕食だからな、それは構わない。ここには畑を荒らす者もモンスターもいないから、柵などをあまり立てる必要も無いしな。それで、状況は……どうだ?」


俺が作物の種まきの状況を聞いてみると、


「いやぁ~、それが…いったいどうしたらこうなるんでしょうか?」


ダグスさんは空笑いをしながら畑の方に視線を向ける。

俺も気になったのだが、この状況がダグスや他の皆の頑張りである可能性も無くは無いと判断して質問をしたが、彼の反応を見るに違う様だ。


「まさか、およそ10日程で作物が実り始めるとは思いもしませんでしたよ。これも、ヴァルダ様のお力なんでしょうか?」


そう聞いてくる彼に俺は、


「いや、確かに良質な土と肥料を作ったのは俺だが、それでもここまですぐに出来るものじゃない」


俺の力でも無い事を言っておく。

すると、


「ここまで成長が速いと、色々と作りたい作物が増えてしまいますね。皆も協力し合って畑を耕したり、種を蒔いたりしてくれて助かります。しっかりと飯も食べれるから、出せる力も強いですしね」


ダグスさんがワクワクしている様な笑顔でそう言い、


「これなら、ヴァルダ様のこの塔の食糧問題、特に作物などはもしかしたら解消出来るかもしれません。畜産については、私は何も出来ないですが…」


少し申し訳無さそうにそう続けてきた。

俺はそんな彼に、


「むしろこっちが助けて貰って感謝をしている。肉などは食べられるモンスターを狩ってしまえば良いし、他にもやりようはある。そこまで気負わなくても大丈夫だ。これからもよろしく頼む」


俺は感謝の言葉を言い、改めてお願いをする。

それを聞いたダグスは作物が実り始めている畑を見た後空に視線を上げて、


「ここは豊穣の神様の加護があるんでしょうね」


そう呟いた。

俺はその言葉に、


「神…ですか。ダグスさんは神を信じていますか?」


そう質問をしていた。

唐突な俺の質問にダグスさんは驚いた様子だが、


「やはりこういう仕事などをしていると、豊作を願ったりするものですからね。冒険者であるヴァルダ様も、安全を神に願ったりしないのですか?」


信じていると答えてくれ、俺にそう聞いてきた。

俺は彼の問いに、


「願ったりは、しないですね。神の存在は信じていますが……」


俺はそう答えて、話を終わりにして彼にも塔の食堂に行くように一言言ってから自室に戻った。

自室に戻ってくると、俺は装備を外してソファに座り息を吐く。

すると、


コンコン


扉がノックされ、


「ヴァルダ様、今よろしいでしょうか?」


シェーファが扉の向こうから声を掛けてきた。


「あぁ、構わないぞ」


扉の向こう側に聞こえる様に、少し大きな声でそう答えた瞬間、


「「失礼します」」


まさかの扉からシェーファが入って来て、俺の座っているソファの側にセシリアが現れた!

シェーファは先程扉をノックしたから分かっていたが、突然現れたセシリアには驚いてしまった。

俺がそう思っていると、


「ヴァルダ様、少々お聞きしたい事があるのですが、これから少しお時間よろしいでしょうか?」


改めてシェーファがそう言ってくる。

俺がそれに頷くと、


「セシリアから聞きました。今日、新しい者を外の世界から連れて来た事を」


シェーファがセシリアの事をチラッと視線を送ってそう進言してくる。


「そうだな。今日は疲れて寝ているだろうが、また明日にでもシェーファとも会わせようと思っている」


俺がシェーファの質問に気軽にそう答えたのだが、俺の答えを聞いたシェーファとセシリアの表情が少し曇ったのを俺は見逃さなかった。

何かマズい事を言ってしまっただろうか?

俺が不安な気持ちでそう考えていると、


「そ、その者がヴァルダ様に抱き付いていたというのは、本当なんでしょうか?」


何故か凄く狼狽えているシェーファの質問に、


「抱き付いていたと言うよりは、腕にしがみ付いていたと言った方が正しい気がするが…」


俺が正直に答えると、


「そ、その者はヴァルダ様とどの様な関係なのでしょうかッ?!」

「………」


シェーファが更に質問をしてきて、その言葉にセシリアが何度も頷く。

どうやら聞きたい事は同じ様だ。

どの様な関係と言われても、従妹で義理の兄妹って説明しても信じてもらえないだろうし…。

俺はそう考え、


「うむ、そうだな…」


少し声を出すと、それに応じてシェーファとセシリアが近寄ってくる。

2人からの完全な無言の圧力を感じつつ、


「……シェーファやセシリアと同じだ。俺とシェーファ、俺とセシリア、俺と…シュリカ。互いに支え合い、俺が困った時にはシェーファやセシリアが助けてくれて、シェーファやセシリアが困った際には、出来る限り俺は助けるつもりでいる。シュリカとも、その様な関係だと思ってくれて良い」


オブラートに包みつつ、助け合う関係を強調して、


「故に、シュリカだけを特別に扱っている訳では無いぞ。あれは彼女の持ち前の明るさというか、元気さがあるからあんな感じになったんだ」


そう答えた。

すると、


「ではヴァルダ様の腕に、己の腕を絡ませ、体を擦り寄せる事をしても構わないとそう言っているのですよねッ?!?!」


何故か興奮して大きな声を出すシェーファ。

そんな彼女の言葉に、セシリアも先程よりも大きく深くブンブンと頭を上下させている。

俺はそんな様子を見つつ、


「言い方をもう少しどうにか出来ないか?」


苦笑いをしながらそう言うしか出来なかった。


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