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139頁

灯台を眺めていたエルヴァンとアンリは少しして、次に見て回る場所を探しに歩き始めた。

帝都とは違う建物の構造を見つつ、


「エルヴァン様。先程の灯台を見て思ったんですが、帝都の建物とは結構違いますね」


エルヴァンに同意を求める。

アンリの言葉を聞いたエルヴァンは、


「そうだな。どの建物も少し壁が厚いというか、頑丈に作ってあるように見える。先程の灯台も、根元の部分は頑丈に作ってあるようだったぞ。素人だから、そこまで詳しくはないがな」


そうして歩いていると、


「帝都に比べると、やけに新鮮な魚が置いてあると言っているな」


今度はエルヴァンの方が帝都との違いを口にした。

エルヴァンのその言葉を聞いたアンリは、魚を売っている人達の言葉をよく聞くと、


「今日はこいつが活きが良いよ!」

「まだ海から上がって間もない新鮮な奴たくさんあるよ~!」


エルヴァンの言った通り、帝都ではあまり聞く事が無かった言葉が出てくる。


「やはり、海が近いという事はそれだけ新鮮さを争う良い材料になるんでしょうか」


アンリがそう言って売られている魚を買っていく人達を見ていると、


「それにしても、ここは魚が多く取引されているが、他の食料はどうなっているんだ?荷卸しの者達が別にいるのだろうか?」


エルヴァンが更にそう声を出す。

エルヴァンが見ている先には、おそらく先に売れていったであろう魚介類を入れていた樽や木材で作られた箱が無造作に置かれている。

今までエルヴァンとアンリが歩いている最中にも幾度も視界に入った物だが、それなら全て魚介類が入っていたか、すでに空になっていたかのどちらかだった。

エルヴァンがそれを見ていると、


「あ!あれ見てくださいエルヴァン様!旅の途中で見た商人さん達ですよ!」


アンリがそう言って今丁度テンダールに到着した商人一行を指差す。

アンリの指差した方向に視線を送ったエルヴァンは、


「良く覚えているな。私の記憶には無いぞ」


アンリの記憶力に驚いていた。

驚いてそう言ったエルヴァンに、


「エルヴァン様は警戒して人というよりも、人の動きに注意していましたからね」


アンリはそう言いい更に、


「そんな事より、あの商人さん達は前に立ち寄った村で赤黒い光沢がある実が入っていた箱を荷馬車に積んでいたので、それを卸しに来たんでしょうかね?」


少し商人達の様子を気になりながら続けて言う。

それを聞いたエルヴァンは、


「可能性は十分にあるが、ここは港街。船に乗せて違う場所に持って行くのかもしれないぞ」


そう言って歩き出す。


「あ、待って下さいよエルヴァン様!」


先に歩いてしまったエルヴァンにそう言い、アンリは商人達の動きを気にしながら小走りでエルヴァンの後を追いかけた。

次に訪れたのは、普段と同じエルヴァンの興味がある武具屋であった。

アンリは少し頬を引き攣らせながら中に入ると、先に入っていたエルヴァンは少し考え込む様に並べられた装備を見て、


「面白いな。埃を被っていない様だが、随分と放置された様な武器が多い。……店主、この装備などはそれほど高い物なのか?」


店の奥で何やら煙を吐いている店主にそう質問をした。

すると、


「そんな高いもんじゃねえが、まずこの町に住んでいる様な連中はそんな身綺麗な武器なんていらねえんだよ。生活に必要な、銛なんかが売れ筋だな。一応様々な地方の装備を取引してるが、まともに売れた装備なんて数えるくらいしかねえ」


エルヴァンに声を掛けられた店主がそう言ってため息をついた、

エルヴァンがそんな店主を見ていると、


「この変わった形の剣は?」


後ろにいたアンリが置かれている剣を指差しながらそう声を出す。

その言葉を聞いた店主がアンリの事を見た後、彼が指差した剣に視線を移して、


「それは刀だな。ジーグ特有の細身の刀身に片刃なのが特徴よ」


アンリの質問にそう説明をした。

それを聞いたエルヴァンは、


「切れ味と刺突性はありそうだが、耐久性がなさそうだ」


ジーグ産の刀を見て第一印象を口にする。

その言葉を聞いた店主は、


「あんたが背負ってる大剣なんかと比べたりしたら脆いかもしれねえが、それでもその細さの刀身の中では一番と言って良い程頑丈なんだぞ」


エルヴァンに呆れた様子でそう言い返した。

店主の言葉を聞いたエルヴァンは、


「それはすまなかった。…店主、ジーグの事は知っているか?私とアンリは明日船でジーグへ行くのだが、今まで貿易などの関係を絶っていた所らしく、詳しい事情などが分からない状態なのだ」


店主にそう聞いてみる。

エルヴァンの問いを聞いた店主は、更に煙を吐いて、


「まぁ一応直接取引してるから知ってはいるが、正直割に合わないな。………教えて欲しかったら、何か一振り買いな」


そう言ってきた。

店主のその言葉を聞いたエルヴァンは、軽く頭を動かして頷くと、


「では、この店で一番重い剣はどれだ?」


そう質問する。

エルヴァンのそんな言葉を聞いた店主は顔だけ動かして、


「それだよ。元々巨人族のナイフだったんだが、奴らが姿を消してから結構貴重な物になったんだがね。いつまでも埃を被っていられちゃ商売ができねえ。買ってくれたら、俺の知っている事は全部教えても良い」


そう言ってきた。

店主の愚痴の様な言葉を聞いたエルヴァンは、


「分かった。これを買おう、ギルドから支給された前金で払おう。アンリ、頼めるか?」


頷いてアンリに金が入っている袋を出せるか聞く。

その言葉を聞いたアンリは、


「はぁーい」


少し残念そうにしながら懐から金の入っている袋を取り出すと、エルヴァンが決めた剣を買ったのだった。

そうして必要ない武器の買い物と、ジーグの情報を軽く手に入れた2人は店主にお礼を言うと、店主の方もお礼を言ってきた。

そうして買い物兼情報収集が終わった2人は宿屋へと戻って来ると、明日に備えて早く就寝する事になりいつもなら夜が遅いエルヴァンとアンリには珍しく早くベッドに入ったのだった。


「おやすみ」

「はい。おやすみなさい」


2人はそう言い合い眠りについた。


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