表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥界王だって働きたくないでござる! ~ハーデス様の素敵な引き籠りライフ~  作者: 軌跡
第三章 女神に公共のルールを求めてはいけない
74/79

取り戻せアンケート! 9

「うーんと、ざっくり計算したところ、やっぱり私が一位、アプロディテ様が二位ですね」


「うう……」


「――あ、いえ、ヘラ様が一番ですよ!」


「本当!?」


「下からですけど!」


 死体蹴りだった。

 しかしヘラは敗北を認めたくないのか、何やらブツブツと呟いている。


「ど、どうにかして結果をすり替えないと……そ、そうだ、物的証拠さえなければ、誰も私の順位を決め付けることは出来ない筈!」


「――だ、そうですよ旦那様」


「なるほど、女性ならではの残酷さってやつだね」


 ともあれ、本気だとしたらいただけない。

 でもどうやって止めるのか。戦力になりそうなゼウスはフラフラだし、ハーデスとペルセポネもヘラほどの腕っ節はない。抵抗されたらお終いだ。

 そんなとき。


「うふふ、ヘラちゃんの負けよー!」


 行方を暗ましていたアプロディテが、一行の前に現れた。

 ヘラは悔しさのあまりに地団駄を踏んでいる。ゼウスが慰めようと近づくが、結果は書くまでもなかった。


 反面、ペルセポネは勝ち誇った笑みを浮かべていた。アプロディテの方も彼女とは視線を合わせない。

 とりあえず一勝、美の女神はもぎ取りたいようだ。


「さあヘラちゃん、負けたんだから私に何かして頂戴ねー? そうね、ヘパイストス様との離縁とか」


「認めるわけないでしょ!? アタシが負けたんて!」


「あ、そっちなんですか。息子さんのことはどうでもいいと」


 ペルセポネの突っ込みも、二柱には届かず。

 負け犬同士の戦いが、熱を帯びていく。


「――こうなったら物理ね。アンタが負けを認めるまで、殴るのをやめないっ!」


「乱暴ですー! ゼウス様、奥さんを嗜めてくださいよー!」


「うむ、仕方あるまい。……ヘラ、ワシの方からも頼む。この通りじゃ。もしここでお主が引いてくれれば、お主の魅力をワシは再確認するじゃろう」


「っ……な、何よ、浮気者のくせに、信じてほしいっていうの?」


 内心では期待しているのか、少しヘラの視線が和らいだ。

 本来なら微笑ましい光景なのだろうけど、冥界一行の感想は別で。


「ヘラ様、チョロいですねえ」


「そうッスねえ」


 同意の声しか、聞こえないのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