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サール達の不安そうな顔を見て、彼女達を不安にさせない様にルミルフルは作り笑いを向ける。

そうしている内に森林島が草原島にくっつき、セシリアを先頭に草原島から森林島に移動する。

ルミルフルが森林島に移動すると、先程とはまた違う空気が肌で感じる事が出来た。

草原島ではただ優しい日差しを感じていたが、森林島はその日差しが木々によって遮られて、涼しさが分かる。

たまに訪れる風に、森林島の木々は揺れてサラサラと木の葉の擦れる音が聞こえる。

自分が最後に覚えている森林とは、全く違う。

ルミルフルがそう思っていると、視線の先に信じられない光景が広がっていた…。

それは、自分より少し背が低いであろう女性が横に寝ころんだ状態で空中をプカプカフヨフヨと浮いている。


「おや、シルではないですか。今日はこちらに来ていたのですか?」


そんな光景を見ても特に動じる事なくセシリアがそう声を出すと、


「あ~、セシリアちゃんじゃな~い。こんな所で会うなんて~、珍しいね~」


女性は眠そうな声を出しつつ、ゆっくりと優しい声で返答する。


「わ~!!それどうやってやるの!?」


そんな女性に、サールは目を輝かせてそう聞く。

それを聞いた女性は、


「ん~?貴女が歩いているのと~、私が浮いているのは同じ事なんだよ~」


サールの質問にそう答える。

そんな答えを聞いたサールは、意味がよく分かっておらず首を傾げて困った表情をする。

それを見ている女性は、サールの純粋な困り顔を見てうふふ~と笑う。

女性とサールのやりとりを見ていたセシリアは、ルミルフルとソルとヴィアンに、


「こちらは風の精霊シルフのシルです。特に決まった場所で生活しているわけではなく、このように風に乗って自由に移動しています」


女性、シルの説明をする。

セシリアの言葉を聞いたシルは、


「こんにちは~。シルで~す」


体勢を変えずに、簡潔に自己紹介をする。

自己紹介を聞いたルミルフル達は、


「は、初めまして。ルミルフルです」

「私はサール!」

「ソルです!」

「ヴィアンシエル…です」


4人共簡潔に自己紹介をする。

それを聞いたシルは、


「ルミちゃん、サーちゃん、ソーちゃん、ヴィーちゃんね~」


ルミルフル達1人1人を指差して、そう復唱する。

それを聞いたルミルフルは、


「ル、ルミちゃん…」


あまりに自分の外見と年齢に合わない名前の呼び方に、困惑して言葉を詰まらせる。

その一方で、


「サーちゃん!!」

「ソーちゃん!!」


あだ名が気に入ったサールとソルは、嬉しそうにシルの前でピョンピョン跳ねる。

ヴィアンは突然の事に驚きつつも、


「ヴィーちゃん…」


小さな声でシルに付けられたあだ名を呟いて、嬉しそうに笑う。

そんな4人のそれぞれの反応を見ていたセシリアは、


「と、このように風の精霊シルフであるシルは様々な風に乗って様々な場所にいるので、見かけた際にはラッキーだと思って下さい」


ルミルフル達にそう言って次の人に会おうと歩き出す。

だが、


「サール、もっといたい!」

「うん!」


サールとソルが、シルの周りをクルクルと回りだして駄々をこね始めた。

あだ名を付けた事が相当気に入ったのか、シルから離れたくないと言い始める。

そんな2人を見て、


「こら、セシリアさんが困っちゃうでしょ。また会えるんだから、今日は我慢しなさい」


ルミルフルがサールとソルにそう注意をする。

すると2人は、少し悲し気な表情でシルの事を見た後、


「「うん…」」


ルミルフルの言葉に、落ち込みながら返事をする。

ルミルフルは少し罪悪感を感じるが、シルさんの都合も考えないといけないと考えて落ち込んでいるサールとソルになんて声を掛けようか考える。

すると、


「大丈夫よ~、セシリアちゃんに付いて行けば良いんでしょ~?」


シルはのんびりとした声でそう言い、セシリアにそう問う。

シルの言葉を聞いたセシリアは、


「そうですね。次は改めて、シェーファの所に行きましょうか」


そう言って歩き出す。

そんなセシリアの後をシルが浮きながら移動し、その周りをサールとソルが嬉しそうに付いて行く。

ルミルフルは、嬉しそうなサールとソルの様子を見て安心する。

ヴィアンはルミルフルの側に寄ると、


「サールちゃんもソルちゃんも、大丈夫だと…思います」


サールとソルに厳しく言いすぎたか不安に思っていたルミルフルに、そう声を掛けた。

それを聞いたルミルフルは、


「ありがとうヴィアン」


ヴィアンにお礼を言って頭を撫でる。

ルミルフルに撫でてもらう心地よさに、ヴィアンは少し笑っていると、


「あらセシリアとシル。それに貴女達までどうしたの?」


少し先で声が聞こえ、ルミルフルが視線を上げる。

そこには、樹木の傍に寄り添う様に立っていたシェーファが、珍しい組み合わせと来客に気づいて少し驚いている表情をしていた。


「シェーちゃんやっほ~。久しぶりに会うね~」


そんな驚いているシェーファに、緊張感も無い声で挨拶するシル。


「ルミルフルさんと子供達を案内しているところです」


セシリアがシェーファにそう言うと、子供達に向かってシェーファに挨拶を促す。

セシリアに促された子供達は、今まで通り自己紹介をして挨拶をする。

ルミルフルはすでに自己紹介もしていたので、シェーファに軽く挨拶だけをする。

子供達の名前を聞いたシェーファは、


「こんにちは、サール、ソル、ヴィアン。私はハイエルフのシェーファよ。ここの長、ヴァルダ様の妻なの」


子供達に自己紹介をするのと同時に、さらりと嘘を吐く。

それに対して、


「シェーちゃん、嘘は良くないな~」

「誰が妻ですか…。ヴァルダ様はまだ誰もお選びになっていないです。…全く、純粋な子供達に嘘を吐くなんて…」


シルとセシリアが抗議の声を挙げる。

それを聞いたシェーファは、


「良いじゃない!確定した将来の話をしてもッ!」


そう言って手をブンブン振るい、大人び容姿とは正反対な行動をする。

それを見たルミルフルは、エルフってもう少し冷淡というか冷めていると思っていたけれど、そういう訳では無いのかなと考える。

サールとソルはシェーファの動きが面白いらしく、シェーファの近くへ行き同じ様に手を振るって真似を始めた。


「……子供みたいになってますね」

「シェーちゃんは、たまにポンコツになるよね~」


セシリアとシルは、いつもの事だと思い落ち着くまで待つ事にした。


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