9:ラップアラウンド・スーツ
この物語は双子姉妹(Blanc Twins)の冒険談を『夢とは?』いうテーマで描いたパラレルワールドでの物語です。彼女達にぼんやりと見える『夢』を無意識に追いかけて行くとそこに『幸せ』が見つかるのか?を綴っていきたいと思います。
実はこのシーズン1の前にプロローグ的な『成り行き』の詳しいお話があるのですが・・・それはこのシーズン1が終わった後に公表したいと思います。
そしてこの双子は稀に見るとびっきりの美人姉妹なのです!まるで光と陰。ロボットや兵器類も言葉では7割しか描けませんがカッコいいはずです。荒廃したパラレルワールドでの彼女たちの活躍とクールな兵器類をイメージしながら、世界地図を片手に読んでいただけると楽しめると思います。これって現実なの?それともSF?と言う狭間で大人も楽しめるギリギリのラインでどんどん進めていこうと思います。
そして、またスーパーソニックジェットが草原の真ん中に着陸した。
やっと開発が進んでいたジュリア御所望の新型パワードスーツの試作機ができたのである。
湯沢からはその試作機6体分と一緒に開発部の田辺部長も到着した。
試作機はそもそも6名のメンバーのスペックに合うよう設計されている。
だが実際のフィールドでの検証と微調整も必要なため田辺部長も一緒に送られて来たのだ。
田辺部長は技術畑で活躍してきた話しが分かる年配の女性だ。その分野では珍しく人との会話が大好きな御仁である。その為その特性を評価されて今回のプロジェクトの技術部門のリーダーに抜擢されたのであった。
見た目はいつもブラックな服を纏い髪型は7/3のカットボブ、黒縁の眼鏡をかけ、見た目は狐か狸か?と言われたら小柄で細身の狐のような風貌である。
「皆さんお揃いね!初めまして開発部の田辺です。皆さんとお会いするのを心待ちにしていました。
今日お持ちしたのは、戦場で皆さんのパワーを2 倍にできるパワードスーツです。見た目まるで着ぐるみみたいでしょ? だから私はこの新たなパワードスーツを『ラップアラウンドスーツ通称WAS』と命名しました。まずは一人一人の着用具合とパフォーマンスを確認したいので着用してみて下さい。」
と言って連れてきた若手助手の女性2名と一緒に準備を始めた。
このラップアラウンドスーツ(WAS)は、人間の2倍ぐらいの大きさのロボットの着ぐるみと言えばわかりやすいかと思う。人間がこの中に入って人間自身が動かすロボット風?なのである。背中にはジャンプ時の補助となるサブジェットロケットと左肩に装着されたレーザー砲のエネルギー源となるタンクが装備されている。またこの背面タンクにはロボットサイズのガンやソードなどの武器類を装備できるデバイスがついている。その面には指紋認証で稼働するセンサーがあり、バトルスーツの中に入るには段階的に開く仕組みである。まずは、タンク部分が下方向に下り昇降時のステップ代わりともなる。腰の部分より上は腹部のジョイント部をテコにして前方向に折れ曲がる構造になっていた。
まずは発案者のジュリアからのフィッティングだ。
全員通常の人間サイズのボディーアーマーを着用した。
そのまま足をバトルスーツの脚部に入れると、このスーツの膝関節あたりにフット面を支える面がある。分かりやすくいうと、このスーツの膝下部分は長い竹馬を履いた状態となるのだ。歩行時にはボディーバランスを保つバランサーも付いている。
そしてスーツ内側にあるフィッティングボタンを押すと、前方に倒れていた上半身部分に腕を通しながらその部分が立ち上がってくるのでユーザーはそのまま待っていれば、左右のボディー側面部分が身体を覆うように体に沿って自動的に立ち上がりクローズされるのである。この状態で着用が完了となる。手は動作をそのままスーツのハンド部分に伝える新開発のスーパーナノパワージェルが覆っている状態となり、また全身もそのスーパーナノパワージェルが覆っている。ものすごく簡単にこの動力システムを解説すると着用者が力を入れたり動きを加えると、そのジェルを媒介としてパワーを倍増しながら外側の外装シェル部分を動かす仕組みなのである。つまり基本的には作動のエネルギー源は必要とせず全て着用者の体力により動くことになる。外側の装甲面は切断が難しい特殊超合金でてきており、尚且つレーザーもディフューズする無敵な装甲となっている。また外側のデザインワークはヨーロッパ中世のプレートアーマーを彷彿とするデザインなのだ。この外側のロボット的な構造のシェルはもちろん特殊超合金で造られているのだが、その上をカバーする鎧のような分厚いパーツもさらに装備されているため、首周り・肩・小手・胴・腰回り・脛・ハンドとフットがその部分に当たる。最後に着用するメルメット部分は中央にスリットが開いており、まさに中世ナイトの兜のようなデザインで、その透明なスリット部から外部を見通せる簡単な構造になっている。
