第拾肆話 じいさん、青春がよみがえる
明日は分かりませんが今日は投稿出来ました
お暇つぶしにどうぞ
嫌な気分で入ったダンジョンですが美女と美少女に囲まれて悪い気がする筈が無いじゃありませんか、ねぇ。
ではでは、スライムに棒を突き立てて動けないようにしてから侑花ちゃんに狙って貰いましょうかねぇう。・・・んんん、これはスリルと達成感が半端ないじゃないですかねぇ?
スパン!!『キャァ!!』『大丈夫よ!』
リリースの瞬間にフワッと手元がぶれて儂目掛けて飛んで来る矢!思わず漏れる侑花ちゃんの悲鳴!侑花ちゃんの視界から儂を外そうと侑花ちゃんの弓を持つ手に手を添えるアカリちゃん!
ぽすん。むにょぉぉん。ふわぁぁぁぁぁ。へっへっうわぁふ。
そして儂に中って弾き返される矢。緩慢な動きながら儂から逃げようとするスライム。欠伸をするタマ。侑花ちゃんの声をじゃれつくチャンスと勘違いして尻尾を千切れんばかりに振るポチ。
なんかピリッとしますねぇ、もしかして侑花ちゃんの『キャッ!!』が、儂の涸れ果ててた筈のアドレナリンを分泌させて呉れてるんでしょうかねぇ。
言ってみれば回春効果とでも言いましょうかねぇ♡
『ヒィッ!!』なんか体のある部分がムクムクしてきましたねぇ、こうなってきたのは20年振りじゃないかねぇ?
『ヤァンッ!!』どっかとんでもない方に矢が飛んで行きましたけどもうこのまま中らなくてもいい様な気がしてきましたねぇ、とっても楽しいですねぇ。ポチ、出番ですよ。矢を取ってきてねぇ。
『ご、ごめんなさい!』なんのなんの、役得だから気にしなくてもいいからねぇ。美女に美少女を前にして眼福の極みってヤツですかねぇ♡
「ちょっと、イチじいさん。わざと矢に中りに行ってませんか?いつの間にかスライムの前にいるでしょう?」
「おや、スライムの奴め。もしや儂の陰に隠れて難を逃れようとかしてませんかねぇ」
桑原桑原、あまりに気持ちが良すぎて前に出過ぎてしまいましたねぇ。これはアカリちゃんに気付かれてしまったのかも知れませんねぇ。
だから何だって言うんですか、我が青春に悔い無し、ですねぇ。ジジイですけど。
「1時間で2本しかまだ中っていないんですよ?このままじゃ身体レベルが2になる前に日付が変わってしまいます」
「え?そんなに中っていませんでしたかねぇ?儂としては、ツボに丁度いい刺激を貰えてたんですがねぇ」
「すいません・・・」
「お嬢ちゃんは気に病む事じゃありませんねぇ。的中スキルの偉大さに気付いていなかった儂らの作戦ミスですねぇ。
ねぇそうでしょ、祭藤さん」
ど新人の侑花ちゃんに気まずい思いさせてはいけませんからねぇ。ここは儂らで泥を被りませんとねぇ。
おや、アカリちゃんは不服ですかねぇ?
「私の作ったスケジュールに問題があったとでも言いたいんですか?」
「いえいえそんな事は。ただ完全な初心者に弓の握り方も何も教えずにダンジョンに来るのは違うんじゃないかと「私の判断が間違っていると言いたい訳ですね(# ゜Д゜)!」
考えても見てくださいよ、誰だって全てが自分の思い通りに成る筈が無いじゃありませんかねぇ。
お嬢ちゃんにしたって希望してたのと違うのが発現しちゃって戸惑っているんですよねぇ。そしてそれを健気に真正面から受け止めて昇華させようとするのを優しくサポートするってのが儂らの本来の勤めじゃないんですかねぇ?
