第拾話 じいさん、助太刀を申し出る
明日は分かりませんが今日は投稿出来ました
お暇つぶしにどうぞ
言い逃れと下心に満ちたアホウのプレゼンと慈愛に満ちた儂の説得と世間はどっちを取るんでしょうかねぇ?
当然、儂の意見を取るに違いないじゃありませんか、ねぇ。アカリちゃんもそう思うよねぇ?
「花田くん!海長会長のお身内に対してそう何度も禁じ手禁じ手と連呼しなくてもいいじゃないですか。こっちはどうにか無かった事にしようとしてるのにこれじゃあ水の泡じゃないですか(# ゜Д゜)!
現実問題としてギルドの規定で禁じられているのにはそれなりの理由が有るとか思わないんですか?
色々言ってどうにか自分の事を誤魔化そうとか思ってもそうは問屋が卸さないんですからね(# ゜Д゜)!
どういう伝手でどうやって不正にジョブを得て育てたのかは、後でちゃんと追求しますから覚悟しておいてください(# ゜Д゜)!
でも、ここは侑花ちゃんの方を優先しないとね。このまま侑花ちゃんをアーチャーとして世に出すと色々問題が出るでしょうからやっぱりアノ手を使うしかないでしょうね。
花田くん、貴方は侑花ちゃんにちゃんとジョブが出来るのをサポートしてください。但し、私の監視下で探索すること!
裏切ったら二度と太陽が拝めないようなところに押し込みますからね!」
美人が怒るのにも見惚れてしまうのは儂だけだろうかねぇ?あの凄味と色気!あぁ、儂も踏みつけて頂きたいねぇ!
「祭藤さんよぅ!確かに今はあんたは一応は上司だろうがな、俺には無能な年下に偉そうにされる謂れはないんだぞ!俺は真っ当にやってソルジャーレベル3になってんだ!
それにソードマン系統は死ななきゃ誰がどうやっても勝手に上がっていくんだからほっといておいてもレベルは簡単に上がっていくだろうが!」
その死なないように探索するのが普通は大変なんじゃないのかねぇ?それにアンタの場合は『簡単に』レベルが上がるのにまだレベル3だって事に問題があるんじゃないのかねぇ。
ただね、安全を取れば上達が遅れるしレベル上げる事を優先すれば危険が高まるってものでしょうがねぇ。アホウだけじゃ危険度が高すぎると思いますけどねぇ。コイツ自身が真面な鍛え方をしているとは思えませんからねぇ。
ポチとタマに頼り切っている儂に偉そうな事を言える義理は無いんですけどねぇ。
「あ、あのう・・・侑花は運命を受け入れようと思うの。
だっておじいちゃんはポーターだったしママは元々マイナーだったんだもの。みんな戦闘じゃあんまり役に立たないジョブだったんだから侑花がアーチャーだったのはきっと一族の宿命だったんだと思うの。
それにおじいちゃんはポーターから運び手になった後ソードマンになったんだし、ママはマイナーから転向した解錠士から暗殺者になって引退したけど今でも健康の為にって採掘やっているもん。替えるにしても続けるにしても何もやりもしないでってのは違うと思うの」
侑花ちゃん?さっきまでこの世の終わりみたいな顔していなかったかねぇ?まるで迷いなんて最初からなかったみたいな顔になっているねぇ、吹っ切れましたかねぇ。
それにしても今時のお嬢ちゃんはどれだけ気紛れなんだろうかねぇ?でも本人のヤル気もありますからねぇ、ここは一つ儂が一肌脱いで差し上げましょうかねぇ?
「・・・イチじいさん、やる気でいらっしゃるのはよろしいのですが若者に揉まれると体に差し障りがあるんじゃありませんか?
無理はなさらないでも花田くんが付いていますからご心配は御無用ですよ?」
「祭藤さん、ダンジョンの外ならともかくこの中では儂は腕力65防御力33瞬発力32なんですよ?
ましてやお嬢ちゃんは的中スキルも無いままアーチャーになってしもうた、ですよねぇ?
至近距離から狙うにしても動かないように押さえた的しか狙えないんじゃないでしょうかねぇ。
そうなると儂の防御力があればお嬢ちゃんがたとえ外して押さえ役に中てたとしても儂なら無傷ですよ、ねぇ?
そやつなら下手に抑え役に回ったら『ふれんどりぃふぁいやあ』で串刺しになってしまう事でしょうねぇ。防御力たった6とか平均以下なんですもんねぇ。紙装甲って奴でしょうかねぇ?
儂の方が丈夫で長持ち、だと思いませんかねぇ?」
儂も置いてきぼりは嫌なのでそりゃあもう必死ですからねぇ。この際、歳の事は忘れてしまいましょうかねぇ。
「フン、年寄りの冷や水って言葉を知らねぇのか?まぁ、知ってたらこんな山奥までのろのろ来ねぇんだろうがね!俺は色ボケジジイにコケにされるほど柔じゃねぇんだぞ!