ジュリアの装着が完了した。
彼女はまず歩いてみたり、飛び跳ねてみたり、走ってみたりと様々な基本動作をして確認作業に入った。その間他のメンバーも着用に入った。
次は、このバトルスーツの大きさに合わせて各メンバー用に武器装備も開発されたので、早速ジュリアはロングソードを手に持ち振り回し始めた。強度としてはこのバトルスーツの金属部分と同じ素材になる。少しジュリアの俊敏さを失うスピードとはなるが、動きが大きくとれるため、対大型戦闘兵器に関しては破壊力は3倍以上に及ぶイメージであった。また歩行に関しても半ばバウンシングしながらの動きになるため1歩の歩幅は3mにはなり、移動速度もかなり増している。どうやら言い出しっぺのジュリアはこの新型バトルスーツがとても気に入ったようだ。
他のメンバーも着用し、フィッティングには問題がなく動作確認に入り、各自自分スタイルの武器を装備して格闘シミュレーションを始めた。
武器類としては、長槍・ロングソード・アックス・タガーの武器を大型化させたものと、また強化された前衛用パワードブラスターマシンガンと後方支援用レーザースナイパーライフルも用意された。
今回はこのガン類の調整も重要となっている。
重戦士3名が刀剣での組み試合的に盛り上がっている中、
ガンを多用するソフィア、サーシャ、イメルダが射撃シミュレーションに参加した。
まずは場所を国防軍訓練用のバトルフィールドに移動し、すり鉢状になった場所から発射されるクレーを射撃するテストから始めるため、パワードブラスターマシンガンを多用する前衛のソフィアとサーシャのテストとなる。ロボットサイズのためネーミング通り通常のブラスターガンより強化されているのだ。そしてそれが連射できるマシンガン構造になっており右脇に抱えて連射するソフィアお気に入りのスタイルになる。
素晴らしい!百発百中だ!!
右腕に構えることによりヘルメット部分の内側に内蔵されている射撃シミュレーターと連動し、ボディーアーマーのゴーグル部分にそれが映し出される仕組みなのだ。
機材はかなり重くなるが大型に組めるためエレルギー源も大きく取れることになる。
よってレーザー兵器なみの破壊力が期待できるのだ。
ソフィアとサーシャの感想だ。
「これ素晴らしいわ! これだったら武器はこれ一つで足りるかも!?」というのが共通のコメントであった。
お次は、レーザースナイパーライフルを担当するイメルダの番だ。
これもかなり長めのライフルとなり、右肩に銃座をあて右手でコントロールする仕様であり、
ブラスターマシンガンと同様にイメルダのゴーグルにシミュレーションが映し出される。
最長射程距離は、なんと5km そして3kmの射程圏内なら命中率99%である。
テスト的に、この場所から狙える3km先の山間に向けて発射してみることになった。
まずは戦艦クラスの重量級レーザー砲のため本体に連結するトライポットを使用し移動重量を軽減する。
そして、その固定ポイントを軸にして右腕でライフルをコントロールすることになる。
実際にトリガーを押し込んで撃ってみると物凄い破壊力だ。
標的の山間の木々の一区画が消滅してしまったのだった。
ただ実践では、運搬が難しいため、別途開発されるバトルモビルに搭載し固定となる
とのことであった。
重戦士3人のバトルはまだ続いている。
やはり想像していた通り、パワーでは一番勝るサイボーグのアンドレイが一番の恩恵を受けることになり、戦いに関してはジュリアと互角もしくはそれ以上になりそうな様子であった。
ガルシアもそもそもの体格による筋力と左腕がサイボーグなので彼もかなりの恩恵を受けている。
このバトルスーツの使い方としては、敵のバンカーまで辿り着くためのもので、
バンカーに到着したらスーツから素早く離脱し、バンカー内に通常人間用兵器を持って入ることになる。
ということは、その離脱の所要時間も重要なファクターにもなるのだ。
その役割に該当するのは、アンドレイ・サーシャ・ソフィア・ジュリアの4名だ。
そしてバンカー内部に詳しいアンドレイが先導し、最終的に敵の皇帝を仕留める計画なのだ。
これによって、ある程度この作戦の戦術確認ができることになった。
あとは、バンカー内部でのシミュレーションが残るのみだ。
アンドレイは、「このバトルスーツ最高だよ! なんで今までなかったんだろう?
