兄に勝る弟などいないっ! 5
「よし、じゃあこうしよう」
パン、と両手を打ったハーデスに、場の視線が集中する。
ペルセポネはちょっとした期待の目で。甥っ子たちは緊張した面持ちで見守っていた。
「二人が我の仕事をどれぐらい楽にしてくれるかで、優劣を決める。これでどう? 我、お仕事めんどくさくて困っててさ……」
「――」
一気に空気が冷え込んだ。
ペルセポネはもちろん、アレスとへヘパイストスまでもが動きを止めている。蔑むような視線も一緒だった。
「え、え? 何この空気? 我、変なこと言った?」
「いや旦那様……」
「甥にそれを求めるのはどうなのでしょうか?」
「うぐっ」
真面目なヘパイストスから、これまた真面目な返答。あろうことかアレスまで頷いている始末だった。
「伯父上、伯父としての威厳まで捨ててどうするのです? 父上がまた腹抱えて笑い始めますよ?」
「そうだぜ伯父貴。俺だって、自分の仕事をロクに出来ねえ人間はどうかと思う」
「へ、へっぽこ軍神にまで言われたよ!?」
アレスに同族意識でもあったんだろう。ヘパイストスの指摘より、大分ショックを受けている。
反面、口にした本人は偉そうに胸を張っていた。