第拾陸話 じいさん、喧嘩を売る
明日は分かりませんが今日は投稿出来ました
お暇つぶしにどうぞ
昼食も終わって麗らかな昼下がりに何が嬉しゅうて儂はこのおっさんの相手をしなきゃならないのかねぇ?
場所はギルド2階の応接室、真正面で腕組みしているのは無能な鑑定持ちこと祭藤一尉殿。
アカリちゃんと侑花ちゃんはと言うと昼からの特訓に向けて準備にと先に行ってしまったねぇ・・・そんなに儂のニヤケ面が気味悪いのかねぇ・・・トホホ(´;ω;`)。
「それで何の用でしょうかねぇ?(むさくるしいおっさんの相手なんざ真っ平御免だってんです)」
「そうつっけんどんにしなくてもいいじゃないか。私と鈴木サンの仲だよ?」
真面に自己判断も出来ない癖に何やら上から目線で物を言うおっさんだねぇ。そんなだから部下に嫌われて部隊を追い出される羽目になったんじゃないですかねぇ?
儂はまだ覚えてますからねぇ、侑花ちゃんを鑑定して本人に確認もしないで情報垂れ流した事。
守秘義務も守れないへっぽこ自衛官だってもう見抜いているんですからねぇ。
「用が無いなら儂も準備に掛からないと間に合いませんからねぇ。それじゃ「あ、いやいや時間は取らせないから話をしていこうじゃないか、鈴木サン!」
それが嫌だってハッキリ言わないと解らないのかねぇ、この土手南瓜は」
「・・・」
儂の明らかな拒否の姿勢に、無能は鼻白んで一瞬言葉を飲み込んでしまいましたねぇ。
やっぱりこの手合いはガツンと口に出さないと理解が出来ないんでしょうかねぇ。
「そこをなんとかお願いされて呉れんかね」
「なんとか・・・もういいかな?」
「いやいや、そんな冗談では無くだな「元々嫌々ここにいるんですからこの上なく冗談ではなく相手したくないんだがねぇ」
うっ、増々扱いづらくなってきてないか?
そこを曲げてだな、アンタのスキルとか従魔の能力とか教えて欲しいんだよ」
心底厚かましいおっさんの物言いに肚の底から溜息を吐きながら儂はおっさんを睨みつけましたねぇ。
「プライバシー保護の観点から個々の探索者のスキル構成を強制開示させるのは憲法違反だって判例が出てたと思うがねぇ」
「いや、強制では無くだな、あくまで任意での開示をだな」
「探索者個人の飯の種をぶちまけろとは何様ですかねぇ」
「いい年こいてそんなに尖がんなよ。飯のタネとは大きく出るじゃないか、たかがテイマーの分際で」
「そこまで舐められて言う気になるとは思わないで欲しいねぇ。
だってねぇ、侑花ちゃんのスキルを勝手にバラした程度のヤツに開示とかした日にはきっと1時間後には全世界の関係者が知る事になるんでしょうねぇ。
実際儂のレベルは世界中に漏洩しまくっているからねぇ。
ですからお断りですねぇ」
「これは国防の観点から国家としての命令だと言ってもかな?」
「だったら日本人を辞めてやるだけですねぇ。
都合のいいスキルだったらタダ同然で使い潰すつもりだって解ってて素直に話す筈が無いねぇ。『一昨日きやがれ』って言葉理解できますかねぇ?」
『一昨日きやがれ』で堪忍袋の緒が切れたのか真っ赤な顔して机を叩いて立ち上がるおっさん。
「人が下手に出てやれば調子に乗りやがって、ふざけるな!!!アンタはニッポンが諸外国からダンジョン政策に於いて一歩も二歩も立ち遅れているこの現実をどう思っているんだ!悔しく無いのか!力を貸そうとは思わないのか!
それどころかどこからか嗅ぎつけてアンタを無償で貸し出せとまで言われている政府を気の毒だと思わんのか!」
「持ってもいない愛国心に訴えられた所で臍が茶を沸かすってものですねぇ。ポーターのレベル100超えなんてめったにいないからなんかの役に立つだろうってのは取らぬ狸の何とやらって奴でしょうよ。
それよりこんな簡単に機密が外に漏れる国の状況を憂うのが先ですねぇ。まぁあんたみたいなのがゴロゴロしてれば他所は苦労もしないで情報を抜き放題でしょうけどねぇ。
あんたにもし教えたら儂を含めてみんなが絶対不幸になると信じていますからねぇ、絶対拒否ですねぇ」
「き、貴様ぁ!!!」
「すぐ激昂するところなんて相手からは付け入られるだけだと思いますけどねぇ。
そうだ、ここを動かないであげますから思う存分鑑定でもしたらどうですかねぇ。何か解るかも知れませんねぇ」
おっさんのスキルレベルじゃポチやタマはもちろんの事、儂のステータスでさえ絶対に死んでも読めないだろうとは分かってますからねぇ、お尻ぺんぺん、で御座る。
「よ~し、我がニッポンの威信にかけて私の鑑定で貴様を丸裸にしてくれる!そこを動くなぁ!!」
「動いたくらいで鑑定結果が変わるんだったらお前さんのスキルはゴミ同然じゃないかねぇ。
昼からの特訓が待っているんですからとっとと済ませてくれませんかねぇ」
「煩~い!!!ぺちゃくちゃ喋るなくそジジイ!気が散ると長引くだけだからな!急ぎたければ静かにしてろ!」
もしかすると、アカリちゃんといいこの無能な鑑定使いといい祭藤家の方々には煽り耐性というモノが存在しないという仮説がどこかの学会で承認して貰えそうな気がしますねぇ。どこの学会かって?ソー〇じゃないとは思いますけどどこかですよどこか。
大見得切って鑑定を始めた無能の人ですけど10分経っても20分経っても全然埒があきませんねぇ。
「イチじいさん、まだ来れませんか?ポチちゃんが待ち草臥れて寝ちゃったんですけど」
「祭藤さん、熱烈なファンが離してくれないんで先に行っちゃって貰えませんかねぇ」
「イチじいさんが来ないとポチちゃんもタマちゃんも動いてくれませんよ(# ゜Д゜)!」
「煩い!静かにしろとあれほど言っているのが判らないか!!」
アカリちゃんに怒鳴るとは言語道断、いい加減に怒ってあげませんと行けませんねぇ。
「ほほぅ、いつ静かにしろって言いましたかねぇ?それから散々下手に出たとか抜かしてましたねぇ、それってどの辺ですかねぇ。
寝言は寝て言えって言葉を知りませんかねぇ?この愚物は」
ガタッ!!!
ダンジョンの外とは言え、ここはダンジョンのすぐ側ですねぇ。
アカリちゃん程でなくても怒りのオーラぐらいなら迸らせる事ぐらい簡単なんですよ?
儂の態度の変化に鑑定のスキルを発動中だったボンクラはスキルで感覚が増幅されていたせいでしょうかねぇ、ガタガタと震え出すと仕舞いには白目を剝いて泡を吹き失神してしまいましたねぇ。
あら、やだ。失禁と脱糞付きですってよ、奥様。
架空の井戸端会議を脳内おばちゃんたちと繰り広げながら儂は立ち上がります。
「ちったぁアンタも鍛えた方がいいんじゃありませんかねぇ。
シビリアンコントロールを舐めてると痛い目に遭いますよ、元二佐殿」
相手に聞こえていようがいまいが関係なんてありません。儂は儂の好きなように生きるんです。
「祭藤さん、一尉閣下から漸く許しが出ましたから午後のオツトメを始めましょうかねぇ」




