第二十捌話 じいさん、命令を無視する
明日は分かりませんが今日は投稿出来ました
お暇つぶしにどうぞ
「ギルドマスターのGMルームですよ」
たったその一言でトカゲ野郎は動けなくなりましたねぇ。大方、自分の不正の証拠か何かあって逃げられないとでも思ったんじゃないですかねぇ。
「その為の祭藤一尉か。用意周到だな、主任は」
「何を言ってらっしゃるかは見当が付きませんが鈴木に瑕疵が無いと認められて解放されるのであれば万事丸く収まるものと思われますが?」
トカゲ野郎は、アカリちゃんの提言を無視するかのようにトカゲの眼を血走らせながら立ち上がると儂の方に向き直ってがなり立ててきましたねぇ。
「従魔の失態は使役者の責任!ギルドには何の落ち度もない!
依って鈴木一郎は富士ダンジョンへの追放処分とする!」
富士ダンジョンって民営ダンジョンの中でも最難度を誇る凶悪なダンジョンじゃありませんか。それこそ統括7壕なんて眼じゃない程の難易度で1階層で1時間生き延びられたら全ての罪が償われるとまで言われている地獄の監獄ですねぇ。
そんなトコに追放、つまり人間としては廃棄処分される訳ですね。
まぁ、元からそこいらが話の行きつく先だと思っていましたが随分早くこの世とオサラバできそうですねぇ。
「ほほう、臭いものには蓋ですか。ギルドのホールには監視カメラもあった事でしょうし今時の若いのなら生配信とやらもしていそうですがどこまで言論統制が出来るものですかねぇ?
まぁ、そんなに慌てるという事はGMルームとやらにさぞかしお宝を隠しているからこその反応なんでしょうねぇ。
従魔だと思って舐めて掛かると痛い目に会うと思いますがねぇ」
「痛い目?何を今更」
「タマという魔物は既に300年近くをヒトの傍で生き抜いた妖怪でしてねぇ。ポッと生まれてダンジョンの中で暴れ回るだけのモンスターどもとは出来が違うんですよねぇ。
ヒトを出し抜く知恵もある、ヒトには届かない力もある。そんなバケモノが儂という手綱から解き放たれて世に放たれたらどうなる事でしょうねぇ。
今の比じゃない被害が出ても仕方がないでしょうねぇ。そしてそれを討伐する為には・・・原爆でも落としますか?
ただアイツはあの日、広島にいたらしいのでそれも効果があるとは言い切れませんがねぇ」
あの日がどの日だかは言いませんけどタマをゴジ〇とダブらせるのも一興でしょうねぇ。
「はぁ?そんな虚仮脅しに引っ掛かる私だと思うんならお生憎様だったな。どこの世界に齢三百年の魔物がいる。ダンジョンが出来てたかだか60年でしかないんだぞ?
それなのに三百歳だぁ?どう考えても三百年近く生きるモンスターなどいる筈も無いじゃないか!レベル288だ?はっ!有り得ない数字を並べられても私の笑い死にでも狙っているとしか思えないな。
だが生憎と私にはユーモアなんぞというゴミカスのようなスキルは存在しない。
ただ、腹の底から侮蔑するだけだ。地獄の釜を覗く時にでも私の言葉を噛み締めておく事だな!」
「いくら言われてもタマは回収しませんので悪しからず。
儂がいなくなってからのアヤツの暴れようを見て取れないのが心残りではありますがねぇ、これも人生という事でしょうねぇ。
一尉ドノ、タマが気が済んで部屋を出て行ったらあの部屋から出て来るモノはじっくりと鑑定しておいた方が身の為ですねぇ。ある種宝の山でしょうからねぇ」
いきなり話に引っ張り出されて眼を白黒させている無能の人には気の毒ですが、ここは道化の踊りをご一緒して貰えませんかねぇ。
「それくらいの事はたわいもないぞ。出て来る品を片っ端から一つ残らず鑑定して見せてやる、安心して地獄に落ちるんだな、じいさん」
似合いもしないサムズアップを決めて見せる祭藤一尉には思わず苦笑いが零れてしまいましたがそれはまぁいいでしょう。地獄に行く時はアンタも道連れだからね鑑定しか出来ない無能の人さん。
「さぁて、それではどこに出頭ですかねぇ?」
「いちじいさん、本気ですか?生きて帰れませんよ?」
「覚悟は出来ていたのか。だったら意地を張らずに従魔を引き渡す事だな、いまなら安楽死をさせてやる」
一々逆鱗に触りたがる男だねぇ。お前も地獄に引きずり下ろすんだから、今更お前の言う事を聞く筈無いだろうがねぇ。
「出頭先は無しって事ですねぇ、それならこのままタマに部屋を引っ掻き回して貰いましょうかねぇ。
出来るだけ物は壊して欲しくはないですけど如何せん声が届かない所にいますからねぇ、壊れても儂に弁償する義理はありませんねぇ」
「何を言ってる!あそこには政f、いや上層部からの資料が多く保管されているんだぞ?それを破損させでもしたら私の責任が問われてしまうじゃないか!
