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1.境界崩壊

~キャラクター紹介~ 

〇竜族·ジーク

 珍しい飛竜の半獣人19歳。学問は全く出来ないが、武闘に関しては逸材。正義感があり、とにかく目の前を突っ走る性格。称号『第2竜族隊長』

〇鳥族·エルリア

 鳥類の中でもっとも賢いと言われているカラスの半獣人19歳。別名「カラス姫」。ジークと幼馴染みだからか、性格がほぼ同じ。称号『第2鳥族隊長』


〇犬族·ユリウス

 ゴールデンレトリバーの半獣人19歳。匂いに敏感で500m先の相手の位置を知る事が出来る。戦いを余り望まない知的な性格。称号『第2犬族副隊長』


〇竜族·ルカ

 ジークの弟。水竜の半獣人12歳。気が弱いせいか武闘が出来なくなってしまったが、陣形等の組立てが得意。称号『特別訓練技術兵士』


〇竜族·アリア

 ジークの母親。水竜の半獣人41歳。20年前の『崩壊事件』の時の竜族女兵士。穏やかで優しい性格。称号『元竜族兵士』


 獣人世界『アニメル』、ここは神の矛盾で創られた獣人達が住まう現実から遠く離れた世界。そして、その現実から追放された竜『ドラゴン』が共に暮らし、今では玉座に着いている程だった。

 しかし、完全なる獣人になれなかった者達も居た。青年、竜族·ジークもその一人だ。

「あ~暇だなぁ~…なんかこう、パッとした事がねえかなぁ」

 国内で人々が大勢住む街、ニルハンの商店街をぶらぶら歩きながら、大事件でも起きないかなと考えている最中、背中に電撃が走るかの様な痛みがして前方に吹き飛ばされた。

「馬鹿な事言ってんじゃないわよ!今私達が平和に暮らせるのも竜神ユグド様と獣神ラシル様のお陰でしょ!?」

 今俺を吹き飛ばした女は、鳥族·エルリア、しかも鳥類の中でもっとも賢いと言われているカラスの半獣人。性格は、とにかく前に突き進むタイプだが、意外と心配性だ。

「なんだよ!お前だって変化の全く無い世界なんて嫌だろ!?」

「でも、皆が楽しそうに毎日を過ごせるのだからいいじゃない!!」

 道の周りを通りかかった村民はいつもの出来事かの様に、「おーい、またジークとエルリアの喧嘩が始まったぞ。」等と野次馬を集める。そう、これはいつもの言い争いなのだ。

「それじゃあ、賭けをしましょう!このまま一年間、何も変わらなかったら私に百アニマを頂戴!もし、何かあったらアンタに百アニマをくれてやるわ!」

「おぉ、上等じゃねえか!絶対何かしらは起きるからな!」

そう言い放ち、エルリアと逆方向に歩く。途中で訓練施設から帰って来た弟ルカと会い、村の離れにある家に戻った。

 家族は、アリア母さんと俺とルカだけ。親父は二十年前の境界崩壊事件の際に行方不明、または死んだと八歳の時に母さんに教えてもらい、形見の『神竜剣ドラゴソード』を託された。

「いつか僕も兄ちゃんみたいな竜剣士になりたいな~!」

「あれ、ルカって王宮の第一警備隊長じゃなかったか?」

 まだ十二歳なのに、もう将来の願望をもっているルカが正直、羨ましい。俺は十七歳で竜剣士になると決めたのに。

「いけません、ルカ!貴方の様な優秀な子は学者になるべきよ」

「ちぇっ、なんだよ…それじゃあ俺が頭悪いみたいじゃんか」

「ジークは武道に優れているから竜剣士で良いのよ」

 頭の良いルカにとっては武道は苦手でも、俺が得意なのが幸いだろう。しかし、学問に関しては全く分からないのでどっちもどっちである。

「あぁ!もう集兵の時間じゃん、行って来る!」

 今日は一週間に一度ある境界のチェックの日だ。何せ時間は不定期の為、集鐘が鳴ると兵舎に集まらなくてはいけないし、半ば強制だが、この世界を守り抜くには面倒でもやらなくてはならない。

「おーい、ユリウス!」

 家の前で待っていてくれた犬族·ユリウスと共に、境界を目指し急いで馬に乗った。

「今回はどうしてこんなに遅れたの?」

 あぁ…遂に一番聞かれたくない理由を…。

「う…今日エルリアと本格的な喧嘩したんだ」

「え?あのカラス姫と!?」

 彼女は最近、優雅な上に賢いので『カラス姫』と呼ばれている。勿論、悪口では無いし、むしろ彼女自身も気に入っているみたいだ。

「へぇ~、あの仲良しペアがね…」

「わ、悪ぃかよっ!」

「いや全然…」

 馬で平原を駆け抜けて三十分程。もう砦には種族毎に兵士達が集まり、担当の指揮官が人数確認を行っていた。

「ハァ…ハァ…竜族隊長ジーク、只今到着しました!」

「…同じく犬族副隊長ユリウス、只今到着しました」

 長官の目がこちらにギロリと向いた。かなりお怒りの様子だ。

「遅い!!隊長、副隊長たる者が遅刻してどうする!?」

「すいませんでした!!以後気をつけます!!」

 その後、ユリウスと別れて大慌てで竜兵士の先頭に着き、境界の点検の仕事に励んだ。(やっぱこうやって点検してるから、安全で平和な世界が成り立つんだよな…)

 すると、ふとエルリアの事を思い出した。本当は彼女の言う事が正しかったし、俺も素直に認めれば良かったと思う。まあ、万が一大きな事件なんてある筈が…

「…!!ジーク隊長っ!!き、境界が…!!」

 チェック内容を書いている途中に、不意に兵士の一人に声を掛けられ、境界を見上げると…

「…なんなのよコレ!!」

「まさか…!!」

 急いで駆け付けて来たエルリアとユリウスが絶叫する。

「境界が…破られた!?」

 地上からおよそ五十mの場所に大きな黒い空軍艦が外側から境界を破りこちら側に突き出ていた―――――――。


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