ようこそタルタロスへ! 4
「……そういえば父上、この宴会、ティターン神族ばかりですね」
「うん? そりゃそうじゃろう。何か気になるのか?」
「いや、ギガ―スの方々はどうしたのかな、と」
「ぬ」
途端、クロノスの表情が険しくなる。
ギガ―スはティターン神族と同様、巨大な身体を持つ種族のことだ。ギガントマキア、と呼ばれる反乱の実行犯でもあり、ゼウスに殺されている。
死者としてタルタロスに幽閉されている彼らだ。ここにいてもおかしくないのだが……
「ありゃワシらの2Pカラーじゃろ。宴会には呼べんな」
「まあ確かに、同じ巨人ですけど……なんだか、かわいそうだなあ」
「そんなことを言うな。ほれ、椅子とテーブルが来たぞ」
とはいえ、ヘカトンケイルも巨体の持ち主。彼らが運んでくると、ミニチュアを持っているように見えてしまう。
乱雑な動きで置かれたテーブルを、ハーデスとペルセポネの二人が整える。すぐに運ばれる食べ物と酒。ペルセポネが一番喜んでいた。
「これ、全部よろしいんですか? お義父様」
「当然よ。我が子の妻とあれば、最高のもてなしをせねばなるまい」
「えへへ、嬉しいです!」
まだ落ち着かないハーデスを余所にペルセポネは食事を始めてしまった。
ケルベロスにも肉が与えられている。本当は甘いものがいいんだけど、有り難く頂くとしよう。