取り戻せアンケート! 7
「にしても貴様、なぜ天界に来た? 二度と来てやるもんかー! と冥界へ行く前に言っておったではないか」
「こ、今回は特例だよ。ウチでとったアンケートの紙が、こっちの女神に盗まれたの」
「……それはもしや、これのことか?」
言いつつ、ゼウスは懐から分厚い紙の束を取り出した。
表には、三女神のくだらない喧嘩に対するアンケート、と記されている。
「な、何でゼウスが?」
「いやな、預かってくれとアプロディテに頼まれたのだ。冥界の者たちとヘラに渡しては駄目ですー、と」
「え、じゃあ返す気なかったりする?」
「無論」
これは困った。
ヘラはせめて内容だけでも確認しようとしているが、ゼウスは上手く避けている。一度約束した手前、最後まで守り通そうというつもりらしい。
「……どうしても返してほしいか?」
「う、うん」
「では、条件を一つ出そう。それを守りさえすれば、ワシも今回は譲る」
「わ、分かったよ。――で?」
うむ、とゼウスは一息。着ている長衣の中に、アンケート用紙を一旦しまう。
そして。
「ペルセポネと共に、今後も冥界に引きこもってくれんか?」
破格の条件を、出してくれた。




