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色ボケジジイのダンジョン散歩  作者: BANG☆
研修、それは出会いと別れ

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第捌話 じいさん、石を投げる

明日は分かりませんが今日は投稿出来ました


お暇つぶしにどうぞ

 なんかモヤモヤしますが忘れっぽい年寄りの記憶力を(あなど)ってはいけませんねぇ。まぁ、なんか思い出せたら良しとしましょう。


祭藤さん(アカリちゃん)、そう言えばさっき妙な前振りをしてませんでしたかねぇ。ソードマンが多すぎじゃないかとかなんとかそんな感じの」

「気に、気にしないでください!アレは世間話の(たぐい)ですから!それより元二佐殿(祭藤一尉)、早く1階層を移動して侑花ちゃんがアサシンになれるように魔素を集めませんと!」


 アカリちゃんが絶望的な顔をして祭藤一尉(無能な叔父)をせっついてダンジョン1階層を練り歩く事にしましたねぇ。


 誤魔化せたと思います?追い詰められた美人を観察するのも(おつ)と言うか、嗜虐心をそそられると言うか・・・我ながら性格悪いですねぇ。あぁ、(あせ)るアカリちゃんも美しい!


「祭藤さん、どうかしたのかなぁ。すぐになれるって言ってたのにまたここ、グルグルするの?」


 こっちはこっちで単純と言うか天然と言うか・・・貴女のおかげでややこしくなってるんですからねぇ?


 まぁ、こっちとしては合法的にダンジョンを散策できるんですから願ったり叶ったりですけどねぇ。


 さてさて、1階層とは言えモンスターは儂たちをしばしば襲ってきますねぇ。レベルやらその種類やらは1階層なんですから推して知るべしではあるんですけどねぇ・・・


 ここで問題です、儂らの職業(ジョブ)は何でしょう?


 ここで祭藤家の方々はオブザーバーとしてノーカウントですからお間違いなく。


 儂はポーターにしてエルダーテイマー、侑花ちゃんは未来あるノービス、そして昇級を夢見て彷徨(さまよ)アホウ(花田)は名目上ソルジャーですねぇ。


 何ですけどねぇ・・・コイツ(花田)、マジで役に立たないねぇ・・・


 ほい、黄緑のぷよぷよ動く水溜り所謂一つのスライムが石の陰からズルズルと出てきましたよ。


 それを見た瞬間、アホウ(花田)のスカタンは事もあろうにノービスの侑花ちゃんの後ろに隠れてしまいますねぇ。


 コイツの反応は研修の審査する側でしたら何の問題も無いんですよねぇ。だってそうでしょ?被験者の探索者としての適性を審査してるんですからどう動いて何かを守るかなんてものを見て行くんなら最適解と言えるかも知れないんですけどねぇ。


 でも考えてくださいな、アホウは被験者の一人で(かば)って(もら)おうと逃げた先にいるのはまだノービスの侑花ちゃんなんですよねぇ。


 周りの状況から推測すると、どうやら職業が発現するまでは戦闘したらダメみたいなんだよねぇ。


 どの職業が発現するか判らないから武器だって携帯しちゃいけないんだから本来侑花ちゃんは守られなきゃいけないのに、その陰に隠れるなんて許されないでしょう?


 このアホウが前回昇級できなかったのってこれが答えだったんですかねぇ。


 仕方ありませんねぇ。1階層程度でポチやタマに働かれるとエサ代がメチャクチャ高くついちゃいますからねぇ、儂がやっときましょうかねぇ。


 侑花ちゃんを安心させるつもりで頭を軽く撫でてスッと前に出ましょうかねぇ。ポーターですから本来は一番後ろ(ある)いは後衛の前ぐらいにポジショニングしてなきゃならないんらしいですがねぇ。


 取りあえずタマをその辺に降ろしてから(タマは抗議の唸り声を上げていましたけど気にしちゃいけませんねぇ)そこら辺の石を拾ってスライムに向かってポイ。憐れスライムはただの水溜りとなってすぐに煙のように消えてしまいますねぇ。


 ダンジョンの中じゃモンスターってのは死んだら消えてなくなってドロップ品を残すだけなんですけどアホウ(花田)は何が怖いんですかねぇ。


 落ちていた小指の先ほどの『魔石』を拾い上げて侑花ちゃんの元へと戻ります。


「作業終了ですねぇ」

「お疲れ様です。でもあれでよかったんですか?」

「あいにく両手が塞がって武器が持てませんからねぇ、その辺にあるものを代用しただけですよねぇ」


 ジジイだって若い娘にはいいトコ見せたいじゃありませんか。気取る事無くカッコよく出来たと思いませんかねぇ?うん、おっぱいは控えめだけどお尻がキリッと引き締まってて・・・おっとセクハラ案件。


「もっといい方法があるんじゃないのか?」

「娘っ子の尻に隠れて偉そうに言っても誰も聞いちゃくれませんがねぇ」

「ナ、何ィ!!!オ、俺は!」

「今のあんたは昇級の為の試験を受けてるんだって事を忘れちゃいませんよねぇ?」


 アホウの顔が面白いぐらいに引き()ってますねぇ。まさかとは思いますけど今の今まで忘れてたとしたら儂と記憶力がどっこいどっこいじゃありませんかねぇ?確か儂の事をボケ老人呼ばわりしてませんでしたかねぇ?脳年齢が40年劣化ですかねぇ・・・やっぱアホウで正解ですねぇ。


 おや?気付いたら侑花ちゃんの表情が何とも複雑になってますねぇ。


 喜んでいるとも困っているとも将又(はたまた)拍子抜けしているようにも見えますねぇ。


「もしかして侑花ちゃん、なんか出ましたかねぇ?」

「・・ちゃ・です」


 ちゃ?茶飲み友達とか?まずはその辺りから交際を始めたいとかですかねぇ?いやぁ困るなぁ♡孫の世代に気に入られちゃいましたかねぇ?


「ちゃ?侑花ちゃん、もしかしてジョブに目覚めちゃった?

 もしそうだったらダンジョンでちゃが付くとなるとティーチャーやコーチャーとかパンチャーだとかかしら。他ならピッチャーなんてのもあるしなんだろう。

 元二佐殿(祭藤一尉)、本人の許可を得てからですけど鑑定をお願いできますか?」


 ティーチャーとかコーチャーってのは戦闘開始前に装備や陣形などをチェックして事細かく文句を言ってくる(やから)、じゃなくて参謀役のジョブの一番初級の職業だった筈ですねぇ。それからパンチャーは拳闘士(グラップラー)になれる職業の初手の殴り屋でしたよねぇ。ピッチャーは投擲士の初級職にあたりますねぇ。


 この中だとティーチャー、コーチャーはクランにでも入らないと仕事ありませんし(性格が悪い人間しかなれないって(もっぱ)らの評判ですし)、パンチャーだったら拳一つでモンスターに立ち向かう男らしいジョブで人気(女の子に人気かはよく知りませんねぇ)、ピッチャーならさっき儂がやったみたいに石を投げてでも練度が上がるお気軽なジョブ(ただすぐ頭打ちになりますからおすすめは出来ませんが)、他にもなんかあった気がしますが儂の干からびた脳細胞では辿(たど)り着けそうにないでそんなのじゃない事を祈ってますがねぇ。

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