祭藤さんにもいろいろと考えて構築したプランが色々御有りだったんでしょうけど、ここは当の本人とちゃんと擦り合わせをしておかないとボタンの掛け違いからお互いの不信みたいな事に発展して失敗するなんて事になりかねないじゃないのかねぇ。
ほれ、祭藤さんたら顰め面はしない。眉間の皺は極上の美人を台無しにしちゃいますからねぇ、スマイルスマイル」
慌てて眉間の皺を指で伸ばそうと額に手をやっているのを見てると、アカリちゃんも苦労が絶えないんだろうなぁって同情しちゃいますねぇ。
「お嬢ちゃん。いっそ、ここで撃ってみますかねぇ?」
「こんな近くでですか?」
侑花ちゃんに提案したのは儂のトコから1歩半の位置、弓の特性を持つ身だったら普通に烈火のごとく怒り出す事必定の超近距離でしてねぇ。
「アーチャーと言うのは、まず遠くに矢を飛ばせるように鍛えるべし。と教則本にも書かれています(# ゜Д゜)!
それをこんな距離でやっても何の足しのもなりません(# ゜Д゜)!」
「そうは言っても先立つモノが無いと話にはならないんじゃありませんかねぇ?つまり先ずは、レベルを上げる事からじゃないですかねぇ。
レベルってのはモンスターを倒す過程で与えたダメージに相応して与えられる経験値によってのみ引き上げる事が出来る。そうものの本に書いてあるようだがねぇ」
但し生産系や回復系は除いてですけどねぇ。
「それは近接職に限ると聞いていますけど?」
「魔法使いが魔法で遠くのゴブリンを沢山燃やしていたらレベルは上がっていきませんかねぇ」
「・・・」
儂に言い負けてアカリちゃんが真っ赤な顔をして睨み付けてきますねぇ。別に争いたい訳じゃ無いんですけどねぇ・・・
アカリちゃんって結構煽り耐性が無いと言うか頭に血が上りやすいと言うか・・・分かり易くて可愛らしい性格をしてますねぇ♡
そこがまたそそられてしまうんですけどねぇ。その眼付きが儂の中のナニかに火を付けるぅぅぅ!
「抑々論で申し訳ないんですがねぇ、その教則本とやらはホントに役に立つんですかねぇ?」
「これは基本と言うか基礎の構築の為のものですから十分信ずるに値する筈です!」
「これまで大成したものがほぼいなかった筈のアーチャーにでもですかねぇ」
儂の言葉にアカリちゃんの動きが止まり、忙しなく目を瞬かせていますねぇ。
「何を・・・言いたいんですか?」
「これまで育成に真面に成功していないんならその教育の常識ってのは、実は疑ってかかんなきゃダメじゃないですかねぇ?
素の筋力を一生懸命に鍛えるより少しでも多くのモンスターの経験値を吸収させた方が短期的には成長できるんじゃないかってね、まぁ素人の浅知恵ってヤツですよ、ええ」
儂の反論にアカリちゃんは信じられないものを見つけてしまったとばかりに口に手を当て、後退りまでしてくれてますねぇ。
いいですか?どんだけかかっても今までアーチャーの一人も真面に育成してこなかった現在のカリキュラム用の教則本なんて糞喰らえですよ。
「お嬢ちゃんは今までアーチャーとしても教育を受けてこなかったといえばその通りでしょうねぇ。
だから基礎中の基礎ってものが無いんですよねぇ。
だからそこにある程度の経験者向けの教育をしたところで1時間で2本しか中らないなんて言う結果になっているんじゃないのかねぇ?
だったら先ず的に中てて経験値を稼がせてあげてレベルを少し上げてやってからにすればと思っただけですがねぇ」
えぇ、くしくもアホウが適当に言った事と同じ事をを提案するのは業腹ではありますけどねぇ、これでもただあてずっぽうで適当ぶっこいてる訳じゃ無いんですよねぇ。あぁ、至近距離での侑花ちゃんのいい匂いが儂の死にかかった鼻を甦らせてくれてますねぇ。
「ッ!言ってる事は頷けそうなんですけどねぇ・・・ただ、ねぇ」
そういってアカリちゃんが差し出した手鏡をふと見ると、そこにはいかにも好色そうな老人がニヤニヤ笑いながら鼻の下を伸ばしているのが映っていました。
って、これ儂の顔じゃないかねぇ?
「こんな顔したイチじいさんに言われても素直に聞ける筈が無いじゃありませんか」
儂、一生の不覚!
あわよくば、侑花ちゃんの手でも握ってとかそんな邪な感情が過ぎったのがそのまま顔に出ていましたねぇ!
いえすろりぃたのぉたっち!
でも顔に出てるからアウツ!




