表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/12

第四話「ブブブはバフの兆し!? 話せぬならば音で支援じゃ!」

 ──新たな朝。


 赤子としての五ヶ月を過ぎ、今やワシの“支援力”は身体の成長だけでなく、声の表現力へと進化を遂げつつあった。


「うむ……言葉はまだでないが、我が声なき声で支援せねばならんのう」


 これまでの泣き声制御はあくまで“鳴かぬ赤子”であったが、今度は逆に、


 “意図的に発声し、家族を動かす”ことを試みる段階に入ったのだ。


 * * *


 日中。


 ワシは布団の上で小さく唸る。


「ぶぶぶ……ぶぅ!」


 奇妙な音が連続して出るが、これこそが“赤子語”という新たなスキルの芽生え。


 この“ブブブ”音には意味がある──実は母上の“抱っこ”を誘う合図であった。


 母上はそれに気づき、すぐさまワシを優しく抱き上げた。


「ほっほう……これは……コミュニケーションの第一歩よな」


 そう、まだ言葉は出ぬが、音で意思疎通を図るのだ。


 これが通じる喜びは、戦場で仲間とジェスチャーや合図を交わす感覚に似ている。


 * * *


 しかし、それは簡単ではない。


 “ブブブ”だけでは足りぬ、他にも様々な音を使い分けねばならぬ。


 たとえば──


 ・「アーッ!」は空腹のサイン

 ・「グルル」は眠気の合図

 ・「ブフッ」は興奮や嬉しさの表現


 これらを混ぜながら母上や祖母上を“支援”していくのだ。


 もっとも、母上はまだ怪訝そうにしながらも、


「おお、何か言いたいのね?」


 と根気強く話しかけてくれる。


 まさにこれが、支援者と支援される者の信頼の礎となるのだ。


 * * *


 夜。


 赤子は再び“忍び寄る影”のように動き始める。


 寝返り、ハイハイ、そして音の駆使。


 ワシは家族の動きを見極め、適切な音を出し、的確な支援を試みる。


 この頃になると、母上はすっかりワシの“音のパターン”を理解し始めており、


「ブブブは“抱っこ”、アーッは“お腹すいた”ね!」


 と、コミュニケーションが少しずつ成立し始めている。


 これこそが“言葉以前の絆”であり、支援職に必要な“意思疎通の基礎”じゃ。


 * * *


 ──そんなある夜。


 ワシのステータスに、新たな称号が浮かんだ。


 【称号獲得:音声支援の開拓者】


 効果:コミュニケーション効果+5%、初期魔力制御+3%


「ふははは! 言葉なき音で支援するとは、支援職の真髄よのう!」


 これからは、言葉を待つだけではない。


 赤子という制限を逆手に取り、音を駆使して“戦況(家庭情勢)を支える”のじゃ。


 ──異世界赤子伝説、音の支援による新たな章が、今始まった!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