いいからお前の従魔を鎮めろ!これはギルドとしての命令だ!」
あんまりにも身勝手な言い分だと思いませんかねぇ?
「それに従って儂に何のメリットがあるというんだねぇ?」
「何を言いたい!」
「10階層の裏ボスをトレインされた挙句に討伐したら戦果を横取り呼ばわりされて仕舞いには富士ダンジョンに追放だなんて不条理を白紙に戻さない限り儂の名誉は回復しませんし、これだけの騒ぎを作り出した張本人が処罰されない限り不当な命令に唯々諾々とと従う程従順じゃないって事を覚えておいて欲しいんですけどねぇ」
あぁ、トカゲ野郎の蟀谷に青筋がクッキリ浮かび上がっていますねぇ。そんなに興奮すると脳卒中とか起こしても知りませんからねぇ。
「四の五の言わずに命令を聞け!!お前には反論する権利など与えられていないんだ!」
「不当を不当を告発しているだけですねぇ。虹の勇者もそう思うんじゃないかねぇ?」
「へっ?いや、あの、うわぁ、なんて言えば・・・どうなんでしょうか」
「オ、オークを倒したのはた、多分ぉㇾ・・・」
「で、でもアレが無いとおれたち追放が・・・」
それまでコイツラ空気だった青木、赤尾、黄原の虹の勇者は急に話を振られて大パニックに陥っていますねぇ。ほほう、物納のノルマでも持たされてるんですかねぇ?
こうなりゃ、とことん追求してあげましょうかねぇ。
「追放ですか。どこから誰がいつどうやって追放するんですかねぇ」
「あ、バカ!黄原、何バラしてんだよ!」
「でもおれたちもう三人しかいないんだよ?今週はこれでどうかなっても来週は・・・」
「煩い!お前たちが仲間割れしてどうする!アレを確保できればお前らは来月まで安泰だ!その間に補充をどうにかしなさい!」
・・・なんだ、トカゲ野郎とトレインチンピラはグルだったようですねぇ。
「『虹の勇者』の・・・白井さんは?」
「あ、祭藤サン!・・・白井は・・・白井は・・・」
黄原が大粒の涙を流して崩れ落ちてしまいましたねぇ。大方、虹の勇者のリーダーだったか渉外担当だったかしたのが死んだ白井だったって事でしょうかねぇ。
まぁ、下っ端臭が半端ない三人でしたからさもありなん、ですねぇ。
「じゃあ、黄原さんでもいいわ。5階層で何があったのかしら?」
すると、号泣しながら黄原が仲間二人やトカゲ野郎の制止を振り切って事の次第をアカリちゃんに包み隠さずバラしてしまいましたねぇ。
以下は黄原の自供ですねぇ。
ギルドマスターから他の探索者を襲ってでも次のオークションに掛ける品を持ってくるように強制されていた事。それも毎週。
そう言う命令は後二つのパーティーにも出されている事。アカリちゃんがトカゲ野郎をジトッと見つめて残りのパーティーの呼び出しを命じてましたねぇ。
今週は眼の強い相手が見つからず仕方なく10階層のフロアボスに六人で挑もうとしたが混んでいて埒が明かないという事で初めてながら裏ボスに挑戦する事にした事。
結果返り討ちに遭って敗走、六人中三人を犠牲にしながら逃走をしたものの、振り切れずにトレイン状態となり5階層までやってきた事。
それ以降は儂も知る事ばかりで目新しい情報はありませんが、最終的に裏ボスが残したドロップ品ではなく遺留品とも言うべきハルバードはオークションでは必ず目玉になるからとトカゲ野郎からせっつかれていたとの事。
それで別室に連れ込んで横取りをでっち上げようとした訳ですねぇ。
そろそろストックが無くなってきましたねぇ・・・
ストックが無くなったら超低頻度の不定期になってしまいますけどねぇ・・・
ま、ストックある間は毎日投稿頑張りますのでドぞヨロシク。




