表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/12

第五話 『異世界赤子伝説:支援職ベビィ、ついに立つ!』

 ──新たな朝。

 ついに生後六ヶ月。  ワシの赤子生活も折り返し地点に突入し、ついに新たなる試練が訪れた。

「……立つ、じゃと?」

 目の前に広がるのは、家族の微笑みと、両手を広げて誘う母上の姿。  どうやら今月の成長課題は“つかまり立ち”らしい。

「ホッホッホ……これぞ、肉体強化の次なる段階。  支援役たる者、まずは己が確かな足場を持たねばならん。  そのためにも、まずはこの足を鍛えねばならぬのじゃ!」

 ワシはゆっくりと、布団の上で膝を突き、慎重に動く。

 * * *

 しかし、甘くはなかった。

 これまで培った寝返りやハイハイの技術は、すべて“地を這う動作”の範疇に過ぎぬ。  立つということは、己の全体重を足へ預けるということ。  バランス、支え、そして継続力が必要になる。

「……ふむ。これは、まるで“基礎体力鍛錬”そのものよな」

 ワシの心には、かつての冒険譚で描いた厳しい訓練がよみがえる。  剣士がまず取り組むのは、剣の振り方ではなく“体幹”。  魔法使いが最初に習得すべきは、術式ではなく“精神集中”。

 そして──支援職に必要なのは、確実にその場に立ち続ける力なのじゃ。

 * * *

 数週間の試行錯誤の末──ワシはついに、支えを使ったつかまり立ちに成功した。

 最初は祖母上の手を借り、その次はベッドの端を頼りに、  そして最終的には自らの意思で膝を伸ばし、床の上に立つことができた。

「ホッホッホ……見よ、この偉業!  ワシの赤子強化計画、また一歩進化したぞ!」

 母上は大喜びし、父上は感動し、祖母上は涙ぐみ、  ワシはただひたすらにガッツポーズを決める。

 しかし──これは始まりにすぎぬ。

「立てるだけではまだ足りぬ。  ワシの目標は、“自由に支援できる赤子”。  次なる課題は……歩行じゃ!」

 * * *

 ある夜。

 ワシのステータス画面に、新たな称号が刻まれた。

【称号獲得:影の歩みを知る者】

 効果:体幹安定+5%、支援行動時の魔力効率+3%

「ふむ……これぞまさしく、支援職にふさわしき能力よのう」

 ワシの冒険はまだ序章。  この足が、やがて仲間を導く力となる日は──遠くない。

 ──異世界赤子伝説、ついに立ち上がり、次なる挑戦へ進む。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