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ルミルフル一行はクラーラとイルゼの座っている席の隣に移動して座ると、シフォンケーキを食べ始める。

サールとソルが最初に食べ始め、それを見てからルミルフルの事を見るヴィアン。

ヴィアンの様子に気づいたルミルフルは、彼女に笑みを向けて食べて良いと合図を送る。

ルミルフルの笑みを見たヴィアンはその事に安堵し、ゆっくりとシフォンケーキを食べだす。

それを確認した後、ルミルフルもソルが自分の為に持って来てくれたシフォンケーキをゆっくりと食べ始めた。


「おいしい!」

「うん!おいしいね!」

「う…うん」


サールとソルはそう言い、ヴィアンはそんな2人に返事をしながらコクコクと頷く。


「そうね」


ルミルフルはそんな3人の微笑ましい光景を見て、優しく笑いながら返事をする。

すると、


「……絵になるね」

「そうだね。なんか、幸せな光景だよね」


そんな4人の光景を目の当たりにしたクラーラとイルゼは、少し小さな声を出してそう言う。

クラーラとイルゼは4人が食べている姿を見ていて、自分たちもシフォンケーキを食べたくなってしまい、慌てて視線を逸らす。

視線を逸らしたクラーラとイルゼの様子を見たルミルフルは、我慢をしている彼女たちを見て我慢が出来ているのなら、思いつめなくても大丈夫なような気がするのだけれど…と思いながら視線を戻してシフォンケーキを美味しそうに食べている3人を見る。

そうして時間は過ぎていき、クラーラとイルゼは先に食堂を後にしてそれから少ししてルミルフル達も食堂を後にした。

食堂を出てからルミルフル達は、この後何をするのか相談していた。


「3人は、どこか行きたい所とかやりたい事ある?」


ルミルフルがそう聞くと、サールとソルは考え込む様に目を閉じて唸り出し、ヴィアンはどこでも大丈夫と言葉を途絶えさせながらルミルフルに伝えた。

ルミルフルとヴィアンがサールとソルの言葉を待っていると、


「どこか行きたいけど、行きたい場所は無い~!」

「サールと同じ」


そんな言葉が返って来た事に、ルミルフルはどうしたものかと考える。

ルミルフル1人ならば剣を借りて鍛練する事は確実なのだが、今は自分も合わせて4人もいる。

その上、自分以外は剣を持つ事はして欲しくない子供達が一緒なのだ。

ルミルフルはそう思っていると、


「何かお困りごとですか?」


突然の声に、ルミルフルを含めてサール達も驚いた声を出す。

声の正体は、シルキーであるセシリアだ。


「い、いきなり現れるのは止めて欲しいわ。し、心臓に悪い……。それにこの子達も驚いてるわ」


ルミルフルが少しだけ抗議の言葉をセシリアに投げると、彼女は少し思案する表情を見せた後、


「では、やや遠くに現れて近づく様にしましょう」


そう提案をする。

それを聞いたルミルフル達は安堵の息を吐く。

そうして、


「それで、何かお困りごとでもありましたか?」


改めてセシリアがルミルフル達にそう質問をする。

その言葉を聞いたルミルフルは、


「そんな大層なモノでも無いけど、この子達とどこか行こうかなって思ってたのだけど、まだそんなにここについて詳しくないから行きたい場所の候補が無くて…」


そう説明をして苦笑をする。

ルミルフルの言葉を聞いたセシリアは、苦笑をしているルミルフルに向かって、


「では、私が案内しましょうか?丁度一通りの仕事は済みましたので、自由な時間があります。どうでしょうか?」


そう提案をする。

その言葉を聞いたルミルフルとサール達は、お願いしても良いのだろうかと考えて4人はお互いの顔を見回す。

その様子を見ていたセシリアは、


「遠慮しないで構いませんよ。本当にこれからは私自身の時間なので、どう過ごそうが周りにも文句は言えません」


更にそう言葉を付け足す。

セシリアの言葉を聞いたルミルフル達4人は、


「じゃあ、お願いしても良いですか?」

「します~!」

「します!」

「…お願い…します」


セシリアの提案に乗ると、


「お願いされました」


セシリアはお茶目な挨拶をした後に、では私に付いて来て下さいと言ってスタスタと歩き始める。

ルミルフル達はそんなセシリアの後ろを付いて歩き、どこへ行くのかと考える。

そうしてセシリアが案内してくれた最初の場所は、塔の外であった。


「私の様な人型の亜人、モンスターは基本的に塔で暮らす事が多いのですが、中には塔の環境では生活できない者もいます。その者達の為に、ヴァルダ様が様々な島をお作りになりました。ここから見える島ですと、草原島、森林島、火山島、水明島、砂漠島ですね。その他にもあるのですが、そこはあまり案内が出来る環境では無いので、またそれは後日にしましょう。ではまずは…」


セシリアは塔の周りに浮いている島の説明をすると、浮いている島一つ一つを指差して名前を説明する。

そして、セシリアが手をこちらへ来いと手招きの様に動かすと、その先に浮いていた草原島がゆっくりと動いて塔に近づいてくる。


「そ、そんな事が出来るのね」

「すご~い!」

「うん!すごい!」

「あ、…圧巻です…」


セシリアにルミルフルが驚愕しながらそう言うと、簡潔な感想をセシリアに言うサール、ソル、ヴィアン。

その言葉を聞いて、


「塔だけでは無く、塔の周りを浮いている島も我が家だと認識しています。それ故に、私もこのように操作する事が可能なのです」


セシリアが説明をしながら手を動かし、ゆっくりと近づいてきた草原島を塔の周りの大地がくっ付いたのを確認し、


「足元にご注意ください。落ちたら最後、無限に落下し続ける事になりますから」


そう言ってルミルフル達を促す。

その言葉を聞いたサール達は、落ちない様にとルミルフルに近づいてしっかりと手と服を握りしめる。

ルミルフルはそんな3人を見て苦笑しつつ、


「離さないようにね」


ヒシッとくっ付いてくる3人にそう言いながら、草原島に乗り移る。

ルミルフル達4人がしっかりと草原島に乗った事を確認したセシリアは、最後に自身も草原島に乗ると今まで動かしていた手を止める。

すると、今まで塔にくっ付いていた草原島が僅かに動き出し塔から離れて行く。


「こちらです」


動き始めた草原島に驚いているルミルフル達に、セシリアはそう言って進み始めた。


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