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103頁

あまりの予想を超えた言葉に、ルミルフルは思考を停止し口を開けた状態で固まってしまった。

そんなルミルフルを見て、サールとソルは首を傾げてどうしたのだろうかと思う。

2人の言葉を聞いて、ルミルフルの他にも驚いている者がいた。

それは、サールとソルの明るさに少し心の緊張が解れてきていたヴィアンだ。

サールとソルの明るさを身近で見てきたヴィアンは、彼女達にそんな過去があるとは思っていなかった。

…甘えて、ばかりじゃ…駄目。

ヴィアンがサールとソルの事を見ながらそう思っていると、開いた口が塞がらない状態で固まっていたルミルフルが、何とか意識を取り戻して動き始める。


「さ、サール?ソル?もう少し詳しく聞きたいのだけれど、聞いても良い?」


ルミルフルがサールとソルの心の心配をしながらそう聞くと、2人は特に気にした様子も無くうん!と元気に返事をする。

そんな様子に、無理をして元気にしているのかと考えつつ、


「そうね…。まずは、たくさんのメアリーがいるって言うのは、どういう事なの?」


サールとソルにそう質問をしてみる。

質問を聞いたサールとソルは、思い出す様に互いの事を見つつ、


「おっきな部屋にいっぱいメアリーがいたよね~?」

「うん!その中から本物のメアリーを探すって、男の人が言ってた」


確認し合う様にルミルフルの質問に答える。

2人の答えを聞いても、いまいち話が理解できないルミルフルは更に、


「本物って意味が分からないわね…。2人は本物って意味、分かる?」


そう聞くと、


「分かんない…」

「サールとソルは本物に近いって言われたけど、他のメアリーは本物とは程遠い出来損ないって、言われてた」


サールとソルがそう答える。

その説明を聞いて、この子達の他にもメアリーと名乗る子供がいるのは分かるが、やはり本物という意味が理解できない。

ルミルフルがそう思っていると、


「サールとソルは売られちゃったけど、他のメアリーはどこに行ったか分かんない」

「うん」


サールがそう言い、その言葉にソルが頷いた。

本人達も事情を知らないから、どうしても真実が分からないわね。

ルミルフルがそう思って2人を眺めていると、


「そうだ!前に皆で集まった時、凄くキラキラした部屋にいた!」

「うんうん!上からも綺麗な物がぶら下がってた!」


思い出した光景を何とか口にするサールとソル。

2人の言葉を聞いてルミルフルは、


「綺麗な部屋、上から下がっていた綺麗な物……シャンデリア……。…貴族か王族がメアリーという子供をたくさん育ててる…いや、誕生させてはその中から本物を探しているって事?」


まだ確信にはなっていないが、サールとソルの話を聞いたルミルフルがそう仮定する。

もしこの話が本当だとしたら、命を軽んじている行為でありサールとソル以外のメアリー達がどうなったか、嫌な気がしてならない。

ルミルフルがそう考えて顔を顰めていると、


「さ、サールちゃんとソルちゃんは、どうして本物に近いの?」


ヴィアンが、少し緊張した様子でそう質問をした。

この子がこうやって質問をする姿を初めて見た、この子の心の中でも今の話を聞いて何か思う事があるのだろう。

そうルミルフルが思っていると、


「力が強いから!」

「サールはそうだけど、ソルは珍しい魔法が使えるって聞いたよ」


ヴィアンの質問に、そう答える2人。

すると、


「そ、そうなんだ。…私…も、オークションで…買われたの」


ヴィアンが、自分の売買された場所が同じだと告げる。

その言葉にルミルフルは驚き、


「じゃあヴィアンも、何か特別な力とかあるの?」


そう質問をしていた。

その言葉を聞いたヴィアンは、少しキョロキョロと視線を泳がせた後、


「…わ、私も…分から…ないんです。ひ、人が言うには…モンスターと動物と話が出来る…スキルを持っていると言われ、ました。で、でもそんな事は無くて……」


ルミルフルにそう説明をしてくれる。

ヴィアンの話を聞いたルミルフルは、確かにモンスターや動物と話せるスキルは聞いた事が無いと感じる。

しかしヴィアン曰く、そんな事は無かったというからには何か特別な事をしないとスキルが発動しないのでは無いかと考える。

すると、ある考えが頭に浮かんで来た。

まだ塔に住んで月日は経っていないが、窓から見える光景に普通のモンスターもいた。

スキルを使える様になれば良いという訳では無いが、使える事でヴィアンの自信に繋がって欲しいと思う。

そうなると、一度あの人に許可を取らないといけないけど、いつ会えるのか分からない…。

そう思って考えていると、


「お腹空いた…」

「甘いお菓子食べたい!」

「……わ、私も…」


3人がそう言うのを聞いて、ルミルフルは今度会えた時で良いか、今はこの子達が安心して幸せだと思ってくれるように、私も頑張らないといけないな。

と思い、


「じゃあ食堂に行こうか?危ないから廊下では走っちゃいけないし、3人は手を繋ぎなさいね」


彼女が微笑んでそう言うと、サールとソルは元気に返事をし、ヴィアンはコクコクと頷いてルミルフルに左手を出す。

それを見たルミルフルは、手を差し出してくれるヴィアンの心の変化に嬉し泣きをしてしまいそうになりながらヴィアンの左手を自身の右手で優しく包むと、今度は左手が握られる。

見ると、既に手を繋いでいたサールとソルがヴィアンの様子を見て、皆で手を繋ごうと考えて代表してソルがルミルフルの左手を掴んだのだ。

サール、ソル、ルミルフル、ヴィアンの順番で塔の廊下を歩き始め、食堂へと向かっていく。

すると、


「楽しそうですね皆さん」


シルキーのセシリアが、手を繋いで一緒に歩いている4人を見てそう言う。

セシリアに声を掛けられた4人は一度止まり、


「これからお菓子食べに行くの!」


サールがセシリアにそう言う。

それを聞いたセシリアは、


「そうですか。今日はシフォンケーキですので、少しずつ色々とトッピングをして食べると美味しいですよ」


今日の食堂のメニューを思い出しながらそう教えると、サールとソルは嬉しそうに表情で早く行こうと急かす。

ルミルフルとヴィアンはセシリアにお礼を言った後に、サールとソルの2人に引っ張られながら食堂に向かった。


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