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洗濯機が壊れたからコインランドリーに来たら冒険が始まったんだが  作者: ただの斧好き


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8話:鏡の中に映るもの

「んー?」

「やっぱ透けてるねー…」


 どうしてか鏡に映らない椿たちは、画角を変えたりポーズを取ってみたりしてしっかりと映らないかと試してみるがやはり一向にその姿は変わらない。


「結衣ちゃんは普通に映るんだよね?」

「ああ、ほら、この通りだ」


 私が鏡を覗き込むとそこにはしっかりと自分の顔が映し出されている。


「えー、これじゃ私、吸血鬼みたいじゃんかあ」

「吸血鬼?」

「そ、結衣ちゃん知らない?吸血鬼って魂がないとかなんとかで鏡には映らないって言われてるんだよ」

「ほー」


 天然なのか素なのかわからないけど、椿はたまにこう言った知識を口にする。

 まあ、正直なところ今言われてもって感じだけど…


「魂がないねぇ…あれか?この場合だと椿は落ちちまったから魂が薄れてるみたいな感じか?」

「ちょっと結衣ちゃん、不吉なこと言わないでよ!ちょっと怖いじゃん、ねえ?」

「そうだよー!そんな私たちが死にかけてるみたいな言い方ひどいよー」


 片方の椿はプンプンと起こるように口を膨らませ、もう片方の椿はわざとらしく目をうるうると泣く様なそぶりを見せる。


「…ああそうかい、正直言ってお前らが命の危機に遭うところなんて想像できねえよ」


 ツッコミをするのもそろそろ疲れてきてしまい、くたびれたように項垂れる。


「んー…ん?あれ、これってもしかして…」


 椿たちのやりとりに疲れてしゃがみ込んでいると、鏡を持った椿は何かに気づいたかのような言葉を口走る。


「結衣ちゃん、これ見て!」

「立て続けになんだよ…」

「今度は本当に大事なことなんだって!」


 よほど重要なことなのか、椿たちは慌てた様子でこちらに向かってくる。

 すると忙しない様子で両腕をいきなり掴まれて身動きが封じられてしまう。


「わかった、わかったから落ち着けって!」


 勢いよく椿たちを引き剥がした彼女たちと向かい合う。


「ほら、これ、これ見てよ!」

「ほらほらほら!」

「見るから、見るから一旦落ち着けって!」


 椿たちは興奮しながら片方の椿が左手に持っている鏡を私の前に出す。


「いや、何も変わってねえじゃんか…」


 覗いてみると、ただただ私の顔が写っている。


「ちがくて!あーもう…こっち、ほらこっち来て!」


 鏡を持っていない椿に強引に引っ張られると、もう一度鏡を目の前に差し出される。


「んー?だから私の顔が写ってるだけだって…」


 そう言うと椿は鏡の角度を変え、私に見せると同時に言う。


「違うんだって!」

「ほら、後ろを見てほしいの!」

「後ろ…?なっ!?これは…」


 角度を変えて鏡を覗き込むと、私の顔しか写っていなかった鏡にこの階段空間が写っている。


 そして──


 そこには何故か椿のように映らない階段がいくつかあった。

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