これがあれば、僕もBAになれるよ!」と子供のように喜んでいる。
ジュリアも、「イメージしていたものと同じよ!田辺さん、ありがとう!」と感謝の握手をしていた。
ガルシアも、「長槍が長く取れるから物凄い数をやっつけられそうだわ。田辺さん、このスーツで乗って移動するものがあるんだよな?」
田辺部長が、「あるわよ。今開発中だけど、スケートボードにハンドルがついたスクーターがあるでしょ? 要はあれが大きくなって前方にシールドとパワードブラスターマシンガンを装備していると思ってもらえればいいのかな。」
するとガルシアが、「じゃ、田辺さん、ヨーロッパ中世の騎士が馬上で使っていたランス(騎槍)ってわかるか? あれがあると突撃にすごい効果があると思うんだが・・・」
アンドレイも「うん!わかるわかる。いいんじゃない!なるたけ時間をかけずにバンカーに到着したいから、それがあれば鬼に金棒だね!」と賛同した。
「なるほど! わかったわ。それも一緒に開発しましょう。」と追加装備の許可も下りたのだった。
まあ、新しいオモチャを試すような楽しい作業ではあったが、初めての操作のため全員体力を消耗しクタクタ状態にもなっていた。
日も暮れかけていたので、田辺部長の粋な計らいで今夜は湯沢から持ってきた豪華な料理にて楽しい宴会となった。
中央の草原に大きなタープを貼り、椅子とテーブルを設置しスーパーソニックジェットで調理した食事が運ばれてきた。ソフィア達6名と田辺チームの女性3名、そしてアキラ機長も加わり10名での大宴会となったのだ。
チームリーダーのソフィアが感謝の気持ちを込めて簡単に挨拶をした。
そして「今日はとことん飲みましょう!みんな盛り上がってね!!」と。
さてさて、田辺部長はサイボーグのアンドレイとサーシャに興味津々である。
席もこの兄妹の横に陣取っていた。まあ技術部門の研究者としては、これまで開発した経験のないサイボーグを目の前にして無理もない話である。
田辺の部下の若手女性研究員は、日頃ソフィアとも接しているので、ソフィアの隣に座って楽しく会話をしている。
そして、アキラは軍人同士ガルシアと気が合うらしくいきなり盛り上がりを見せていた。
そんな中またもや、ジュリアとイメルダがペアになっている。
隣同士や前に座っている仲間で話が弾み、酒を呑みながら久々の上等な食事を堪能して全員上機嫌だ。
ついにサーシャは田辺女史に捕まってしまった。アンドレイがその間を縫ってグラス片手にジュリアに歩み寄ってきた。
それに気づいたイメルダが、「あれ、アンドレイ!呑んでる??サーシャと居なくていいの?」とチャチャを入れている。
「いやー たまには君たちと話したいなって思ってさ。僕たち同じチームだからね。」
「しかし、君たちいつも仲いいよね!? 双子のソフィアとどっちが仲が良いのかな?」と酔った勢いで少しからかいながらジュリアに聞いた。
ジュリアが、「そうね、ソフィアは私の分身って感じで、イメルダは気持ちが通じるソウルフレンドよ。」とジュリアらしく率直に答えた。
「そうそう、君は彼氏がいるって言ってたよね?」とこの前は聞いてはいけない雰囲気だったので酒の勢いで聞いてしまおうと思ったらしい。あれから気になっていたようだ。
するとジュリアが、「そうよ。また会えるようにこの戦いには勝たないと。」とつぶやいた。
「こんなに強い君が選ぶ彼っていう存在が気になっちゃってさ。ヤボなこときいちゃったかな?」と頭を掻いて弁解しながら、さらに「その彼はどんな闘いをするんだい?」とあまり話に乗ってこないジュリアの反応を気にしながらも好きな男の戦いの話となれば話は別だろうと思ったのか切り込んできた。
またどこの男も同じよねと言う表情を浮かべて「彼は戦わないわ。」とボサっと答えた。
それを聞いてアンドレイが、「えっ?」という驚きの表情になって気が抜けて倒れそうになっている。
「私が戦わなくちゃならないときにレーザーガンでサポートしてくれるのよ。私は戦闘力で相手を選ばないから。」
とまたもや簡潔にスラっと答えた。
イメルダも入り「あの子いい子よね。かわいくて!ジュリアと息ぴったりだったわね!」と
ジュリアの異性に対する価値観はあなたが思っているようなことじゃないのよと言いたげに
付け加えたのだった。
