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生徒達と綿密な話し合いをしている内にC組とF組が終わったらしく、結果は予想外のF組の勝利に終わったらしい。

しかし、戦闘不能で倒れている生徒達を見ると、魔法攻撃以外にも暴行を受けた様な怪我が見えて、前にリーゼロッテ先生と話していた会話を思い出した。

もしも、パプをF組の生徒達が服用し強化されているのなら、こちらは圧倒的に不利になる事は分かりきっている。

単純な魔法攻撃の戦いならこちらに軍配が上がるだろうが、物理的な攻撃はおそらく向こうの方が有利だろう。

魔法学院のクラス対抗戦で、魔法以外の攻撃が禁止されていない事自体が変だが、今はその対策をするしかない。

そうして次の試合の時間になり、俺とリーゼロッテ先生はまた試合がしっかりと見える位置まで移動する。

試合会場である練習場の対戦相手であるA組を見ると、彼らは気が抜けていてやる気も無さそうに見える。

油断している事は幸いだが、それでも彼らのすぐに倒す事は出来ないだろうな。

俺がそう思っていると、G組の皆が練習場に入って来た。

表情は不安や緊張よりも、俺が提案したこれからの動きに集中している所為か真剣なままだ。

それぞれのクラスの陣営が揃ったのが確認された後、一拍置いて鐘が鳴る。

その瞬間、


「「「アースウォールッッ!!」」」

「ファイアランス!」


G組の生徒3人が同時に三重の壁を作ると、同時にA組の1人の生徒の攻撃が衝突する!

激しい衝突音と震動に熱気が体を通り過ぎ、俺は土煙を上げている土の壁を凝視する。

土煙が少し晴れてくると、衝突したであろう場所が崩れているのを確信するが、三層に作り出した内の二層のアースウォールの壁が破壊されているのが見えた。

しかし、最後の一層はヒビは入っているが崩れておらず、A組の生徒の攻撃を防ぐ事に成功している。

良かった、初めてとは言え良い仕上がりをしている。

俺がそう思っている内に、


「情けねぇなグロー!あんな屑共に魔法を防がれるなんてよ!」


A組の方から仲間を馬鹿にした言葉と、笑い声が聞こえてくる。


「なら、お前もやってみろ!」


それに反論する声が聞こえてくると、


「良いぜ!ウィンドカッターッ!」


今度は風魔法が放たれる。


「「「エアストームッッ!!」」」


A組の風魔法に対抗する様に、G組の数人が風魔法を放って風の渦を作り出す。

1人のエアストームならもっと小さい渦が出来るのだが、数人で放つ合体させたエアストームは、その数倍の大きさを誇っている。

A組の生徒のウィンドカッターは、G組のエアストームに飲まれ掻き消される。

それを見ていた周りの貴族達は少しどよめき、魔法を掻き消されたA組の生徒は怒りの声を挙げている。

だが、そんな隙を見逃さないG組の皆。

即座に次々にA組の生徒達を囲う様にアースウォールを放っていく。

しかしA組の生徒達も簡単に捕まってくれる事は無く、それぞれが魔法を放ってG組の皆の魔法を打ち砕いていく。

頭上より高い位置まで作られる土の壁をそれぞれの魔法で破壊していく光景を見ていくと、土煙でどんどんA組の周りが見えにくくなっていく様子が見える。


「A組の生徒の視界、どんどん悪くなっていませんか?」


リーゼロッテ先生が対抗戦の様子を見てそう言ってきた。


「えぇ。これが作戦です。視界をどんどん悪くさせて、まずはA組の生徒の魔法の命中率を下げる必要がありますからね」


俺は対抗戦の様子を見ながら、リーゼロッテ先生の言葉にそう返事をする。

次の行動に移るだろう。

俺が対抗戦の様子を見ながらそう思っていると、今度はG組から仕掛ける。


「アイスウォール!」

「ウォーターバレット!」

「ライトニング!」


皆がそれぞれ得意な魔法を放つと、A組も負けずに魔法を放つ。

互いの魔法がぶつかり合うと、ほとんどが衝突した際に消滅するのだが、たまにA組の魔法の方がG組の生徒達に襲いかかる。

力負けしているのは時間が足りなかった所為だな、これからもっと時間を掛けてゆっくりと勉強と努力をすれば、すぐに追い越す事が出来るだろう。


「…大丈夫でしょうか」


リーゼロッテ先生が、心配そうな声でそう聞いてくる。


「怪我をしない様にとは言いましたが、見る感じ厳しいでしょうね。ですがもし怪我をしても、治せると思うので安心してください」


俺はそうリーゼロッテ先生に伝えて、A組の生徒達の方を見る。

アースウォールを崩した土煙がまだ晴れず視界は悪そうだが、それでもA組の生徒達はG組に向かって魔法を放つ。

それを防いだり避けたりしつつG組の皆も対抗していくが、長く戦うと相手の魔力の方が持ってしまう事を伝えてある所為か、少し焦りがあるように見える。

アーレス君が指示を出して攻撃を仕掛け、同時にA組の攻撃を防ぐ魔法を使って攻守に徹している。

すると、


「あ、今A組の土煙の方で何か光りましたけど…」


リーゼロッテ先生がA組の土煙を上げている所を指差す。

それを見て俺は、


「…あの光、相手を一時的に行動不能にする雷魔法、ショックに見えますね。でもあれは、遠距離魔法では無いので、あの位置からではG組の生徒には当たらないと思いますけど」


そう考察し、どうしてあの魔法を使っているのか考える。

A組の生徒達は、これまでの力量ならすでに終了している対抗戦の様子に混乱と焦りが出ており、統率が無く乱雑に魔法を放っている光景が見える。

対してG組の生徒達は、アーレス君が魔法を放ちながら指示を出し、皆がそれに従うのと同時に各自で判断して魔法を使っている。

すると、


「レナーテさんが、いませんね」


リーゼロッテ先生がそう言ってG組の皆の顔をジッと見つめながら視線を移していく。

俺も確認をすると、確かにレナーテさんだけ姿が見えない。

後方に下がっているのかと思ったが、そういう訳でも無さそうだ。

俺がそう思った瞬間、A組でショックの光がまた見えた。


「おいッ!もっと魔法を撃てよッ!お前らッ!」


そんな怒号がA組から聞こえてきて、こう思うと最初に比べてA組からの魔法攻撃が減っている様に見える。

それを確認した瞬間、俺はショックの光の理由を察する事が出来た。

土煙で視界を悪くして、派手ではあるけど威力は無く意識をそちらに向ける事が出来る魔法を使い続ける事で、後ろに意識を向かわせない様にしている。

その結果、背後からの攻撃に意識が向かわない様にしている…か。

あの子達が行うとは思わなかった手ではあるが、とても考えられているとは思う。

言うなれば、A組の結束力の弱さを狙った連携攻撃という感じか。

俺が伝えていた作戦ではないが、自分達で考えて行動しているのは良いことだ。

俺はそう思いながら、このままいけば生徒達のダメージは少ないと考えながら対抗戦の様子を見続ける。


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