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119頁

俺が対抗戦の様子を見て、このまま順調にいけば勝てると思っていると、


「お前らッ!いい加減にしやがれッ!さっさと働けよッ!」


A組の怒号が聞こえ、今まで目の前のG組の皆に意識を向けていたA組の生徒が背後に意識を向けてしまった。

その結果、


「なッ!?どうなってんだッ!?」


A組の生徒が数人やられている光景を目にした声を荒げていた生徒は、いつの間にかやられている仲間を見て動揺しつつも、犯人を探すべく視線をキョロキョロと移す。

しかし、その隙を見逃さないアーレス君率いるG組の皆。

即座に自分達に注意が無くなった生徒を狙って魔法を放つ。

しかし、


「邪魔だァッ!アースウォールッ!」


流石にそう簡単にやられる生徒では無い様だ。

G組の生徒の魔法を数発防ぐ程の壁を作り上げると、視線を背後に潜んでいるレナーテさんを見つける様に向ける。

マズいな、いくらレナーテさんでも気が立って全力で魔法を放ってくるA組の生徒と対峙するのは得策では無い。

下手をすれば、大怪我をしてしまうかもしれない。

怪我をする程度なら、すぐに処置をすれば俺でも何とか回復させる事が出来るだろう。

しかし、恐怖と痛みを忘れる事は難しい。

それが原因で、次の戦いには参加する事が出来ないとなってしまえば、G組の戦力は一気に削がれてしまう。

俺がそう思って対抗戦の様子を窺っていると、


「援護するからッ!撤退してレナーテッ!」


A組のアースウォールを破壊しようと魔法を放っていた生徒達の1人、コルネリアさんが声を出してレナーテさんに伝える。

しかし、流石にレナーテさんも対峙している相手の隙を窺っているのか、すぐに動く事は出来なさそうだ。

アーレス君達が相手の注意を引かないと、レナーテさんは逃げる事が叶わないだろう。

俺がそう思っていると、A組の生徒が作ったアースウォールにヒビが入るのが見えた。

流石に皆の攻撃魔法を何度も受けられる程、強度は高く無かった様だ。

すると、


「屑共の分際でッ!!何でそこまで魔法を使えるんだよッ!!」


A組の生徒の誰かが、苛立った様な焦った様な声を出す。

その言葉が聞こえた瞬間、


「ライトニングッ!」


レナーテさんがまさかの攻撃を開始した。

雷の一閃。

まさにそう例えても良いという程、速く鋭い魔法が放たれた。

あれほど速い魔法は、おそらく成長しない俺の魔法に比べると希望に溢れているな。

元々魔法技術の才能があったのと、リーゼロッテ先生の技術説明、俺の僅かな魔導書などの支援、そして何より彼女自身の努力で、あそこまで昇華させる事が出来た様だ。


「ライトニングッ!」


光が奔る。

その速さに、A組の生徒達も対応が遅れるのが見える。

それと同時に、G組の皆が一気にA組との距離を縮める様子を確認する。

なるほど、レナーテさんとアーレス君達が交互に動いてA組の標的になるという感じか。

俺がそう思っている内に、何度もレナーテさんがライトニングを放ってA組生徒達の注意を引く。

徐々に距離を詰めていくアーレス君達に気づいた生徒が声を出して合図をしようとすると、レナーテさんが魔法を放ってそれを阻止し、レナーテさんが危なくなるとアーレス君達が援護をする。

もう少しで決着が着きそうではあるが、どちらが勝てるかだけは未だに分からない。

レナーテさんのショックと、アーレス君達の魔法でA組の生徒は半分くらいまで減らす事が出来ているが、皆の魔力の残りも少ない。

攻め切る事が出来れば良いのだが、怪しい部分ではある。

現に、少し離れた俺からでも分かるくらい息が荒く、立っているのもやっとな子達が数人いる。

おそらくここで求められるのは、一気に相手を倒す力だろう。

どちらの陣営だとしても、これ以上の消耗は抑えたいはずだ。

ならば、決着を着けようとすぐに行動する。

俺がそう思った瞬間、


「ライトニングサークルッッ!!」

「ファイアストームッッ!!」


両組が同時に動き出した。


「行けッ!進めッ!1人でも多く倒すんだッ!」

「お前ら早く屑共をどうにかしろよ!俺はこの女をぶっ飛ばすからな!」


それと同時に、両陣営の指示などが聞こえ魔法が更に激しさを増して飛び交う。

魔法で地面が吹き飛び、悲鳴が聞こえる度に隣にいるリーゼロッテ先生が体を震わせる。

すると、


「猛き心よ、我が魔力に呼応し、力を成せッッ!!」


詠唱が聞こえ始める。

それを聞いたリーゼロッテ先生が、


「上級魔法!?そんな…、人が集まり過ぎているあそこで上級魔法なんて使ってしまったら……」


絶望の表情で、今にも倒れてしまいそうなか細い声を出す。


「燃え続ける炎、全てを灰燼に帰す紅蓮の炎よ、焼き払えッッ!!」

「あいつを止めろッ!!何でも良いから集中だァッ!」

「ウオォォッッッ!!!ファイアァァボォォォルッッ!!」

「エアスラッシュ!」

「ライトニング!」

「ウォーターバレット!」

「アイスランス!」


だが、G組の皆も上級魔法を撃たせまいと数人がかりで詠唱を止めようと魔法を放つ。

その間に、レナーテさんとアーレス君率いるG組の生徒達は、1人のA組の生徒に2、3人で倒していく。

レナーテさんが少しではあるがA組の生徒を倒していてくれたお陰で、人数の余裕が出来て数人がかりで確実に1人の生徒を倒す事が出来る。

俺がそう思っている考察している内に徐々に押されていったA組は最後の1人になり、G組の皆を罵倒しながら倒れた。

予想も出来なかったどんでん返しに、対抗戦を見に来ていた貴族達は声を出さず動きもしないで練習場の皆を見ていた。

ただ静かにG組の皆は回復の為に控えの場所に戻り、倒れたA組の皆は学院の教員や他の生徒、奴隷さん達に運ばれていった。


「リーゼロッテ先生、皆を迎えに行きましょう。少しでも回復させてあげないと」


俺がリーゼロッテ先生にそう声を掛けると、


「そ、そうですね!大丈夫ですよ!」


彼女は顔をゴシゴシと袖で拭い、俺よりも先に走って皆が来る通路に向かって行ってしまった。

どんなに信頼していても、心配はしてしまうよな。

俺はそう思いつつ、彼女を追って歩き出す。


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