迷惑千万な女神たち 4
「あ、ご、ごめん。つい……」
「むう、ここは私の魅力を再確認してもらうしかありませんね。さあ旦那様、私のオッパ――」
「早く話進めたらどうッスか?」
収集がつかなくなる前に。
アプロディテを除く二人は納得し、仲良く隣に並ぶ。
肝心の訪問者は、まだペルセポネから聞いた指摘を実践している最中だった。
「あらあら、どうしたの二人とも。真剣な顔をして」
「部屋の主人がどっちだが分からなくなる台詞だね……アプロディテ、我に聞きたいことがあるんじゃなかったの?」
「あ、そうなのよー。……こっちに最近、美少年がやってきてない? 日本人なんだけど」
「――」
嫌な予感しかしない。
ともあれそんな報告は聞いていない――もとい聞く気がなかったハーデスは、アプロディテに見ていない旨を伝える。
「おかしいわねえ。ちゃんと撥ねたと思ったのに……」
「あ、あの!? 我、凄く聞き捨てならないことを聞いたよ!?」
「奇遇ですね。私もです……」
向けられる非難の目。
アプロディテはわざとらしく頬を膨らませると、胸元から一枚のカードらしき物を取り出した。
「失礼ねー。私はちゃんと、地上で運転免許を取ったのよ? これがあれば、車を運転してもいいのよね? ――他人のを盗んだとしても」
「駄目だよっ!」
満場一致の否決だった。