表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/501

130頁

改めて俺の言葉を聞いたブルクハルトさんは、俺の予算について聞いてきた。

そこで俺はリーゼロッテ先生から受け取った袋の中を確認していないのを思い出し、受け取った状態で放置していた袋を目の前のテーブルの上に置いて、


「とりあえず僅かな生活費を抜いた合計で、ブルクハルトさんが見繕ってくれると嬉しいです」


そうお願いをしながら、袋を開けて中を覗き込む。

その瞬間、


「ッッ!?!?」


俺は袋の中を見て、声に出ない驚きの表現をしてしまった。

ブルクハルトさんは俺の様子を見て、


「失礼します」


と俺に言いながら袋の中身を覗き込んだ。

袋の中身を見ても表情に変化が無いのは、普段からよく見ているからだろうか?

俺がそう思っていると、


「なるほど。まさか数週間で、これだけの金額が揃っているとは思えませんでした。レベルデン王国で教鞭を執っていたと聞いていましたが、流石ですね」


ブルクハルトさんがそう言って俺の事を見てくる。

俺は彼の言葉を聞いて、


「いやおそらく、俺自身を個人で雇ってくれた人のご厚意もあると思います。でなければ、ここまで金貨が入っているとは思えませんでしたよ」


そう言って袋の中をゆっくりと、袋を傾けてテーブルの上に出す。


「銀貨は無く、全てが金貨。枚数は………」


すると、ブルクハルトさんが数を呟きながら金貨の枚数を数え始める。

そうして袋に入っていた金貨の枚数は35枚だった。

これがどれだけ凄い金額かは少し分からないが、2週間でこれを稼ぐのはなかなかあり得ないと、ブルクハルトさんが教えてくれた。

そうして給料の全てを把握し、今度はどの様に使う事を話し合う事にした。


「まず冒険者ギルドで仕事は受けるつもりなので、生活費はあまり考えないで良いです。でもその代わり、食材などを買う予定です。その分を引いた金額で、こちらの奴隷を引き取りたいのですが…」


俺がそう切り出すと、ブルクハルトさんはふむふむと頷きながら金貨を分けていく。

俺がそれを眺めていると、


「食材の買い出しはどのくらいを検討していますかね?」


ブルクハルトさんがそう聞いてくる。

なるべく多くが良いが、それだけでは俺の今後の収入に比例しないだろう。


「今回は多めで。でも今後は奴隷の人達に任せて農業に力を入れようかと思っています」


俺がそう伝えると、


「では奴隷の方も、男女混合の農業経験などがある方が良いですね。ビステル様ですから、決まった種族の方とか気にしないでしょうし…」


ブルクハルトさんが俺の考えをくみ取って、そう提案をしてくる。

流石はやり手の奴隷商人、こちらの意図を理解しての提案。

俺が彼の言葉に感心していると、


「他に何かご要望はありますか?」


ブルクハルトさんがそう聞いてきた。

他にも…か。

色々と必要な物が多い故に、それを自分達で用意しようと思っているからそれに適した人材が欲しいという気持ちはある。

しかし今の俺にはそれだけの人材を集めるほどの財力が無い故に、今は贅沢を言う訳にはいかない。


「いえ、今回はそれでお願いします。これからも奴隷になってしまった人達を助ける為に、協力をお願いします」


俺がそう言うと、ブルクハルトさんも、


「こちらこそよろしくお願いします」


と言って、一度部屋を出ていった。

さて、奴隷と言ってもあまり強制はしたくないからな。

塔の住人になる為の契約はしないといけないが、奴隷としての契約は別にしなくてもいいだろう。

俺がそう思っているうちに扉がノックされる。

俺が返事をした方が良いんだよな?

俺1人しかいないもんな。

俺はそう思い、


「どうぞ」


俺がそう言って短い返事をすると、扉が開いてブルクハルトさんが入ってくる。

それと同時に、簡易な服装ではあるが清潔感がある男女数名が入ってきた。

部屋に入る前に、ブルクハルトさんとは違って一礼した姿を見て礼儀作法がしっかりとしているのが分かる。

ブルクハルトさんが改めて俺の前のソファーに座り直すと、彼の後ろに奴隷の人達が並んで立つ。

ふむ、普通の人族もいれば亜人の人もいるのか。

俺がそう思いつつブルクハルトさんの後ろの人達を見ていると、彼らは少し緊張した表情で俺の事を見てくる。

流石にジッと見過ぎてしまったか?

変に緊張させるつもりはなかったのだが…。

俺がそう思っていると、


「ではビステル様、紹介させていただきます。まずはナイゼ、人族の女性。年齢16歳。奴隷になった経緯は、家族が多く口減らしが理由ですね。元が農家であるので、ビステル様のご希望通りだと思います」


ブルクハルトさんが俺に奴隷の人達の紹介を始めた。

名前を言われたナイゼという女性は、一歩前に出て軽く頭を下げる。

ふむ、奴隷になった理由も犯罪を犯した訳では無いし、農業の経験もあるのは良いな。

俺がそう思っていると、


「次にハイムゼート、獣人の男性。年齢22歳。奴隷になった経緯は、税金の支払いが出来なかったですね。元は他の奴隷商人の元にいたのですが、あまり良い環境では無かった所を私が買い取りました。元は第二級冒険者で獣人ですので力強く、農作業に良いかと思いまして推薦させていただきました。勿論、戦力と考えていただいても構わないと思います」


ナイゼさんの紹介が終わり、彼女の隣の男性の紹介が始まった。

ブルクハルトさんが男性の紹介を始めると、ナイゼさんが一歩後ろに下がり隣の男性が彼女と同じ様に一歩前に出た。

………獣人と言っても人族よりの外見だな。

頭の上にある犬耳が獣人だと分かるが、後は人族と同じ様な外見である。

税金の支払いも、亜人の人達は人族に比べて多く払っているらしいから、おそらく第二級冒険者でも払えないくらい税金を支払う様にされたのだろう。

…あれ、俺って税金払っていないけどどうなるんだ?

俺がそう思って少し不安に思っていると、


「ビステル様?大丈夫ですか?」


俺の表情を変化に気付いたブルクハルトさんが、心配そうに俺にそう聞いてきた。

奴隷の紹介をされている時に、自身の税金に対して不安を感じているのは奴隷の人達にも、ブルクハルトさんにも失礼だよな。

俺はそう思い直し、


「すみません、少し考え事をしていました。続けてください」


ブルクハルトさんと、彼の後ろに立っている奴隷達に謝罪をした。


読んでくださった皆様、ありがとうございます!

ブックマークしてくださった方、ありがとうございます!

評価や感想、ブックマークをしてくださると嬉しいです。

誤字脱字がありましたら、感想などで報告してくださると嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