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周りの景色が速い速度で変わっていくなんてものではなく、景色であろう緑色とか茶色がどんどん変化していく様に、スレイの速さが異常だということだ。

そして何より、


「~~~~ッッッッッッッ!?!?!?」


後ろで声ではない、ただ息が吐かれているだけの絶叫に俺は申し訳ない気持ちになる。

まさかこれだけ速いなんて思っていなかった故に、ブルクハルトさんへのサポートが甘すぎた。

俺がそう思っていると、スレイが今度は一気に急停止した所為で首が前にガクンと出てしまい、危うくスレイのうなじ部分にぶつかる所だった…。

俺はそう思いつつ、スレイが止まったという事は何かしらの建物を見つけたという事かと察し、辺りに視線を向ける。

すると、まだ大きい建物が少なく帝都の露店の大きさくらいの建物が集まっている街を見つけた。

まさか、あそこがアルラトなのだろうか?

俺はそう思い、


「ブルクハルトさん、あそこがアルラトですか?」


後ろにいるブルクハルトさんに声を掛ける。

すると、


「そ、そうです…が。まさかここまで早く着いてしまうなんて」


後ろからそんな声が聞こえた。

合っているなら良かった。


「スレイ、もう少し近づいてくれ」


俺がスレイにそうお願いをすると、今度はゆっくりと進んでくれる。

と言っても十分に速く、おそらく電車並みのスピードは出ているであろう。

そうしてアルラトの近くへ寄ると、俺とブルクハルトさんはスレイから降りて、互いを縛っていたロープを解く。

それから俺はスレイを塔に帰還させ、俺とブルクハルトさんは徒歩でアルラトの検問所まで行くと、


「…止まれ、見ない顔……ん?ブルクハルト様ですか?」


俺の事を見て警戒した様子で声を掛けてきた騎士が、俺の後ろにいるブルクハルトさんを見て声を少しだけ和らげる。


「お久しぶりですね。こんな格好で申し訳ないです。身分証と通行許可証は持っていますよ」


先程まで息が荒かった人とは思えない、ブルクハルトさんの手慣れた動きに俺は驚く。

それに今見て感じたが、ブルクハルトさんは亜人族の人達に対してと人族、亜人族を虐げていない人族で話し方が少し違う様に感じる。

騎士と話している姿を見て、俺と話している時よりもどこか冷たいというか淡々としている。


「確認しました。お通りください」


騎士はそう言うと、道を開けてくれた。

それにブルクハルトさんはお礼を言い俺の事を呼び、アルラトの城下町へと歩みを進めた。

アルラトの街は、賑わいはあるが同時に静かでもある。

店がある道などは賑わっているのだが、おそらく家屋が並んでいる道はとても静かである。


「帝都とはまた違った賑わい方していますね」


俺が街並みを見ながらのそう言うと、


「帝都の街が賑わい過ぎているからそう感じると思いますが、基本的にはアルラトの街が平均的だと思いますよ」


ブルクハルトさんが俺と同じ様に街並みを見つつそう答えた。


「ここからシュリエルがいる場所は遠いですか?」

「いえ、そこまで遠い訳では無いですよ。あと少しこの道を歩いて、右に曲がってしまえばすぐです」


俺とブルクハルトさんがそう言い合い、ブルクハルトさんの道案内のおかげですぐに目的の場所に到着する事が出来た。

なるほど、ブルクハルトさんの商館よりかは小さいが、明らかに奴隷商人の商館というのが分かる。

まるでペットショップの様に、壁の一面がガラスで奴隷の人達の行動や姿が常に見える様になっている。

それに、奴隷の人達の服装はあまり良い物でもなさそうだ。

男女共に露出部分が多く扇情的な格好をしている。

ブルクハルトさんの所とは大違いだ。

俺がそう思っていると、


「ここの者は奴隷商人としてはあまり好かないですが、商人としての奴隷の見せ方は買い手に買いたいと思わせる事に長けています。その代わり、ほとんどの奴隷が性奴隷になってしまいますが…」


ブルクハルトさんが複雑そうな表情でそう言う。


「少し予想外ですね。ブルクハルトさんでしたら、こういう奴隷商人は関係を持たない様にすると思っていましたが」


俺が素直に感想を述べると、


「出来る事なら私もそうしています。しかし、ここの商人は顔が広い故に、様々な所から亜人族の人達を取引しています。反対に売る相手も色々な人がいますので、良くない者に売られて行かない様に私が取引をしているのです」


ブルクハルトさんが、小さな声で俺にそう言ってきた。

なるほど、普通だったら取引なんてしたくないが、亜人族の人達の事を想って我慢して取引しているという事か。

俺が納得していると、


「そのために、定期的に食事をしたり文通のやりとりをしないといけないのです………。面倒で苦痛なのです…」


ブルクハルトさんが顔をしかめて言う。

色々と大変なのだろう。

俺が良い人材に出会えるのも、彼が日々嫌でも関係を保ち続けてきた結果のおかげだ。


「ありがとうございますブルクハルトさん。貴方のおかげで、亜人族の人達は良い人達と出会えているのでしょう」


俺が感謝の言葉を言う。


「そうであれば、私はもっと頑張らなくてはいけないですね」


俺の言葉を聞いたブルクハルトさんはそう言い、


「では行きましょうビステル様!ビステル様のお知り合いであれば、私も出来る限りの事をします!」


更に続けて意気込むと、ブルクハルトさんは先に歩き始めてしまった。

先行くブルクハルトさんに付いて歩き出す。

商館の門番をしている人は、ブルクハルトさんの事を見ると警戒を解き背後の俺の事を見てきた。

おそらく見ない顔故に、僅かな警戒をしているのだろう。

しかしブルクハルトさんがいる手前、彼の元にいる俺に無礼な事は出来ないだろう。

俺がそう思っていると、


「ターリット様に手紙の件で来たと、伝えてもらえますか?」


ブルクハルトさんが、門番をしている人に用件を伝える。

それを聞いた門番は一礼をすると、急いで商館へと入っていった。

少し外で待っていると、


「随分と速いじゃないかブルクハルト。いつもこうだったら、私も嬉しいんだけどねぇ~」


門番を従えて来たのは、妖艶な女性だった…。


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