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色ボケジジイのダンジョン散歩  作者: BANG☆
来た、見た、勝った

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第弐拾七話 じいさん、嵌められる

明日は分かりませんが今日は投稿出来ました


お暇つぶしにどうぞ

 あれから儂と青木、赤尾、黄原の三人は、別室に連れ込まれて尋問を受けてましてねぇ・・・罪を犯したつもりは無いんですけどねぇ?


 (ちな)みにドロップ品は、タマに見張らせてますんで多分大丈夫でしょうねぇ。結局あのまんまポチは戻って来てませんからねぇ。


 目の前にいる仏頂面のトカゲの眼をした男が髭の無い(あご)(さす)りながら儂とコイツらにコカトリスの魔眼のような視線を浴びせてきますねぇ。


 儂が嫌いな不遜(ふそん)な官僚の眼ですよ、ねぇ。


「服役犯罪者と底辺探索者如きが何を揉めてるんだ」


 何という言い草でしょうかねぇ。この人間の血が通っていない爬虫類男は、実はギルドマスターでした。


 侑花ちゃんたちと会った時の事をすっかり忘れてました、年寄りあるあるって事で許して欲しいんですがねぇ。


 最初から決めつけるのならさっきのホールで言って貰えばよかったのに、ねぇ。そうしたらタマを(けしか)けてコイツも青木達『虹の勇者』もズタズタの細切れにして憂さを晴らして見せたのに。


 なんて言いますかねぇ。今時の若いもんの言うところのタイパですよ、そうしたら嫌な思いをする筈の人間が時間も少なく数も少なくなってWINWINって奴じゃないですか、ねぇ?


 こっちは、身寄りもいない無実の罪を背負(しょ)わされた無敵のヒトなんですから後先もへったくれも何も考えなくても構わないんですからねぇ。


 そこで『虹の勇者』の三人が涙ながらに今回の一部始終を切々と語っていくんですけどねぇ・・・やれ死んだ白井がどうだったとか黒川って男がどんなに誠実でどんなに(むご)たらしくオークに殺されたかとか緑山という男が———どうにも本筋じゃない話をグダグダと盛りに盛って肝心なオーク討伐の経緯は一向に話さない。そうかい最初に集まった七人が其々色の付いた名前だったから七色で虹の勇者になったのかい。


 で、残りの一人は?・・・紺野は足を洗ったんですか、普通でつまらないですねぇ。


 無駄に時間を散々費やした後、やっとこさ儂のターンですねぇ。


「儂がコヤツらにトレインを仕掛けられたのは5階層でコボルトの狩りをしていた時でしてねぇ」

「5階層?トレインしてきたはずのオークは10階層の裏ボスじゃなかったのか?」

「そいつが10階層から来たかなんて探索者になりたての儂に判る筈が無いじゃありませんかねぇ。

 ソイツらの話が本当なら10階層から三人を犠牲にしてその連中が引き連れてきたんじゃないですかねぇ。とにかく儂は5階層までしか降りてませんからねぇ」


 そこでギルドマスターは、生えてもいない髭を(しご)く真似をしながら片方の眉をピンと跳ね上げましてねぇ。なんか嫌な予感がしますねぇ。


「アンタは何級なのか?」

「軟球やら硬球やらと言われてもテニスも野球もやった事が無いからねぇ」

「スポーツの事を聞いてるんじゃない!探索者として何級かと聞いているんだ!」


 そんなもの儂に聞いてどうするんだね、意味の無い事を聞いてくるもんだねぇ。


「という事は昇級試験をまだ受けていないんだな?じゃあ初級か。

 初級は何階層まで解禁になっているのかは知っているよな?」


 嫌なところを突いてきますねぇ。形骸化しているとはいえ本来のルールを突きつけてきますかねぇ。


「んー。5階層までは大丈夫じゃなかったかねぇ」

「そいつは、パーティーやクランで行動していたらの話だな。アンタはソロで何をやっていたんだ?」

「だからだねぇ、従魔のタマにコボルトを狩らせていたんだけどねぇ。それとも混ざってたゴブリンがジャマだったのかねぇ?」

「ほほう、すっとぼけるとはいい度胸だ。

 いいか、初級が潜っていいのは2階層までだ。5階層まで潜れるのはパーティーの時だけだ」

「じゃあ、セーフですねぇ。

 儂は『ウルフアンドパンサー』っちゅうパーティーに参加しているから問題無いでしょ、ねぇ?」

「今はパーティーからは離れているから個人資格でのダンジョン探索になるんじゃないのか、ええ?

 パーティーに参加もしていないで5階層までも潜るなんて言語道断を許すとでも思っていたのか?

 それどころか10階層の裏ボスを倒すとかありえない事を聞かされてそれを真実だと思えるでも言うのか?

