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アレクシアに対する直球な言葉に、


「こ、こらサール!失礼でしょ!ごめんなさいサールが失礼な事を言ってしまって」


ルミルフルは急いでアレクシアに謝罪をする。

だがアレクシアは、


「いえ、大丈夫だ。確かに私は体を大きい方だから、子供から見たら驚いてしまうものだ」


特に気にした様子も無くそうルミルフルに言うと、


「私はアレクシアと言う。貴女の名前は何というのだ?」


サールに向かって自己紹介をし、サールに改めて名前を窺う。

アレクシアの言葉を聞いたサール達は、


「サール!」

「ソルです!」

「ヴィアンシエルです。…ヴィアンと、呼んでくださると嬉しいです」


先程バルドゥ達に自己紹介をした時の様に、自分達の名前をアレクシアに教える。

それに続いて、


「私はルミルフル。ここではこの子達の保護者をしているわ」


ルミルフルが簡潔に自己紹介をする。

それを聞いたアレクシアは、


「サール、ソル、ヴィアンシエル、ルミルフル…か。しっかりと覚えたぞ」


サール達の名前をしっかりと復唱して記憶すると、子供達に手と差し出し握手を求める。

それに気がついたサール達はアレクシアに近づいて、順番に握手をしていく。

子供達が握手を終えると、アレクシアは立ち上がってルミルフルにも握手を求める。


「よ、よろしく」


ルミルフルがそう言うと、アレクシアは笑顔で、


「よろしく願う」


そう言ってから、握手していた手を離す。

すると、ルミルフルとの挨拶が終わったと判断したサールがアレクシアの目の前まで近寄る。


「??どうかしたのか?」


自身の目の前に立ち、自分の事を見上げてくるサールにアレクシアは首を傾げながらそう質問した。

そして返って来た言葉は、


「やっぱり、お姉ちゃんより大きい!」


ルミルフルに失礼だと怒られた原因の言葉だった。

その言葉を聞いたルミルフルはサールを注意しようとすると、


「そうだろうそうだろう!人の胴と馬の後半身のお陰で、身長も高いし普通の人型の者達に比べると大きいのだ!」


アレクシアは嬉しそうに笑って、自身の体を更に大きく見せる様にポーズをとる。

それを見ていたソルは、


「パンツは??」


アレクシアの馬の後半身を見て、そう聞いていた。

アレクシアは人の部分に動きやすい服と装備を着けていて、馬の後半身の部分には着衣が見られない。

流石のアレクシアも、その事について聞かれてしまうと少し恥ずかしく感じながらも、


「一応穿く事も出来るんだが、やはり何も穿いていない方が楽なのだ。馬毛で見えない様に努力もしている」


うんうんと、まるで言い聞かせる様に何度も頷きながらソルの質問に答えるアレクシア。

それを聞いたルミルフルは、同じ女性としてその様な格好をしている事に恥ずかしく感じ、自身の顔が熱を持つのを感じる。

アレクシアの言葉を聞いたセシリアはハァ~とため息を吐き、


「アレクシア、家族であり戦友でもある私達の前でならその恰好をしていても、誰も何も言わないです。けど、彼女達はまだお客さんという立場なんです。もう少し格好には気をつけて下さい」


アレクシアにそう注意をする。

それを聞いたアレクシアは、す、すまないと返事をした。

アレクシアとの挨拶を終えた一行は、次なる挨拶の相手を求めて草原島を散策する。

サール達は島の端っこの方に行かないと約束させられ、好きに動いて良いと許可が下りて草原の上を走り回っている。

サールが先頭を走り、サールの斜め後ろをソルが走って追いかける。

そしてそんな2人が危なくないか心配しながら走って追いかけるヴィアン。

そんな3人の様子を歩きながら見ているルミルフルとセシリア。

少しずつではあるけど、色々な人と話してヴィアンも怯えて言葉が詰まる事が減ってきたわねとルミルフルは考える。

そう思って3人を見ていると、また小屋の様な建物が見えてくる。

次はどんな人がいるのだろう?

ルミルフルはここへ来る前に会っていたバルドゥとアレクシアの事を思い浮かべて、次に会う人がどのような人なのかを考える。

すると先を歩いていたセシリアは立ち止まり、


「おや、珍しく今日はいないようですね。……すみませんルミルフルさん、今から会おうとしていた者が留守の様ですので、後回しにしてもよろしいですか?」


後ろにいるルミルフルの方へ振り返ってそう聞く。


「かまいませんよ。…どのような人なんですか?」


ルミルフルがそう聞くと、セシリアは少し考えた後、


「何と言いますか、とても受け答えが軽い人ですね。真面目なんですが、その言動の所為であまり真面目な人とは思われていないようです」


これから会おうとしていたグレムリンの説明をする。

仕事ができる故に頼りになる存在ではあるが、その軽い言葉遣いが苦手だとセシリアは感じている。

セシリアの言葉を聞いたルミルフルは、どの様な人なのだろうと考えつつ、


「じゃあ次は、どこに行くんですか?」


セシリアにそう質問をする。

ルミルフルの問いを聞いたセシリアは少し考えた後、


「では次は草原島よりも生活している者が多い、森林島へ参りましょうか」


ルミルフルの問いにそう答えて、塔の麓から草原島へと移動してきた時と同じように森林島に向かって手を振ると、草原島とは打って変わって遠くから見ても分かる立派な木々が生えている島が近づいてくる。

父である魔王が人族に敗れ、配下の者達に助けられたルミルフルは少しだけ森に嫌な記憶が思い出される。

人族から逃げた先は、真っ暗な森であった。

…あの時は体力も限界に近づいていて、追手の人達から視力が悪くなる魔法を掛けられていたから暗く見えていたけれど、本当は暗くはなかったかも…。

ルミルフルは当時の事を思い出して、少し気分が悪くなるのを近づいてくる森林島から視線を逸らして気分を落ち着かせようとする。

すると、


「お姉ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫?」

「…顔色が悪くなってますよ…」


森林島が来る光景を見て楽しそうにしていたサール達が、ルミルフルの異変に気付いて声を掛けてきた。


「……大丈夫よ。心配してくれて、ありがとうね」


自分の事を不安そうに見ている3人に、ルミルフルは少し作った笑顔でそう答えた。


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