そこまで馬鹿にされるんだったらアーチャーが物になるまで付き合ってやるさ!
当然給料は出るんだろうな?」
「素の防御力が3でブーストかかっても6・・・花田くん、素直に尋問受けてた方が身の為だと思うけど?
最悪、死ぬわよ?それにもし侑花ちゃんに協力したとしても懲罰奉仕に給料が発生する訳無いじゃない」
ざまぁないねぇ。有耶無耶にしようと申し出た協力が既に懲罰奉仕扱いになってるとか・・・アカリちゃん、ぐっじょぶですねぇ。
「私の鑑定にも引っ掛からない程高レベルだと思っていたが鈴木サンの実力はそんなだったとは・・・今からでも自衛隊に入隊しないか?」
「安月給で扱き使われるうえにポチやタマを実験材料ぐらいにしか考え無さそうなトコに尻尾振っていくほど儂も若くはないんでねぇ。
タマに食い殺されたくなければ迂闊な事を口にしない方がいいんじゃないですかねぇ?」
儂の期待に応えてタマが下に降りると本来の大きさになって殺気を撒き散らしますねぇ。
大きめのシャム猫が筋骨隆々の黒豹へと姿を変え、その闘気で体感温度はいきなり10度程下がり、獲物を見つめる眼には妖しい光が揺らめき、半径500メートル程の範囲にいた気配が脱兎のごとく消え去って行きましたねぇ。
いきなり黒豹に威嚇されたら大抵の人は戦意を喪失するとか逃げるとかなりませんかねぇ?
案の定、祭藤一尉は白目を剝いて泡を吹きながらひっくり返り、アホウは腰が抜けてへたり込み失禁しながらブルブル震えていますねぇ。・・・こいつら、探索に来てもいいレベルじゃないんじゃないでしょうかねぇ。
それに引き替え、アカリちゃんは両足を踏ん張って唇を噛み締めながらタクトのような短い棒を構え臨戦態勢になってますし、侑花ちゃんはポニーの大きさのポチの身体を弄るように撫で回しながらタマをウットリとした目で見つめていますねぇ。悲壮感溢れる美女もそそられて堪りませんねぇ。眼福眼福。
男だ女だという前に向き不向きが出たと言いましょうかねぇ。
儂としては見目麗しい美女の方が目の保養になって嬉しいだけですがねぇ。
「タマや、それくらいにしておやり。
アホウと間抜けにはいい薬になった事でしょうねぇ。『虎の尾は踏むな』ってね。
祭藤さんや、取りあえずギルドに一度戻りましょうかねぇ。お嬢ちゃん育成の為のプロジェクトチームを立ち上げなければならないんじゃないですかねぇ?
ここでのびてる二人は当てにならないでしょうからねぇ」
「イチじいさんは見た目と違って強引なんですね( ´艸`)。
確かにこのまま放置してスライムのエサにするには二人とも対外的な立場ってものがありますし回収していただければ幸いですけど?」
苦笑いしながらアカリちゃんが提案してきましたので儂も協力する事にしましょうねぇ。
指図をしようと振り向くと、ポチがあうあうと鳴きながらホントにポニーみたいに侑花ちゃんを背に乗せパワハラおやじの襟首を咥えて引きずり出しましたねぇ。
この方向音痴め、お前が進んでいる方向には2階層の入り口しかないだろうが。
そんなポチに恨めしげに一声吠えるとタマが嫌そうに失禁で出来た水溜りを避けながらアホウの右腕の袖口を咥え引きずり出しましたねぇ。
あの様子だと脱糞もしてそうですから鼻のいいあの子らには地獄なのかも知れませんが、やり過ぎたのはお前さんですからねぇ。
「エルダーテイマーって凄いんですね。命令する前に自主的に動き出すなんてゴブリンたちじゃ見た事無い動きですわ」
「まぁあの二匹がいればお嬢ちゃんも滅多な事にはならないと思いますねぇ。ただ、儂が側に居ないと二匹とも勝手な事しかしませんけどねぇ」
うむ!さり気ないアピール、成功!ですよねぇ?
「ここであったのも他生の縁と言いますかねぇ。
どうでしょう、お嬢ちゃんの世話は儂も見てあげたいんですがねぇ?」
「・・・意外と押してきますね、イチじいさん。
私の一存だけでは決まらないと思いますけど前向きに検討を、という事でお納めいただけますか?」
これ以上の返事はまずないでしょうねぇ。
儂はにこやかに頷いてアカリちゃんと肩を並べてギルドへと戻るのでした。
ヤスウラさん、羨ましかろ?
次回は閑話になります
閑話では本編では真ん中に来ない人物を中心に据えて書いて行けたらって思っています
ではまた次回もよろしく




