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色ボケジジイのダンジョン散歩  作者: BANG☆
出会いは運命的?

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第弐話 じいさん、反乱を起こす

明日は分かりませんが今日は投稿出来ました


お暇つぶしにどうぞ

 ギルドの受付のアカリちゃんは、困り果てたように溜息を一つ()くとずり落ちかけた眼鏡を人差し指で押し上げ嫌そうに用紙を儂の方に差し出してきますねぇ。


 儂が死ぬとでも決めつけているんでしょうかねぇ、優しい子だねぇ。


 でも儂なら大丈夫。


 事務員生活50年で鍛え上げた処理能力でキチッと仕上げた申込用紙をアカリちゃんに(うやうや)しく提出すると受け取りながらアカリちゃんが溜息をまた一つ。


 いやぁ、憂いある美人ってのは絵になりますねぇ。惚れ直しちゃいそうですよ。


「おじいちゃん、今日はこれで仮の受付をしますけど明日ある研修は絶対受けてくださいね!」

「研修なんてものが必須だなんて初めて聞きましたねぇ。でも儂は無職(ノービス)じゃなくてポーターが発現しているんですからこれから向こう(ダンジョン)に行っても構わないんじゃないんですかねぇ?」


 儂の言葉に驚いて思わず立ち上がるアカリちゃん。何をそんなに驚いているんですかねぇ?


 おっと、アカリちゃんが一声あげる前に横からトサカが飛び込んで来ましたねぇ。


 もうヤスウラさんたら、脅かしっこは無しですよ?心臓がビクッと不整脈を打ちかけたじゃないですか。もう大丈夫ですから、タマもそんなに威嚇とかしなくても構いませんからねぇ。


「ジジイ、てめえノービスは知ってんのにポーターを知らねぇ筈、ねぇだろうが!」

「ノービスってのは資格不足で探索者にはなれないけどポーターならちゃんとした資格だから堂々と入れるって事じゃないんですかねぇ?」


 おや、アカリちゃんが頭を押さえて机に突っ伏してしまいましたねぇ。もしかして今日はアノ日か何かで体調不良かなんかでしょうかねぇ?


「ジジイ・・・しらばっくれてんじゃねーぞ?」


 ヤスウラさんたら、(わざ)としかめっ面をして脅かそうとしてもダメですよ。貴方の本性はバレバレですからねぇ。


「しらばっくれるも何も(たと)え仮でも登録証をいただけたんですから今日の宿代くらいは稼いできたいじゃないですか、ねぇ?」

「・・・あかりちゃん、悪い事言わないっすからジジイの免許をボツってくれねぇっすか?」

「もう機械を通しちゃったから不可能ですよ。安浦さんの言動もおじいちゃんをどうしたいのかが相当ブレてるのは自覚してくださいね。助けたいんだか追い出したいんだか分かりませんよ?

 ところでおじいちゃん「イチじいと呼んでくださいな」・・・イチじいさん、ポーターってどんな職業か解ってますか?」


 ウホッ!アカリちゃんが『イチじいさん』って呼んでくれましたよ!我が人生に()い無し!これで後あの胸の谷間に顔を(うず)められれば、いつお迎えが来ても文句なんてもう言いませんからねぇ。


「ダンジョンに潜れる職業!ですよねぇ」


 なぜか仲良くずっこけるヤスウラさんとアカリちゃん。あなた達タイミング合い過ぎじゃありませんかねぇ?まさか知らない所で付き合ってたりなんてしてないでしょうね?


 もしそうだったら儂グレますからねぇ!・・・あの髪型(もひかん)は恥ずかしいからやりませんけどねぇ。


「ハァ・・・イチじいさん、よーく聞いてくださいね。

 ポーターは単独ではダンジョン入りは禁止(・・)されています」






「へっ?」


 思わず変な声が出てしまいましたねぇ、なんて落ち着いていられますか!?


 儂のささやかなライフプランに邪魔しようってんですか?怒っちゃいますよ?泣いちゃいますよ?何なら暴れて見せましょうか?今夜のポチとタマのご飯代も無いんですけど!?


 ・・・ふと気付けば儂の周りを屈強なお兄さん(探索者)たちが取り囲んでいましたねぇ。


 くっ!いつの間にか儂の計画は見破られていたようなんですねぇ・・・これは詰んでしまいましたかな?


「ジジイ・・・ポーターってのはよぅ・・・一番戦闘に不向きな職業なんだよなぁ。

 腕力最低、魔力も最低、敏捷性ほぼ無し、腕力がねぇから装備も真面(まとも)なのが出来ねぇってんで耐久性も絶望的とかでさ『一番あの世に近い一般人』って言われてんの、知らね?」


 今まで探索者と無関係な事務員生活を50年続けてきたんですから急にそんな事言われても理解できませんねぇ。えぇ、聞いた事が有りませんし、聞きたくもありません!


「でも国が宣伝してた『落穂拾い』とやらをやれば稼げるって言われてきたんですけどねぇ?」

「つまりはハローワークが実績を落としたくないからってこっちに押し付けてきたって事ですね(# ゜Д゜)」

「あかりちゃん!こりゃあはろおわあくに殴り込み掛けねぇと収まらねぇんじゃねぇっすか?」

「前科持ちのお年寄りには紹介できる仕事が無いからってなんでもかんでもこっちに振られても困ります(# ゜Д゜)!

 ウチにだってノルマだって評判だってあるんです(# ゜Д゜)!こっちは若くて満足に動ける人たちだって命を落とす可能性がある危険な仕事なんです(# ゜Д゜)!それを(うば)捨て山みたいに軽~く扱われて許せる訳無いじゃないですか(# ゜Д゜)!」


 まるで背中に般若のお面を浮かび上がらせちゃったみたいになってるじゃありませんか。

 いやぁ、美人が怒るとホントに手が付けられませんねぇ・・・周りを囲んでいた屈強なお兄さん方が思わず一歩下がっちゃいましたからねぇ。


 とはいえ、実のところ儂は冤罪なんですから前科持ち扱いにされて涙がちょちょぎれそうなんですけどねぇ・・・せっかく美人さんなんだからそこいら辺はオブラートに(くる)んで優しく言って欲しかったねぇ。




 結局その日は、ギルドを上げてハローワークを襲撃して土下座謝罪までをさせた後、誰もいなくなった隙にダンジョンに潜った儂がアカリちゃんからしこたま怒られるところまでがワンセットの騒々しい一日でした。


 なんだかんだとポチとタマの食事代と(ついでに儂の分まで)確保出来て尚且(なおか)つギルドの簡易宿泊所に一泊させて貰えたので宿代分だけはプラスになった事は不幸中の幸いでしたねぇ。


 えっ?食事代をどうやって捻り出したかですって?・・・まぁ稼ぐ手立てがあったとだけ今は言っておきましょうかねぇ。

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