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シェーファと約束をした後、俺は部屋から出て行くシェーファを見送った後少し作業をしてからベッドで眠った。

翌朝目を覚ました俺は、朝食を食べに食堂に行きそこで出会ったルミルフル達とご飯を食べた後、自室に戻って昨日から続けている作業に取り掛かる。

今作っているのはG組の生徒達に支給する杖だ。

外の世界のバランスに合わせて、強すぎない程度の性能の杖を作る。

材料はあまり掛からないが、どれくらいが外の世界では少し強い程度になるのか考えながら作っていた所為で、思った以上に時間が掛かってしまう。

そうして完成した頃はお昼過ぎになっており、今度は昼食を食べる為に食堂に移動し、食堂でお昼を済ませた。

昼を済ませた俺は、生徒達の杖が全て完成したのを数を数えて確認した後、次にやる事を考える。

そういえば畑を作る約束をしていたが、まだ農具の準備が出来ていないな。

畑自体は作る事が可能だが、最低限のスキルしか習得していないからしっかりと農具は揃えないと畑にならないだろうし、これは保留。

明日のクラス対抗戦の為に、今から外の世界に行ってまた内偵するか?

それとも折角長い時間があるんだから、塔の皆としっかりと顔を合わせて話した方が良いかもしれない。

というかもう、その方が良い!

俺はそう思うと、自室から出て塔の階段を下り始める。

階段を降りながら誰に会いに行こうか考える。

ここにいる全員と会うには時間が足りないのは理解しているし、ある程度優先する順番を決めないといけないな。

普段あっているセシリアとシェーファはとりあえずまた今度にして、最近召喚などをした者達も今日は大丈夫だろう。

昨日シェーファに言われたパウルと一緒に住んでいる荒廃島のフィリアとは、一度しっかりと話をしないといけないから会うとして、他には誰がいいだろうか?

そう考えている内に塔の基本的に1階にしている階層までたどり着いた。

…結構な段数を降りたが、もし今後老人やヴィアンシエルの様に酷い目にあって足が動かし辛い人を迎え入れた時に、塔の階段は絶対に辛いだろう。

何か上下に移動できる手段があればいいのだが、そう簡単に出来る物でもないだろうな。

サールやソルの様な元気な子供でも疲れると思うし、エレベーターの様な物が出来ないか色々と考えないといけないな。

そう思って少し立ち止まって塔の上の方から下の方へと見ていると、


「どうかされましたでしょうかヴァルダ様?」


後ろから声が掛けられる。

この声は、メデューサのメヒテアだ。

こう思うと、彼女の声を聴くのも久しく感じる。


「メヒテアか。日々の警戒、感謝する。この塔の高さで階段は、最近入って来た人達やこれから入る人達にはキツイと考えてな。何か対策を考えておこうと思ってな」


メヒテアの言葉に返事をしながら視線を戻し、俺はメヒテアの事を見る。

前と同じ、シュリエルが作ってくれた目元を覆う布。

目元を隠してもいても分かる、綺麗な顔立ち。

髪は基本的には赤みが強い紫色だが、戦闘時になるとそれが蛇の姿へと変わる。

監視の為にここにいてもらっていたが、それは俺自身が作り出した設定の所為だ。

実際にここに攻め込んでくる者達などいる可能性は少ない、メヒテアの為にもどうにかした方が良いだろう。

俺はそう判断すると、


「メヒテア、今はここにいても敵が来ることは無いぞ。ずっと立っているのも辛いだろうし、普通にシェーファやセシリアの様に塔の中を自由に移動して良いのだぞ」


メヒテアにそう言うと、彼女は少し戸惑った表情になり、


「ヴァ、ヴァルダ様…。わ、私がここにいると不快なのでしょうか?」


そう言って床に膝を付き、頭を下げて俺に声を震わせながらそう聞いてきた。

俺はメヒテアの様子に驚き、


「そ、そんな事は無いぞ!むしろ一緒にいてとても安心する!しかしな、流石にここで1日中ずっと立っていろとは、流石に言えないな。ここを攻めてくる者などいないと思っている故に、もう少し自由に移動して欲しいと思ったんだ」


慌てて理由を述べる。

メヒテアを気遣って言った言葉が、彼女を不安にさせてしまうとは思わなかった。

俺がそう思っていると、


「で、でしたら私はここにいたいと思っております。ヴァルダ様からのご命令、しっかりと果たしたいと思っています」


メヒテアが俺にそうお願いをしてきた。

まさか、メヒテアがそこまで考えていてくれたとは思わなかった。

ここまで言ってくれた彼女に、そう簡単に指示を取り消す事は言えない気がする。

…どうしたものか。

俺がそう思いながらメヒテアを見つめると、彼女がここにいて更に体力を使わない方法を思いつく。


「セシリア」

「…ここに」


策を思いついた俺がセシリアの名前を呼ぶと、彼女は相変わらず一瞬で姿を現す。


「すまないが、メヒテアに椅子とテーブルを用意してくれ」

「かしこまりました」


俺がセシリアにそうお願いすると、彼女はすぐに行動を開始してくれた。

あまりに突然の行動に、目の前で俺の事を膝を床に付いた状態のまま見上げていたメヒテアが驚いているのが窺える。

俺はその様子を見て、


「ただ立っているのは、いくらメヒテアでも辛いだろう。だから、立ってここを警戒するんじゃなく、座っていて欲しいんだ。それなら、メヒテアも許してくれるか?」


メヒテアにそう問うと、彼女は少し考える様な表情をした後、


「それで、ヴァルダ様のご命令を遂行する事が出来ますでしょうか?」


質問で返されてしまった。

その言葉に俺は、


「俺の命令を忠実に守ってくれるメヒテアが、椅子に座った程度で失敗する訳が無いと思っているぞ」


そう答えた。

その言葉を聞いたメヒテアは、少し口元を緩やかにし、


「ヴァルダ様の信頼に足りる様、これからも努力します」


そう言って立ち上がった。

すると、


「用意が出来ました」


セシリアが椅子と机の一セットと、何やら可愛らしいクッションを持って姿を現した。


「セシリア、準備はメヒテアと任せても良いだろうか?」


俺がそう聞くと、


「はい。……はい、メヒテア。貴女が大好きな花柄のクッションよ」

「セ、セシリア!その事はヴァルダ様の前では!」


セシリアがメヒテアに椅子と机、それから可愛らしいクッションを渡してそう言い、それを言われたメヒテアは恥ずかしそうに慌ててセシリアの言葉を聞こえない様にする。

メヒテアは花柄が好き、絶対に覚えておこう。

俺はそう思いつつ、後ろで攻防している2人に任せて塔から出た。


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