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冥界王だって働きたくないでござる! ~ハーデス様の素敵な引き籠りライフ~  作者: 軌跡
第三章 女神に公共のルールを求めてはいけない
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取り戻せアンケート! 6

「アタシという存在がありながら、よくも抜け抜けと……! 今回ばかりは絶対に許さないわよ!」


「ま、待つんじゃヘラよ! これにはオリュンポス山より高く、エーゲ海よりも深い事情が――」


「黙れっ!」


「ぐぼぉっ!」


 問答無用の一撃。ハーデスを含め、集合しつつあった神々も悲鳴を漏らす。

 ヘラはそのまま馬乗りの状態となり、ゼウスの顔面をひたすら殴り始めた。……彼の浮気癖が導いた罰とはいえ、見ていて同情したくなる光景が完成している。


「あ、あのさ、ヘラ、その辺りにしといた方が……」


「駄目に決まってるでしょ! ここで手を緩めたら、コイツはまた浮気を繰り返すはず。徹底的にしつけておくまでよ……!」


「……」


 止めに入る神はいない。むしろヘラへ味方する者が多く、まあ仕方ないよね、という声すらあった。


「いやあ、凄いですねヘラ様。私には真似できませんよ」


「ま、真似しなくていいって……でも本当、助けなくていいのかな?」


「大丈夫じゃないですか? ゼウス様、笑ってますし」


「は?」


「いえ、ほら」


 ゼウスの顔が見えるところまで回ってみると、確かに。ヘラの猛攻に晒されながらも、余裕を崩さない主神がいる。


「なんか、逆に喜んでない……?」


「ふむ、つまり男性は殴られると喜ぶんですね。勉強になりました」


「そ、そういうのは一部の特殊な人たちだけだって! あんなことされたら、普通は血と涙で一杯だと思うよ?」


「ふうん……ゼウス様は不思議なお方ですねえ」


 まあ、個性的なのは間違いない。

 一通り殴ったヘラは、さすがに息を切らしていた。反対にゼウスの方は余裕を保っている。所々から血を流したりしているにしても、表情そのものには余裕があった。


「気持ちよかった……」


「じ、自分から言っちゃったよ、こいつ!」


「ふむ、ハーデスよ。そんなだから貴様は男気が足りぬのだ。変態という名の紳士、という名言を知らんのか?」


「それと男気って関係あるの……?」


「ある! 男は基本、性欲の塊である!」


 恥も踏まえず、ゼウスは大声で言い放った。

 彼が言うと、確かに説得力満載である。

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