「かわいい・・・えー そうなんだ!驚いたよ!てっきり私より弱い男とは付き合いませんよ!っていうスタンスなのかと思ってたから・・・」とアンドレイは予想していた答えが大きくバズれて本当に驚いたようである。
「彼とは北半球を3週間かけて一周したのよ。わたしのホバージェットで。楽しかったわ!」とあの時の思い出を噛み締めるように嬉しそうに言った。
アンドレイが、「その彼とは2人だけでの旅行だったのかい?」とさらに興味津々で聞いた。
「そうとも言えるけど、彼は少し特殊な能力をもった人で、日本政府からそもそもソフィアが護衛を頼まれたの。私達の間では、護衛は私の専門だからそれが回ってきたわけ。実はソフィアも彼に好意があったから、私は最初遠慮していたんだけど、途中一緒に戦ったり、冒険したりして、3週間も一緒に過ごしてお互い気が合うねってことになったのよね。」
イメルダが、「そうね。あの時のジュリアはほんと楽しそうだったわね?今彼はどうしてるのかしらね?」
イメルダがそう思うのは仕方がなかった。ヒデはあの時私達の世界からこのパラレルワールドに異世界越えしてきたわけだから、その異世界の扉が存在することは関係者のみぞ知るトップシークレットだからだ。ジュリアもさすがのソールフレンドにも話すことはできないのだった。
「私もわからないわ。毎日無事でいることを願うばかりよ。」とまた暗い表情に変わってしまった。
そうなら彼との思い出の空間にひたってもらおうと思いイメルダが、「私達と焚き火キャンプしたのも楽しかったわね!」と少し話題を変えてみた。
「そうね!あなた達カップルもそうだけど、一緒にいて気を遣わなくでいいし、それでいて気持ちが通じてるっていう相手はなかなかいそうでいないなって思うわ。今度イメルダ達も誘って行こうねって言ってたんだけど・・・アトランティスに行く途中で、かわいい小さな無人島があったのよ。ドーナツ型の島で、真ん中が白いビーチになっていて凄く綺麗でまるで夢の中に出てきそうな島なのよ。私達トロピカルリゾートみたいな空間が好きだから、子供みたいにはしゃいじゃってね…」とまたあの時を思い出して表情が暗くなりそうになったので、再度イメルダが話題を変えた。「それはそうと、今度はあんたの番よ!あなたの恋人はサーシャでしょ!私分かるわよ。別に兄妹愛はいけないとは思わないから正直に言ってもらっていいのよ。仲間には秘密はナシよ!」と言って正面からアンドレイの目を見て問い詰めたのだった。
「実は僕にもよくわからないんだ。サーシャは凄く慕ってくれるし可愛くていい子だと思うしね。僕らは帝国の階級的にはアッパークラスの貴族階級だったから、帝国の中では裕福な暮らしをしていたんだ。まあ、だから普通の兄妹とは違って、そんなに会ったり触れ合ったりすることもなかったんだよ。両親にも滅多に会えないし、メイドや執事とは毎日過ごしてはいるけど、サーシャとはほぼ別々に育ったんだ。同じ屋根の下には生活していたんだけどね。だから、恥ずかしながら、僕の国では妻になる女性は両親が決めることになるし、実際恋愛というものをした記憶もないんだよね。そう女性を好きになって愛するって言うごくごく普通なことをね。だから、ある意味可哀想なやつなんだよ僕たちは。」とイメルダが思っていたこととはまた違ってアンドレイの方も深い話になってしまった。
意外にもジュリアがそれに反応した。「その心境 私わかると思うわ。私もヒデに会うまでは異性を好きになることってなかったから、実際レズビアンなのかな?とも思っていたぐらいだから。」
イメルダが、「なるほど、あなた達も結構複雑なのね!でもサーシャは可愛くて上品で、それに強いし!凄く魅力的よね!境遇も同じなんだからいいんじゃないの?」とどちらとも言えない曖昧な表現でこの話題も終わらせようと思いながら、
「今日のあのバトルスーツどうだった?」という会話に持っていった。
ジュリアが、「私がイメージしたものと同じで嬉しかったわ!見た目もヨーロッパ中世のナイトみたいでクールで気に入ったわ。オールブラックっていうのが渋くていいわよね!」と男の子のように嬉しそうに語った。そうジュリアは女の子ではあるが、男のようにカッコいいものが大好きなのである。
アンドレイも、「今までありそうでなかったものだよね。あのスーパーナノパワージェルだっけ?あれは凄いものだね!帝国にはないものだよ。」と感心して相槌を打った。
