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ようこそタルタロスへ! 6

「こ、これは、ハーデス様にペルセポネ様……!」


「うん……久しぶりだね、シーシュポス君」


 久しぶり、とペルセポネも返すが、口の中にものが入っているせいで上手く喋れていない。後にしろ。

 配給に急がしそうなシーシュポスは、二人を畏怖の目で見つめている。


 シーシュポスは神々を騙した人間として、タルタロスで重い罰を受けていた人物だ。その内容は、巨大な岩を山の上へ運ぶというもの。

 しかし岩は、山頂へ到達する直前で下に落ちてしまう。つまり彼は、そんな無限ループの罰を与えられているわけだ。


「……どうして、ここにいるんだい? 君の罰は終わってない筈だけど……」


「あ、ああ、それはですね、宴会のお手伝いをするためでして。ティターン神族の皆さまに、こうして食事を運んでいるわけです」


「ああ、なるほど」


 これだけ巨体を持つ者たちが集まれば、その労働は大変なことだろう。

 彼の他にも、同じような配送係が大勢いた。ティターン神族に踏み潰されないよう、間を縫うように走っていく。


「で、では私はこれで。仕事がつかえていますので」


「うん……頑張ってね」


 最後の最後まで畏怖を示す彼に、ハーデスは労いの言葉をかけた。

 正直、少しばかり同情したくなる。ペルセポネがしっかりしていたら、彼の罰も少しは軽くなったかもしれないわけで。


「……ねえセポネ、やっぱりアレは良くなかったと思うんだ」


「? なにふぁでふ? 旦那ひゃま?」


「……食べ終わってからでいいよ」


 ふぁい、と聞きとりづらい返事をして、ペルセポネは口の中を空にする。

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