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頑張れお兄ちゃん! 2
「どうにかして、彼女をその姉達に会わせてやりたいのです。なので冥界の王である、兄上にお頼みしようかと」
「それは駄目だよポセイドン」
「えっ」
出鼻をくじかれて、ポセイドンは目を見開く。
「メデューサちゃんはもう冥界の住人だよ? その子を地上に連れていくことは、死者の蘇生を意味する。それはルール違反だって、分かってるでしょ?」
「そ、それは……」
珍しく真っ当な意見を言うハーデスに、弟は混乱気味。
しかし実際に、それは冥界の規則だ。冥界に入ってから地上へ帰還した者もゼロに近い。……まあこの夫婦、お人好しが高じて死者を蘇らせちゃったりもしたのだが。
「確かに彼女、大して悪いことはしてないよ。現にこっちでも、エリュシオンにいるし」
「で、でしたら……」
「規則は規則だよ、ポセイドン。――そもそも彼女を地上へ連れていく前に、するべきことがあるんじゃない?」
「す、するべきこと、ですか?」
「アテナには謝ったの?」
途端、ポセイドンの表情が苦しくなった。