最悪の日、ふたたび?
放課後、あたしは教壇のうえに仁王立ちにたっていた。
目のまえには、クラスメイトの人だかり。
その全員が、あたしに視線をそそいでいた。
以下、略……。
三週間、やれることはやったと思う。
自分ではいちおう納得いくものができた。ニセ柏木くんのお墨付きもある。
ほかの人からどう見えるかはわからないけど、もし認めてもらえなくても、後悔はない。
……いや、後悔だらけだよ!
また失敗したら、今度こそクラスのみんなに合わせる顔がない。
かわりに描いてもらえそうな人も、まだ見つけてないし。
おねがい、おねがい、いいって言ってください……。
さいしょに口をひらいたのは、やっぱり谷口さんだった。
「……いいんじゃない?」
それをきっかけに、みんながざわめきだした。
「かっこいい! しかもちゃんと柏木くんてわかるし」
「たった三週間でここまで変わるもんなんだ」
「正直、こんなにうまくなると思わなかったよ」
そう言ってくれたのは、このあいだ悪口を言ってたあの子だった。
聞こえてくるのはほめ言葉ばかり。
みんなの表情もこのあいだとは全然ちがって、それがお世辞じゃないってわかる。
うれしい……。努力すれば報われるって、本当なんだ。
あたしは、教室を見渡した。無意識にコウの姿を探していた。
コウは、自分の席で、関心なさそうにかばんに教科書をつめてた。
けど、あたしと目が合うと、にこっと笑ってくれた。
あたしは笑いかえしてから、自分の肩にかけてあるかばんを見た。なかから、
「よかったな」
と小さく声が聞こえた。家に帰ったら、思いっきりほめてもらわなくちゃ。