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俺の質問を聞いたレオノーラさんは少し考えた後に、


「それくらいならば良いだろう」


そう言って、一度話を区切ってティーカップを持ち中のお茶を飲む。

そんな姿も絵になるなと思いながら、俺がレオノーラさんの動きを1つ1つ観察していると、


「………見られるのは慣れているが、そこまで見つめられると困るのだが…」


レオノーラさんがそう言ってきた。


「すみません。動き1つ1つが綺麗だったので…」


俺はそう謝罪をして、彼女の事を見つめすぎない様に少し視線を店内に移していると、少しだけティーカップを置く音が目の前から聞こえる。

音を聞いた俺が視線を戻すと、


「超越者になる理由、それは死を知り死を超える事が第一条件だろう」


レオノーラさんがそんな事を説明してきた。

死を知り、死を超える…か。

という事は、彼女はそれを乗り越えたという事か。

しかしそれなら、何度も死を乗り越えたらどんどん強くなるのだろうか?

俺がそう思考すると、俺の表情を見て何を考えているのか察したのか、


「君の考えている事、察する事が出来る。乗り越える事は出来た。しかし、乗り越えた後はもう、成長する事が出来ないのも知ってしまったんだ」


レオノーラさんがそんな事を言ってきた。

レオノーラさんの言葉の通りなら、一回きりの成長という事か。

こればっかりは試す事とかできないし、色々と情報を集めるしかないな。

それにしても、死を乗り越える。

言葉通りなら、「UFO」と方法は同じかもしれない。

俺はそう考えつつ、


「つまり、生き返る事でレベルの上限が上がるという事ですよね?」


そう聞いてみる。

すると、


「死ぬ必要はない。死に最も近づき、生還した者が超越者になることができると、私は考えている。………私の他の超越者、剣聖ゼド。あの者も、私と同じ様に死に近づいて生き永らえた事で、レベルが上限を超えたと言っていた」


レオノーラさんがもう1人の超越者の情報を教えてくれた。

剣聖ゼド?

初めて聞く名前だ。

俺はそう思っていると、


「奴は剣の才能があり、握っている剣も最高の一振りを皇帝陛下から賜った物。しかし、奴は人族故の亜人族を迫害する考えが強い。その事で私は奴と戦い、敗北した。その時に死にかけ、レベルが上限を突破した。しかし、超越者になっても剣聖には勝てなかった。もしかしたら、私と彼では何か違う事があるのかもしれない」


レオノーラさんが更に情報を教えてくれる。

それにしても、レオノーラさんですら勝てない相手がこの国にいるのか。

名前も聞いた事がある様な無い様な曖昧な状況だ。

どの様な人物なのだろうか?


「その様な強者がいるにもかかわらず、話は全然聞いた事が無いですね」


俺がそう聞くと、彼女は少し息を吐いて、


「今はジーグへと行っている。ジーグは今、良い噂を聞かない。帝都最強であるゼドが監視で行っている間は、ジーグの者達も下手に動こうとは思わないだろう」


俺の問いにそう答えてくれた。

なるほど、だから剣聖の話は聞かないのか。

俺がレオノーラさんの言葉に納得していると、


「君の強さは僅かだが理解している。しかし剣聖には挑まない方が良いだろう。亜人族を純粋?に思っている君が死ぬのは残念だからね」


彼女は俺の事を心配してくれているのか、警告の言葉を伝えてきた。

レオノーラさんの言葉に俺は、


「そこまで言われたら、挑まない様に善処します。ですが、会った時に亜人族を侮辱する言動をした際は、我慢出来ずに斬りかかるかもしれませんね」


そう言って笑う。

俺のそんなほとんどが本気の言葉に、


「容易に想像できるのが怖いところだ。その時は、私の権限で拘束くらいに止められる様に善処するとしよう」


レオノーラさんはそう言うと、ティーカップに残っている紅茶を飲み干す。

俺もそれを見て、僅かに残っているお茶を飲み干してお金を取り出そうとすると、


「今日誘ったのは私だ。ここは私が出そう」


レオノーラさんがそう言って俺の動きを制止してくる。

俺は彼女の言葉に、


「いえ、ここは自分が払います。誘う誘わない関係なく、女性にお茶代を出して貰うなど男として立つ瀬がありません」


そう言い、レオノーラさんより先に金銭が入った袋を取り出して、リザードマンの店主の元に行き会計を済ませる。

流石にレオノーラさんもここで言い合いをするのは、良くないと判断してくれたのかお礼の言葉を言ってきた。

店を出ると、


「私が誘ったのに、ご馳走になってすまない。この埋め合わせはまた後日、機会があればさせてもらおう」


レオノーラさんがそう言ってきた。


「その時は、レオノーラさんにも楽しんでもらえる様な話が出来る様に努力しておきます」


俺がそう言うとレオノーラさんは、ではまたと言い帝都の街の人波に消えていった。

俺は彼女が去って行った方向を少し見つめていたが、少しして踵を返して歩き始める。

超越者の情報と剣聖の情報、お茶2杯分の金額では全然払い足りないくらいの情報が手に入った。

特に超越者の情報は良かったが、実践するのは少し後になってからだな。

「UFO」からいる塔の皆はおそらく俺の上限と同じだからレベルが上がる事はないだろう。

となると、可能性があるのはルミルフルが一番だな。

彼女は既にこの世界では高レベルになっている、この世界の上限まで到達させた後に、死を乗り越えさせれば超越者になる…。

とりあえず、一度ゆっくりと話をした方が良いな。

彼女がもう、復讐とかそういう事を考えていないのなら無理をさせるつもりはないし、単純に強くなりたいのなら、その願いを叶えてあげれば良い。

俺がそんな事を考えながら歩いていると、


「ビステル様ァァ~~~~~ッッ!!」


野太い雄たけびが聞こえてきた…。

流石にこんなに叫ばれると、周りの人達も何事かとザワザワし始める。

俺がそう思っていると、馬車の窓から体を乗り出して俺の名前を叫んでいるブルクハルトさんが見える。

あそこまでしているという事は、何かあったのだろうか?

俺がそう思っていると、ブルクハルトさんが俺の事を見つけて馬車が一気に俺の前に停車する。

そして、


「ビステル様、見つけましたッ!」


そんな事を言ってきた………。

可愛い亜人の子に言われたかったよ…。


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