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メヒテアとセシリアと別れてから、俺は塔の麓でどこへ行こうかと考え、先に目的がすでに決まっている荒廃島へ行くことに決定し、荒廃島を近くまで寄せる。

荒廃島へ飛び移ると、少し地面が歩きにくいのを感じる。

荒廃島、グールであるパウルやフィリア、ヴァンパイアであるアンリ、それとゴーレムのゴースが住んでいる。

見た目は西洋などの墓場を更にボロボロにした感じで、それ故に湿気がある様に感じる。

何というか、1人肝試しをしている気になるな。

俺がそう思って歩いていると、


「ヴぁ~」

「分かってるのパウル?貴方がいないと話し相手がいなくて寂しいのよ私は」


少し離れた所から、そんな話をしている声が聞こえてきた。


「いくらヴァルダ様に召喚させられたからと言って、私の話し相手を疎かにして良い訳では無いの」

「ヴぁー…」

「反省というか、帰ってきてもすぐにお墓に入って寝ないで欲しいの」


こっそりと話しを盗み聞きをしていると、どうやらフィリアがパウルに話し相手になって欲しいという事だった。

寂しそうな声を聴く感じ、パウルもどうして良いのか分からないだろう。

パウルの戸惑っているような声が聞こえる。

それにしても、想像よりしっかりと意思疎通が出来ている事に驚いた。

パウルが唸り声をフィリアは普通に何を言っているのか理解して、その言葉に対して返答をしている。


「疲れてるのは理解しているわ。だから少しだけ、それで良いの。話をしたいのよ」

「ヴぁ~」

「ありがとうパウル」


2人の話が終わったのだろう、一区切りした瞬間に俺は隠れていた物陰から出て、


「あまりパウルを攻めないでやってくれフィリア。結構パウルは大変な事をしているんだ。話し相手なら、俺が相手をしよう」


そう声を掛ける。

すると、


「ヴぁ~」

「これはヴァルダ様、おもてなしが出来ずに申し訳ありません」


パウルとフィリアが頭を垂れて俺に挨拶をしてくる。


「頭を上げてくれ。唐突に来てすまないな」


俺がそう言うと、パウルとフィリアが下げていた頭を上げる。

フィリア、パウルと同じグールであるが顔や体に損傷は無く、言葉もしっかりと話す事が出来る珍しいタイプのグールだ。

顔立ちは落ち着いた、優しく可愛らしい顔をしている。

まぁ今は少し不満そうに、眉間に皺を寄せている状態ではあるが…。

俺がそう思っていると、


「いえ、どうしたのでしょうかヴァルダ様?」


フィリアが首を傾げてそう聞いてくる。

俺はフィリアの問いを聞いて、


「昨日シェーファに、俺がパウルを連れて行ってしまうからフィリアが寂しがっていると聞いてな。すまなかったなフィリア。あまりパウルを責めないでやってくれ。俺の方がパウルを必要とし、召喚をしていたんだ」


パウルの事情をしっかりと説明する。

それを聞いたフィリアは、


「それはパウルから聞きました。ですが、帰って来てすぐにお墓に入っちゃうのはどうかと思うのです」


パウルの不満を俺に言ってくる。

…うぅむ、フィリアの事だから単純に話し相手が欲しいだけだとは思うのだが、パウルも忙しいだろうし…。

ん、あれ?

クラス対抗戦の練習として今までパウルにお願いをしてきていたが、明日のクラス対抗戦が終わればとりあえず一回落ち着けるから、明日のクラス対抗戦まで待って貰えれば大丈夫かな?

俺はそう予定を考えつつ、


「明日にはパウルの仕事も終わる予定だ。そうしたら今までの不満や話したい事を話せば良いと思うぞ」


フィリアにそう提案すると、フィリアは少し安心した様な顔をした後、


「では、もう少し我慢すればパウルと沢山話が出来るのね」


そう言ってパウルの事を見る。


「ヴぁ~」


パウルが声を出すと、


「えぇそうね。そう言う事なら私も我慢するわ。頑張ってお勤めを果たしてねパウル」


フィリアが嬉しそうにパウルに言う。

フィリアの言葉に、パウルは複雑な顔をして返事をした。

俺はその表情を見て苦笑いをした後、フィリアの不満は大丈夫そうだと判断して、2人に声を掛けて荒廃島を後にした。

前までだったら、荒廃島に行くとアンリにも会えていたんだがな…。

少し寂しくなる気持ちを奮い立たせ、次はどこに行こうか考え始める。

すると、


「ピィィッッ!!」

「ピィィィィ!」


グリフォンのカルラと、サンダーバードのヴィムが空を駆け回りながら鳴き声を上げているのが見える。

どちらも鷲の鳴き声の所為で、正確にどちらが鳴いているのか分からないな。

俺がそう思って見ていると、速さにおいてはカルラの方に軍配が上がる様だ。

サンダーバードは、あまり速さのステータスを上げなかったからな。

そう思いながら眺めていると、ヴィムはカルラに追いつこうと羽ばたきをより強く速くするのが見えた。

その結果、サンダーバードの羽ばたきによって雷が降ってくる…。

流石に痺れるのが嫌な俺は、装備を慌てて雷耐性がある装備を着け直す。

装備を着け直すとどんどん空が曇っていくのが見えてきて、更に雨が降り始める。

塔の中は基本的に晴れの設定なんだが、サンダーバードが通ると強制的に雷雨になるんだな。

俺がそう観察していると、


「ヴァルダ様、こちらにいらっしゃいましたか」

「ん?あぁ、セシリアか。俺を探していたのか?」


後ろから声を掛けられ、振り返るとそこにはセシリアが立っていた。

俺がそう聞くと、


「はい、少しご相談したい事がありまして。お時間、よろしいでしょうか?」


セシリアが言う。


「大丈夫だ。何か問題でも起きたか?」


セシリアの言葉に俺が聞き返すと、彼女は少し考える様な表情をした後、


「いえ。問題という訳では無いのですが…。ヴァルダ様にもご報告をと思いまして」


そう言ってきた。

俺はその言葉を聞き、


「そのためにわざわざ来てくれたのか。ありがとうセシリア。それで報告したい事とは何だ?」


セシリアにお礼の言葉を言い、次の言葉を促す。

俺の言葉を聞いたセシリアは少し気まずそうに、


「人が増えた事により、食糧の備蓄の消費量が上がっています」


そう言った……。

頑張って、仕事するね…。

俺は何とも言えない悲しい気持ちになりながら、セシリアに報告の感謝をした。


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