第七話 じいさん、お偉いさんの一族とお近づきになる
明日は分かりませんが今日は投稿出来ました
お暇つぶしにどうぞ
運営側の不手際で参加者からせっつかれると言う最低の経過を経て儂ら一行は漸くダンジョンのゲートを潜り抜け1階層へとやってきましたねぇ。
座学は修了、で儂はポーターでエルダーなんちゃらの職を獲得済み、アホウも曲がりなりにもなんか職を持っていた、という事で娘っ子が職を得たらめでたく解散。と言う段取りなんですけどねぇ・・・ダンジョンに入った段階じゃ侑花ちゃんの職業は発現してくれませんでしたねぇ。
まぁそんな事はままある事らしいですけど侑花ちゃんのしょげ方が凄い。さっきまでのポチの尻尾を弄ったりタマを撫で回したりと燥いでたのがウソのように下を向き絶望の淵から地獄に身を投げようとでもするかの如く落ち込んでしまってますねぇ。
でも最初から侑花ちゃんに職業が生えるまでダンジョンに入るって約束なんですから気にしないでくださいねぇ。
ただ心配なデータがあって、ダンジョンにやってくる人間の八割強が実は探索者となるべき職業が発現しないらしいという事でねぇ。
研修もただじゃないしダンジョンに潜るのだって一回一回5000円は入場料として徴収されるのに職業が発現しないと1円も戻ってこないんですよねぇ。
儂は最初からポーターが発現してたから探索者としてではなく一般人として入場できた、と思っていたら実はテイマーの方で入場がパスされていたらしいとはさっき気付いた事なんですけどねぇ。だってポーターだけじゃ入場は許可されないなんてさっき知ったんですもんねぇ。
「ポーターでも中で剣を振ってスライム倒し続けていたらソードマンが発現するらしいからなんかやったら職に目覚めるんじゃないかねぇ?現に儂もポーターだけじゃなくてテイマーも発現してるからねぇ」
「おじいちゃん、ありが「鈴木サン、いい加減な事をふきこまないでくれませんか?私の部下にも探索を諦めきれなくて私の眼を盗んでそれこそ百回以上も出撃した奴がいましたがその後いろいろありましてねぇ。その結果で私がここに飛ばされている、という事で御理解できませんか?」
・・・あたし、ダメなんだ」
この唐変木!アンタにゃ人の心ってもんが無いのか!こんな可愛い娘っ子にこんな悲しい顔をさせてどうも無いなんてアンタは鬼だ!
でもあの口振りだともしかしたら、職が発現できない部下が無理な出撃をして殉職でもしたってのが原因で責任を負ってここに飛ばされたとかって言うんじゃないですかねぇ?
「元二佐殿?私は直接の原因は、職業が中々発現しない部下に無理やり出撃させて職が見つかるまで帰ってくるなとかって追い詰めた挙句自衛隊を辞めた元部下たちから訴えられたって伺ってますけど?」
「うっ、あかり、今それをここで言う必要があるか?そんな事よりこのままじゃ私もお前もいつまでも帰れないんだぞ!」
祭藤一尉、鑑定が出来るだけのクソ人材じゃないですかねぇ。
「ただねぇ、このまま何もしないでいるといつまで経っても変化がありませんから邪道ではありますが切っ掛けをやってみますか?」
「はっ!祭藤!それは異界基本行動規範に違反する行為だぞ!それがバレでもしたらお、俺の昇級がまた逃げるだろうが!」
「あら、花田くん。貴方がやった事を試して見たらって言ってるだけだけど?」
アホウの顔色が一気に悪くなりましたねぇ。何やら不正行為をやった事をアカリちゃんに握られてるとか?それにイカイキホンコウドウキハンってなんですかねぇ?
「侑花ちゃん、ホントは法律で禁じられてる事なんだけど確実に職業が得られて探索者になれるって方法があるの。
ただこれをやると本人の資質に適正でない職業が派生しやすいんでお勧めしないって事になってるんだけどね」
「でも確実に探索者にはなれるんですね。やります」
真剣に違法行為を打診するアカリちゃんに侑花ちゃんは何の疑いも無く返事しちゃいましたねぇ。
少しは考えないと後で痛い目に会うとかやな思いをするとかあるんだけどねぇ、儂みたいにねぇ。
「ちょっとよく考えなさい。それをやった花田くんの顔色とか見て判断して欲しいんだけど?」
「そ、それをやったってなぜ知ってるんだ祭藤!誰も知らない筈なんだぞ!」
「誘導するまでも無くゲロっちゃう貴方の事なんてお見通しよ。
そんな事より侑花ちゃん、これは最終手段なんだからよく考えてね?」
狼狽するアホウの戯言を一蹴して、侑花ちゃんの頬を包み込むように両手を添え顔を覗き込むアカリちゃん。傍から見てると美人姉妹みたいで今風に言ったら『尊い』?って言うのかねぇ。
あ、思わず涎が。・・・タマよ、その白目で睨むのは止めてくれないかねぇ。
「でも侑花が職を見つけられないとみんな帰れないんだよ?
いくらポチちゃんが可愛いからって言ってもおっきなタマちゃんを抱えたおじいちゃんにずっと付き合わせちゃうのはなんか違うと思うの」
いや、ポチが可愛いからタマを抱えた儂が可哀想ってよく意味が解らないんですけどねぇ。
「侑花ちゃん、探索者のアタッカーって剣を振る人が多いって思わない?」
「侑花のパパも騎士だったもん。普通じゃないの?」
親の因果が子に報い、じゃありませんが親子二代で探索者、ですかねぇ?
「うちはおじいちゃんもパパもママもお兄ちゃんも探索者だから侑花もなりたいの!」
まさかのヤクザな一族でしたねぇ・・・まぁ自分もそうなっちゃったんだから人の事は言えないんですけどねぇ。
「おじいちゃんはポーターから始めてソードマンになって最後はソードマスターにまでなったの。
ママはシーフからアサシンになったけどパパと結婚するのをきっかけに引退したんだって言ってた。
お兄ちゃんはキャスターとかって言ってたけどよくわかんない。侑花はママみたいにアサシンになってモンスターをぶった切りたいの!」
幼稚園児だったら微笑ましいかなって思うような事をハタチ前になって公言する侑花ちゃん。
儂、ちょっとドン引きするねぇ。でもかわいいから許しますけどねぇ。
「は、はは。そ、そうなのね。・・・もしかしておじいちゃんって市原姓なのかしら?」
「ううん、海長鷲太って名前だよ」
一瞬にしてアカリちゃんの顔色が真っ白になってしまいましたねぇ。横でアホウがうわ言の様に呟いていますねぇ「探索者協会の会長じゃねぇか・・・終わりだぁ」ってねぇ。
そりゃあ会長の孫娘に不正を唆していたんですからそうなるのも仕方が無いんじゃありませんかねぇ。
はて、海長鷲太・・・聞いた事が有るんですがどこの誰だったか、なんか引っかかってますねぇ。




