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俺の提案に即座に反応した靜佳…。

あまりの反応の良さに、俺の方が言葉を詰まらせてしまったじゃないか。

俺はそう思いつつ、


「靜佳?もう少し説明とか色々と聞いた方が良いと、俺は思うんだが?」


靜佳にそう注意をする。

すると、


「だって相手はお兄ちゃんだし、私を騙そうとする訳じゃないでしょ?」


靜佳が俺の事を見ながらそう言ってくる。

俺は靜佳の言葉に頷き、


「信頼してくれているのは嬉しいが、一応話はしっかりと聞いて欲しい。今から俺と契約すると、「UFO」の世界でもあった塔に行く事が出来る。俺はそこで、靜佳に錬成のスキルを使用して物作りを頼みたいと思っている。俺と違って、靜佳のスキルの方が錬成の成功確率も格段と違うし、より上質なものが作れるからな」


靜佳に先程言った頼みたい事を口に出す。

しかし、


「でもお兄ちゃん、私まだこっちの世界に来てからスキルを使った事無いから、まずそこから準備しないといけないよ?」


靜佳が少し不安そうな表情をしてそう言ってきた。

その言葉に俺は、


「一応出来る限り分かりやすい様に説明するから、練習してみよう。それに最悪スキルが上手く使えなくても、別に責めたりしないから安心してくれ。とりあえず先に、契約するか」


靜佳の負担にならない様に説明し、本の中の世界(ワールドブック)を開いて契約欄のページの端を切り、


「仮契約と本契約、どちらが良い?」


靜佳に質問をする。


「本契約」


相変わらずの即断に、俺はもう靜佳はこういうタイプなのだろうと察する。

説明書はしっかりと見てから家電を使うタイプなのは知っているから、俺の事を信頼しているからここまで食い気味に返事をしてくれるのだろう。

俺はそう思いつつ、


「本契約は契約印を刻み込む場所が一か所しかない。ここなんだが、触っても大丈夫か?」


本契約についての説明をしつつ、自分の心臓がある胸の位置を指差す。

俺の言葉を聞いた靜佳は静かに俺と同じ様に自分の胸に手を当てると、


「お兄ちゃん、私の胸、小さくなってるよね?」


靜佳が凄く絶望した表情でそう呟いた。

流石にその問いに答える訳にもいかずに黙っていると、


「シュリエルの体、少し細身で設定したのがいけなかったのかな?元の靜佳の体だったら、もう少し大きいもん…」


靜佳はそう言いながら、あはは‥と空笑いをする。

た、確かに靜佳の体は全体的に細身ではあったが、シュリエルの体は更に少し小さく細い感じだもんな。


「俺もヴァルダの体になって色々と変わったからな。これから少しずつ慣れていくのが一番だ」


俺がそう言うと、不満そうな表情を変えずに、


「…そういう事じゃないんだけど…。お兄ちゃんは小さいのと大きいの、どっちが良いと思う?」


俺にそんな事を聞いてきた…。

兄に対してなんて事を聞いてくるんだ…、と思いながらも、


「バランスが取れているのなら、良いんじゃないかな?細すぎる体に大き過ぎる胸の人がいても、アンバランスだと思うし」


何とかこの話題を終えようと答える。

俺の答えに靜佳は納得していなさそうな顔をしつつ、


「分かった。この件はとても重要な事だから、また近い内にしっかりと話し合おうね」


そう言ってきた…。

期日を延長されただけで、この話が終わっていない事を残念に思いながら、


「触るぞ」


そう言って、本の中の世界(ワールドブック)のページの切れ端を指先で持ち、靜佳の胸に押し当てる。

その瞬間、無いと言いつつも骨と皮の間に明らかな柔らかさを感じ取ってしまった。

しかし表情には出さずに、淡々と契約印が靜佳の体に刻まれるのを待ち、数秒して契約は終了した。

特に変化が無いからなのか、靜佳は自身の体を見ている。


「契約印なら、おそらく俺が触った辺りか心臓の位置辺りに刻まれていると思うぞ」


俺がそう言うと、俺の貸している服の首元から視線を下ろし胸元を確認する靜佳。


「おぉ!お兄ちゃんあった!」


靜佳をそう言うと、何故か嬉しそうに胸元を見つめている。

そんなに嬉しい事なのだろうか?

俺はそう思いつつ、


「帰還」


塔に帰るための準備を始める。

と言っても、塔に繋がる黒い靄を出しただけなのだが…。

俺がそう思っていると、突然目の前に出現した靄に驚いている。


「大丈夫だ、この先にいつもの塔の世界に行ける」


俺がそう説明すると、


「あ~、あの時間が許す限り素材集めを頑張って広げたマイルームでしょ?最終的にあそこまで高くなったのは、私の功績もあるんだからねお兄ちゃん?」


靜佳が、俺が彼女に内装の家具などを発注した時の事を思い出してしみじみと感想を述べている。


「その際は本当に感謝してる。靜佳が頑張ってくれたおかげで満足の家が出来たんだから」


俺が改めて感謝の言葉を口にすると、


「なら、しっかりとふかふかのベッドを用意してねッ!」


靜佳が俺に体を近づけてそう言ってくる。

あまりの圧に、


「お、おぅ。任せておけ、良い部屋を使ってくれて構わない」


俺はたじろぎながら答える。

俺の言葉に満足したのか、靜佳は俺の腕に自信の腕を絡ませると、


「さぁ行こうお兄ちゃん!」


そう言って俺の体を押してくる。

俺はそんな靜佳に押されながら靄を通ると、塔の麓に繋がっていたようだ。


「わぁ~、久しぶりに見ると相変わらず高いね~」


靜佳がそう言って塔を見上げる。

すると、


「おかえりなさいませヴァルダ様」

「わッ?!」


俺の右前からセシリアが現れて出迎えてくれる。

そんな突然のセシリアの登場に、靜佳は驚いた声を出して俺の腕を更に抱きしめる。

その瞬間、セシリアの可愛らしい眼が鋭くなって俺の腕に抱きついている靜佳の事を見る。

おそらく、主である俺に引っ付いている状況が気になる様だ。

しかしこの場合、靜佳の事をどうやって説明すれば良いだろうか?

俺が悩んでいると、


「………初めましてこんにちは!私はシュリカ!この度ここで一緒に過ごす事になりました!」


靜佳が簡単に自己紹介をしたのだが、名乗った名前がシュリエルでも靜佳でも無かった。

俺がその事を疑問に思っていると、


「初めましてシュリカさん。それで、何故ヴァルダ様とそんなにくっ付いているのですか?」


セシリアがいつもより冷たい声で、靜佳に質問をした。


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