試合の結果
バスケの試合は、うちの学校の圧勝だった。
柏木くんは大活躍で、4回もシュートを決めた。
応援幕の効果があったかはわからないけど、クラスのみんなの応援の効果は、確実にあったと思う。
試合が終わったとたん、応援の子たちが、一斉にバスケ部員のもとにかけよった。
あたしも走って行ったけど、柏木くんはあいかわらずすごい人気。
近寄れずに遠くから見てるだけ。あーあ、結局いつもとおんなじ……。
まあいっか、試合勝てて、あたしもうれしいし。
しずかに立ち去ろうとしたとき、柏木くんと目があった。
気のせいだよね。
と思ったら、ファンの子たちをかきわけて、あたしのところに走ってきてくれた。
「小崎、あの応援幕、描いてくれたんだって?」
「う、うん」
「試合中に見て、テンションあがった。ありがとな」
「ホント!? よかった……」
「今度の地区予選も、あれもって応援来てくれよ」
「え? も、もちろん!」
そんなこと言ってもらえるなんて、うそみたい!!
もしかして、今いい感じじゃない?
仲良くなるチャンスかも……てか、今しかないよね!
よかったらメアド交換しない? って、ニセ柏木相手に何度も練習したじゃん。
がんばって言わなくちゃ!
「柏木くん、あの……」
と言いかけたそのとき、
「みのるー! おめでとう!」
とつぜん、谷口さんが走ってきて、柏木くんにおもいきり抱きついた。
あたしは、言葉ごと突き飛ばされたみたいに、無意識に一歩後ろへ下がった。
「うわ、やめろって! 学校では……」
「もうー、いいじゃん! うれしいんだもん!」
柏木くんは迷惑がってたけど、照れくさそうに赤くなってた。
あ、なんだ。柏木くんて、谷口さんと付き合ってるんだ。そっかぁ……。
柏木くんの目には、もうあたしのことは見えていなかった。
あたしは、まだ慰労の言葉をかけあっているみんなの声をききながら、一人で体育館を出た。