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そんな話をしているうちに、G組の陣営に女性が現れた。

その姿に見覚えもあり、しっかりと話したこともある俺は、


「再開の連絡ですか、アーデさん?」


そう声をかける。

俺の言葉にアーデさんは頭を下げ、


「お待たせしました。対抗戦の再開のお知らせを命じられまして、こちらに来ました。もうすぐ鐘が鳴ると思いますので、今まで通り鐘が鳴りましたら練習場へ来てください」


そう報告をしてくれる。


「分かりました。ありがとうございます」


俺が彼女に感謝の言葉を言うと、彼女はすぐに踵を返して去って行ってしまった。

そして、彼女が去ってすぐに鐘の音が聞こえてくる。


「気をつけて」


俺がそう言うと、G組の皆は静かに頷いて歩き出した。

俺はその光景を少し見た後、


「さて、じゃあ行きましょうかリーゼロッテ先生。最後の生徒達の頑張りを、しっかりと見ましょう」


リーゼロッテ先生にそう言って生徒達とは反対方向に歩き出す。


「…そうですね」


リーゼロッテ先生は生徒達が心配でもう少し後ろ姿を見ていたかった様だが、最後まで見送っていたら対抗戦再開の開始の瞬間を見られないだろうと判断したのだろう。

そんな事を考えつつ、俺とリーゼロッテ先生は生徒達の事を心配しながら送り出し、対抗戦がしっかり見える場所へ移動した。






ヴァルダとリーゼロッテに背を向け歩いているG組の生徒の1人、レナーテが自身に付加されている魔法の効果を確認する様に両手を見つめながら歩く。

それを見ていた友達ソフィが、


「どうしたのレナーテ?」


レナーテにそう質問をする。

ソフィの質問を聞いたレナーテは、自身の手を未だに見つめたまま、


「先生が私達に付けてくれた魔法、どれも中級魔法ではあるんだけど少しおかしい気がして…」


そう答える。

その言葉に、ソフィは自身の手をレナーテの様に見るがよく分からずに首を傾げる。

すると、そんな2人の様子を見ていたアーレスが真剣な表情で、


「レナーテの言う通りだよ。先生が使った魔法、前に仲が良い人が使える魔法でして貰ったんだけど、あの時よりも更に力が高まってる」


そう言う。

その言葉を聞いたレナーテは、


「その人の精度が低いという訳では無いでしょうアーレス?」


アーレスに質問をする。

周りの生徒達は、これから自分達の運命が決まるかもしれない戦いに緊張しているのに、この2人は何故自分達の様に緊張していないのだろうかと思いつつ2人の会話を聞く。


「そうだね。その人が劣っている事は無いって断言できる。多分、先生の方が異常な魔法技術を有しているんじゃないかな。レナーテも知っている通り、あの人は色々と謎に包まれてるからね。魔導書にモンスターを使役している、そして中級魔法を使用しているのに、実際は上級魔法に匹敵するレベルだよ」


アーレスがそう言うと、


「中級魔法が上級魔法に匹敵するって、もうそれ自体がおかしいのよね…。今さらだけれど、あの人は個人的に繋がりがあった方が良いかもしれないわね」


レナーテがそう言って真剣な表情をする。

そんな話をしているうちに練習場への通路を歩き終わり、対抗戦の会場に戻ってきた。

G組の皆が練習場へ行くと、先にF組の生徒達がすでに到着していた。

すると、先に見えるF組の様子がおかしい事に気がついたアーレスが、


「ここからじゃハッキリとは見えないけど、向こう全員フラフラしてないか?」


そう言うと、その言葉を聞いたG組の生徒達はF組の生徒を見ようと目を凝らす。

しかし、


「どうすれば、あの人との繋がりが…。…お金?」


レナーテはヴァルダの力を留めておきたく、色々と思考し周りの様子を気にしていない。

そうして両クラスが練習場に集まった事が確認されると、鐘の音が響き渡った。


「レナーテ!いい加減戻ってこい!始まったぞ!」


流石に普段温厚のアーレスも、思考の世界にのめり込んでしまったレナーテにそう声を掛けると、


「そ、そうだったわね!」


レナーテは一度考える事を止めて、目の前の相手に集中する。

レナーテ含め、G組の生徒達はふらふらと立ち尽くすF組の生徒達の動きに注意して魔法を初っ端から発動するのを躊躇う。

すると、


「ぐ…ずり…。くれ…くれ…くれくれくれクレエぇぇぇぇッッ!!」


F組の生徒がそんな叫びを上げながら一気に駆け出し、G組の生徒達に襲いかかる!

F組の生徒の様子におかしい事にレナーテは戸惑ったが、それと同時に今まで馬鹿にされていた事の復讐を、クラス対抗戦という名目で正々堂々に打ち負かす事が出来るとレナーテは考え、


「ライトニングッ!」


向かって来たF組の生徒に、ほぼ全力の魔法を放つ!

レナーテの魔法によって地面に倒れたF組の生徒は、それでも腕だけで地面を這いずりG組の生徒を襲おうと前に進む。

それを見ていたF組の生徒達は、恐れる事なく一斉にG組の皆に襲いかかろうと走り出した。

対してG組の生徒達は、その不気味さに一瞬反応が遅れてしまったが、向かってくるF組の生徒達を1人でも行動不能にしようと魔法を放ち始める。

G組の生徒の魔法を受けたF組の生徒達は、襲ってくる魔法を避けもせずにただひたすらに距離を縮めようと進み続ける。

そんな異常な光景に、G組の生徒達を含めて対抗戦を観戦しに来ていた家族も口に手を当てて驚いてしまう。

ヴァルダは、ゾンビ映画やゲームみたいだなと思いながら対抗戦の様子を見つめ、隣にいるリーゼロッテはあまりの酷い変わり様に絶句している様子だった。


「アーレス!何あいつらの動き!?魔法も使ってこないで、ただひたすらにこっちに来るんですけどッ!?!?」


レナーテも流石に自分達に向かってくるF組の生徒達の動きを見てそう叫ぶと、


「これがヴァルダ先生の言ってた事なんだろう!とにかく近づかれたら何をされるか分からない!今は後退しつつ、動けない様に壁を作って時間を稼ごう!」


アーレスはレナーテにそう返事をして、土魔法で壁を作り更に近づいてくるF組の生徒に火魔法で攻撃をする。

レナーテは、アーレスの言葉を聞いて自分が混乱で焦っているのを自覚し、それと同時に仲間の様子を窺う。

そして目の前には、レナーテ本人よりも状況に混乱し向かってくるF組の生徒達の姿に恐怖した仲間達が慌てふためいている姿が目に入った。


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