第拾七話 じいさん、反乱を覚悟する
明日は分かりませんが今日は投稿出来ました
お暇つぶしにどうぞ
午後の訓練は大したトピックも無く平穏無事に終わってしまいましたねぇ。
くそバカ無能の追手でも来ようものなら、すぐさまポチとタマを引き連れての大立ち回りでもして見せるつもりでしたけどねぇ・・・拍子抜けといいましょうかアカリちゃんと侑花ちゃんにいい所を見せるチャンスを失ったと言いましょうか、何とも言えずもやもやが堪りませんねぇ。
その影響でしょうかねぇポチがずっと尻尾を股間に巻き込んでブルブル震えながら儂の方をチラチラ上目遣いにしてくるんですよねぇ。ホントの事を言うと儂よりあいつの方が強いんですけどねぇ。
当然、ポチと仲良くなったアカリちゃんと侑花ちゃんはオドオドしたポチの様子から異変に気付いたものの自分の事を優先して儂の事を放っておいて呉れましてねぇ、儂としては今後の方針の覚悟を決める時間を貰えたんですよねぇ。
一時間後。
「イチじいさん?ウチのバカ叔父が何か気に障る様な事を言いました?」
「え?なんでそんな事を言われるんでしょうかねぇ?儂はいたって普通ですがねぇ」
「ウソです。朝はずっと見てたのにお昼から侑花の胸もお尻も全然見てないもん。全然ニヤニヤしてないもん。ポチちゃんが泣きそうになっててかわいそうだもん」
そんな、君たちねぇ自分たちがレベルが上がってひと心地着いたからって言って急に質問攻めにする事は無いじゃありませんか、ねぇ。それから儂はアカリちゃんのおっぱいは何度かチラッと見た記憶がありますけど侑花ちゃんのはほとんど見て無いからねぇ?だって富士山と甲府盆地を比べたら山梨のヒトに失礼ってもんじゃないですかって事で察して欲しいんですけどねぇ。
えぐれてる、とは言わないまでもどどーんと聳え立つものの方に目は行くわけでね、儂の価値観からすると一緒の扱いするとか名誉毀損に値しますよ、えぇ。
「レベル100越えの件で何か動きがあったという事ですか?」
「祭藤さんに言われたとおりの事を言われただけですよ。
力を持つ者が国に奉仕するのは当然だ、みたいなねぇ。都合の悪い話には蓋をして人を犯罪者に仕立て上げているのに利用だけさせろ、とか人権侵害にも程があるってもんですよねぇ」
「協力したら罪を無かった事にするとか言われたの?」
「お嬢ちゃん、それならまだよかったのかも知れませんがねぇ。
一方的に働け、ですよ。ポチやタマどころか儂のすら真面に鑑定出来てもいない癖に儂に何をさせるって言うんですかねぇ」
「それじゃあ昼から手間取ったのって・・・ごめんなさい」
儂の言葉で勘のいいアカリちゃんは、自分の叔父が色々とやらかしてそのせいで出発が遅れた事に気が付いたようで御自身が侑花ちゃんの件で強制云々と発言した事やらといくつも積み重なった失言に思いを馳せてるみたいですねぇ。アカリちゃんに言われた事はさっさと水に流してますから気にしなくてもいいんですけどねぇ。
まぁこっちもくそバカ無能相手に売り言葉に買い言葉で色々言ってる訳ですんで、ここは大人しくしておいた方が得策だと解っているんですからここからはその先に触れないようにしていくのが大人の対応ってヤツですよねぇ。
「でもそれっておじいちゃんだけびんぼーくじ貰った事なのかな?」
だから大人のって、はぁ・・・ハタチ前のお嬢さんにそこまで望んでも解らないのかねぇ。それから貧乏籤ってのは貰うんじゃなくて引くものですねぇ。
「さぁどうでしょうねぇ。でもお嬢ちゃん最強化計画も今日で終わりかも知れませんねぇ」
「そんなところまで話が進んでいるって事なんですか?」
「せめてお嬢ちゃんに的中スキルが生えて普通のパーティーにも呼んで貰える位になっていればお嬢ちゃんのお爺さん、つまり探索者協会会長をも動かせるようになって意にも染まない踏破やら出張やらに付き合わされずに済むようになるんじゃないかなぁなんて淡い期待をしていましたけどねぇ」
全ては自分で蒔いた種ってヤツですねぇ。『短気は損気』なんて言葉もある事ですし否定するべき事もありませんからねぇ。
売られた喧嘩はその場で買う、そんな事ばかりやっていたらこうなる事も致し方ないでしてね。
「もしかしたら怒りっぽいの?」
「えぇ、とってもねぇ。そのせいでずっと冷や飯を喰わされてましてねぇ、その挙句に会社がやってた不正を見つけちまいましてそれを告発したら出した証拠をそっくりそのまま捏造されてこっちが御縄についたってだけの事ですよ。
どうせダンジョンの踏破に付き合わされたところで危ないだけで運び屋に何の恩恵があるってんですかねぇ。エベレストに登頂した連中の記録を見ても登るのに付き合ったシェルパなんて爪の垢程度にしか触れられていないでしょ?それと一緒の扱いを受けるって解っててその挙句にわずかに回ってくる報酬も弁済に回されてこっちはずっと素寒貧だって決まってるのにやる気が出る筈なんて無いですねぇ」
いかん、本音が出ちまいましたねぇ。こんな事は人前で垂れ流していいもんじゃありませんからねぇ。
どうも、このお嬢ちゃんの前では本音がダダ洩れになっちまいますねぇ、いかんいかん。
おや?急に懐に抱いたタマがシャーッと威嚇を始めましたねぇ。敵意を感じたんですねぇ。
その視線の先にはニヤツいた顔を一生懸命真顔に戻そうとしている四十男が立っていました。
確かコイツってここのダンジョンマスターじゃなかったっけ?
「おぉ、海長会長のお孫さんはこちらでしたか!祭藤主任も無理に付き合わせてすまなかったね。
それから・・・あぁ、探索者のイメージを随分と損なってくれている金に汚いコソ泥ポーターか。
お前には国からきちんと見張っている様にきついお達しが来ているんでね、嘘八百バラ撒いて自分を正当化してないだろうな。
どうせお前には明日から政府統括ダンジョン7壕に行ってもらう事が決まっている。高位探索者の義務ってヤツだ。精々お宝を拾い集めて来る事だな、そうすれば1パーセントだったか配当が回ってくるそうだから弁済も捗る事だろうよ」
「ちょっと待ってください。
所長、その言い方はあんまりなんじゃありませんか?鈴木さんは罪を犯したのかもしれませんが真面目に弁済をされています。このカッコを見てお気づきになりませんか?
装備に回すお金を惜しんで弁済をされているんですよ?
それに市原さんの教育カリキュラムも会長直々に許可を頂いたものです。今日だ明日だと勝手に予定を入れられてもこちらが立ちゆきません。
もし明日から統括7壕に潜るにしても今の装備で何階層まで行けるとお思いですか?
一緒に潜る仲間の名前さえ教えずに何の準備もさせない、これって都合の悪い相手を体よく抹殺しようとでも考えている方が後ろで糸を引いているとかありませんか?」
アカリちゃん、言い過ぎですねぇ。そんな事言ってると君まで巻き添えを喰っちまいますよ?




