16:戦闘中継
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
このエピソードからはSeason3ー余燼が燻る編ーのスタートです。
実はシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズンが終わった後に公表したいと思います。(文芸:ヒューマンドラマにて)
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
エッセイもその他カテゴリーのエッセイにて投稿中です!
倒れているマチルダ機を守るようにして、ジュリアが「こいつは私が殺るわ! みんなはガルシア達を援護して!」と号令し、他のEBS5体はアラブ連合への攻撃に回って行った。
さて、残るはミカエルとジュリアの1体1のリーダー対戦である。ジュリアがミカエルの周りをゆっくりと回っている。そしてその動きに合わせてミカエルも向きを変えている。ジュリアは現在先ほどの続きの体勢で二刀流である。それに対するミカエルはロングソードを右手に構え左は実弾のマシンガンだ。まず、コテ調べにミカエルが実弾マシンガンをジュリア目掛けて撃ってきた。彼女は左腕に装着してある対実弾仕様のシールドで器用に使いそれを防いだ。
「カンカンカンカン!」
やはり実弾はジュリア機には効かないと判断したミカエルはそれを捨てて、何故かロングソードを左手に持ち替えたのだった。ジュリアはその瞬間『破壊力がある腰のアックスを投げつけるのか!』と予測イメージが沸き、シールドも持たず右手が空いた状態のミカエルに向けて瞬時に左手のロングソードを下手で思いっきり投げつけたのだった。彼はあまりにも素早かったので左手のソードでそれを防ごうとしたのだが間に合わずに右肩の付け根に突き刺さった。一瞬の出来事であった。
その瞬間好機が訪れたジュリアは右手のロングソードで上から切り掛かった。ミカエルは左手のロングソードでそれを受けたのだが、再度ジュリアはそれを内側から切り返し、彼がソードでそれを防いだ瞬間に彼のソードを彼女の剣のツバに引っ掛けたまま大股で前方に踏み込みミカエル機の首目掛けて切り込んだ。するとその一瞬で彼の首が空中に飛んだのだった。
ミカエル機は視界を失ってしまい、敗れかぶれになり左手に残っている剣を勘でジュリア方向に投げつけた。
もちろんジュリアはそれを剣で防いだ。彼は視界がない中で焦りこのままだとヤられて爆発すると思ったのだろう。首がない状態で後ろを向き後方に必死で走っていき背を向けて膝をついた状態になった。ジュリアが一体やつは何をやるんだろう?と不思議に思っている間にBS胸部が開き彼が飛び降りたのだった。
『あやつ!逃げる気か?』と彼の行動をやっと理解した。彼はバトルアーマーに飛行ユニットを装備しているのである。ジュリア機からは距離が100mは離れたであろうか? 今まさにミカエルは飛び立つ瞬間であった。100mの距離では剣を投げても当たる確率が低い。ではどうする?と一瞬悩んだのだが、左肩に装備されているレーザー砲を瞬時に稼働し飛行中のミカエルに照準を合わせた。ジュリアのゴーグルに映るロックオン画面を確実に確認した後発射したのだった。
レーザー砲はミカエルに見事命中し、そのショックで飛行ユニットがやられ彼は落下していった。彼は落下のショックで地上でそのまま動けない状態となっていた。そこにジュリア機が駆けつけたのだが、なんとミカエルを足で踏み躙ったのだった。マスター・ミカエルは無様にも潰されて絶命し5秒後に爆発した。これで全てのメイルアンドロイドを撃破したのだった。
ジュリアが対岸に目をやると、ほとんどのアラブ連合BSは破壊されており、レーザーキャノンタンク、ガンバギー、そしてガンドローンの残骸が噴煙の中に転がっている光景であった。味方も損害があるようであるが、『アンドロイド達がやられてしまったため、これに勝ち目はない』と判断したようで、あのエブラヒム将軍が撤退命令を出していたのだ。その先には、残っているアラブ連合の兵器は兵士と共に一度来たドナウ平原を一目散に逃げていく光景が広がっている。こちらの軍勢も途中までは追っていたものの、敵にはこれ以上我々に敵対する意思が無くなったと判断し、威嚇射撃をして見送っていたのだ。
味方の部隊には約2割の負傷兵や死人が出てしまったのだが敵の被害は甚大であった。逃げ帰ったわずかな残党は100名が占拠しているイスタンブールに戻り一旦立て篭もるのであろうが、そこまで追っていく意味はないと判断したのだった。さらに死傷者が出るのは忍びないからである。あくまでも領土が侵攻されたこの戦いにのみ戦闘の意味があったのだ。
その頃、勝ち戦となったスロバキア軍を率いるヴラディミル第一王子とマルク第二王子は肩の荷がおり、圧勝の感激のあまり抱き合いながら涙を流していた。今回の戦闘では平地のためソフィアが大活躍だった。
ジュリアは?というと、マチルダ機に駆け寄り胸部のハッチを必死にこじ開けてマチルダJr.を救出していた。どうやらマチルダは意識はあるのだが脚部を潰されてしまったようだ。丁度納入の後に戦禍を避けるためスロバキア国内で待機していた日本のスーパーソニックジェットカーゴを呼び寄せ、マチルダJr.を乗せて一旦湯沢に搬送することになった。
ソフィアと話した結果、未来からアンドロイドのデータも持ってきているため田辺女史であれば時間はかかるかもしれないがどうにか修復可能ではないか?という見解になったのだ。いくらアンドロイドだということがわかっていても、ジュリアにとってマチルダJr.は仲間であり戦友である。2人は別れ際にお互い涙を流していた。
「マチルダ、絶対に元気になってね!」と言い再会を約束したのだった。
これでアンドロイド及びアラブ連合からの侵略を撃退したスロバキア軍の名声は鰻登りに上り、王子含めて王家の評判が頂点に達していた。実質は敵を撃退しただけとなるため領土を得たわけでもなく相手から得たものはないのではあるが、『そんな最強な軍隊が守る安全な国』というイメージ効果が強くなり、ここ公国へはトルコ付近の混沌としたエリアからの前向きな善良な人々の移民が増えたり、また商人の行き来が爆破的に増加しマーケットが潤うようになってきたのだった。
例のこちらに逃亡し情報をもたらしてくれたイマンは、あれからマルクと会いめでたくスロバキア国民となることになった。そして、彼女の手引きでアラブ連合に付いて来ていた冒険者達から希望を募り義勇兵も誕生したのだ。それは、冒険者として継続はするものの、ルーマニア公国内に住処をもらい、その傍ら農業や商業にも従事できるというディールであった。今回のように敵の襲撃があった場合は軍隊とともに立ち上がる役割ともなるのだ。これにより公国の防御が以前よりも厚くなることになり、また手付かずであった広大な土地も有効活用されるようになったのだった。
ソフィアの久々の活躍、カッコ良かった〜!!
もっと活躍させたいな〜