 これを以って異界管理官(ギルドマスター)の権限に置いて裁定を下す。被告鈴木一郎は原告虹の勇者に対して以下の事を命じる。

 一つ、虹の勇者に対する暴言に対して過料50万に処す。

 二つ、虹の勇者の主張するところの対価である所蔵する全ての魔石、及び戦果品を速やかに虹の勇者に譲渡する事。その際、保管運搬料として虹の勇者より5000円を()()する事。

 三つ、被告鈴木一郎は保釈中の身であるにもかかわらず犯罪に再び手を染めた事を勘案し政府統括異界第七壕への一ヶ月の出向を命じる」


 この野郎、また統括ダンジョンの件を蒸し返してきやがったですねぇ?


 というか、最初から儂の言い分を聞く気なんて無かったって事だねぇ。渡りに船で地獄への片道切符を押し付けてきたって訳ですねぇ。


 三つ目なんて虹の勇者は全く関係ないじゃないのさ!


「異議あり!」

「ここは法廷ではない。単なるギルドマスターとしての裁量権の行使である。

 ()って被告側の陳情は却下される」


 トカゲ野郎(ギルドマスター)の勝ち誇ってヒトを見下した顔がにやけるのを抑えきれずに醜く歪んでますねぇ・・・こいつは一生許せませんねぇ。


 その時、ドアがノックされてトカゲ野郎は得意げに引き()れた笑いを浮かべたまま入室を許可しましたねぇ。


 口頭では儂が誤魔化すとでも思って、文書化する為の道具でも持ってこさせたんでしょうかね?


 そして入ってきたのは、なぜかアカリちゃんと祭藤一尉でした。


「何をしに来たんだ?祭藤主任(アカリちゃん)祭藤一尉(くそバカ無能)も呼んではいない筈だが?

 関係者以外の入室は禁じているぞ、出て行きなさい。

 私は花田主任心得に事務を手伝えと命じていた筈だが?」

「生憎ながら彼は私のパーティーの一員でありますから、私はこの件に関しまして傍聴する権利もあり弁護する義務もあると自認しています。

 また、一等陸尉はこの処断の正当性と中立性を担保する為に私に同行を求めてきましたので、花田主任心得の了承の(もと)同伴しています。

 最後に花田主任心得ですが鈴木の所持する戦果品を無断で確保しようとした為、それを守護する鈴木の従魔 個体名タマとの戦闘に突入、一方的に負傷を負わされ現在医療機関へと向かっています」

「従魔が職員にケガを負わせたと言うのか!それは由々しき事態だ!

 その従魔は処分したのか?」


 アカリちゃんの報告を不愉快そうに聞いていたトカゲ野郎は、バカ花田負傷の話を聞いて顔を輝かせましたねぇ。付け込む隙を見つけたと言わんばかりの表情ですねぇ。


 そんなに顔に出すと付け込まれて痛い目に遭いますよ、というか遭ってくださいねぇ。


「ご自分でどうぞ。

 私たちでは歯が立たないのは眼に見えていますので遠巻きにしているだけです。物理的な攻撃はギルドの建物に多大な損傷を与えかねませんので手を出せないのが現状です」

「デカい猫一匹に何をモタモタしているんだ!だったら魔法でどうにかしなさい!」

「どうにかと言われましても今、上に上がってきている探索者には魔法の適格者は無敵旅団の佐々(さっさ)女史だけですが?」


 無敵旅団って確かこの近隣に名前を轟かせているクランでしたっけ?そこの魔法使いの佐々って確か『爆炎の呪い姫』とかって二つ名じゃありませんでしたかねぇ?


「佐々女史に頼みますか?上がってきたばかりで相当興奮していましたけど」


 苦虫を噛み潰すトカゲ野郎の表情が心地いいですねぇ。


 それにしても爆炎の呪い姫とはまた厨二病全開な綽名ですけど、お礼にお茶にでもお誘いしたいものですねぇ。下心なんてありませんよ、なんせ相手は既婚者だそうですからねぇ。


「あの猫狂いにそんな事言ってみなさい。八つ裂きにされた後火炙(ひあぶ)りにされてから島送りにされて髪の毛一本の痕跡さえ存在が許されなくなるだけじゃないか。

 流石に私も命は惜しい。魔法は諦めよう。

 では何かいい考えは無いか・・・いや、君に聞いてはいけなかったな。

 どうせ、君の意見は鈴木を解放しろ、だろ?」

「それが一番である事は言わずもがなかと。

 あぁそうでした!言い忘れていましたが、花田主任心得との戦闘後、従魔タマはとある一室に立て籠もって戦果品を守り続けています」


 淡々と状況を説明するアカリちゃんに段々と不気味さを感じている様になってきているギルドマスターは嫌々ながらその顛末を確認します、と言うか確認せずにいられませんでしたねぇ。


「どこに逃げ込んだんだ」

「ギルドマスターのGMルームですよ」


 流石に自室に立てこまれたとなるとギルドマスターとしての尊厳も何も保持できなくなったトカゲ野郎は、がっくりと膝をつき崩れ落ちて行きましたねぇ。

たまにはご意見いただけると嬉しいんですけどね


何かあったら遅筆ながらどうにか対応できるものはやっていきたいと思っています

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