イメルダが、「でも凄いものではあるけど、パワーが中に入る人間の体力に比例するから、私が一番不利よねー まあでも今回はスナイパー役が任務だからいいけどね。」
「帝国の兵器は基本的に小型無人戦車と人型ロボットそして人型が操縦するバトルロボットだから、このバトルスーツがあれば問題なく攻め込めるでしょ! 一番の問題はバトルロボットに搭載されたレーザー砲かな? あれは戦艦クラスの重兵器だから、それを食らったらどうなるかだね?だから僕の予想ではイメルダのレーザースナイパーライフルが逆に狙い撃ちされる可能性が高いと思うよ。」とアンドレイが経験値の中で予想した。
「なるほど、さっき言ってたバトルモビルとやらがどの程度のシールド機能を持っているかよね?今開発中だとか言ってたから、明日田辺部長に相談してみるわ。アンドレイ、役立つ情報有難う!」とイメルダが。
「それもそうだけど、真っ先に君がバトルロボットを狙い撃ちすればいい話なんだけどね!」と言って笑った。
このような実戦の話になるとジュリアも会話に加わってくる。
「帝国の小型戦車と人型ロボットは対戦経験があるからわかるけど、帝国のバトルロボットはどの程度のものなの?」と聞いてきた。
アンドレイが「そうだね。まず重戦車的な役割だから布陣としては最後部に配置されるね。
重いから動きは遅いよ。それも基本的には人型ロボットが操縦しているからね。たまにごく稀なんだけど、僕みたいに脳が電脳化された人間がいるんだ。わかりやすく言うと、僕らはサイボーグだから、自分の脳が直接この機械である義体に繋がっているよね!? それが人間の脳にチップが入れられて、そのチップが脳の動きを感知しロボットに信号を送ることができるパイロットがいるんだ。僕らもその一連の実験でサイボーグ化されたわけだけどね。」と軍の機密情報も話してくれた。
「だから、そのパイロットが操縦するロボットは巨体でありながら、動きが人並みに動くことができるんだが、その分直接そのパイロットに負荷がかかるから、なかなか実戦に対応できる人材が出てこないんだよ。いることにはいるらしいんだけどね。それと装甲が分厚い!それが一番のネックかな?」
イメルダが、「どのぐらいの大きさなの?それって」と、
「約6mってとこかな。ちょうどロボットの胸部のコックピットにパイロットが入るぐらいのイメージだね。もちろん我々みたいに武器を持って戦うことができるよ。」
ジュリアが、「なるほど、ロボットが操縦するバトルロボットは動きが遅いから、私達のラップアラウンドスーツで壊せるけど、その特殊人間が操縦した場合は、戦闘力が互角ってことね。」とまとめた。
「ただ、大きさはこっちが4mに対して6mだから相手の武器も長くなってくるわね。もっとバトルスーツに慣れて俊敏性を上げないと厳しいかもしれないわね・・・その特殊人間をなんて呼んだらいいんでしょう・・・サイボーグヒューマノイドなのかな?私はそいつがバンカーにいると感じるわ。」とシミュレーションしていた。
アンドレイが、「さすが、ジュリア!そう言うことになるよ。明日から訓練訓練!」と張り切って答えた。
「それと、我々2体ずつがペアで戦うフォーメーションだけど、このロボットには、パワードブラスターガンは効かないと思うから、そいつを発見した場合、我々重戦士3名の少なくとも2名で対処した方がいいかもね。相手の実力は未知数だからね。まずそいつを潰さないと、逆に我々の戦略ベースが潰されちゃうからね。」
ジュリアも、「そうよね!そうなるわね。その場合、ガルシアにも上がってきてもらって、逆にソフィアにイメルダの援護に回ってもらうのよ。」
イメルダが、「おっかな!問題はそのサイボーグヒューマノイドって奴らが何人いるかよね!?
何人もいたらやばいわねー」
「それは事前に確認したいところだね。サーシャと繋がっている情報屋がいるから探りを入れてもらうことにするよ。」
「アンドレイ、有難う!帝国の出方がイメージできなかったんだけど、今の話でなんとなくできるようになったわ!」とジュリアがアンドレイに向かって珍しくお礼を言った。
「なになに、お安いご用だよ。僕たちチームなんだから。」
と言う感じで、ジュリアとアンドレイの距離も縮まって行ったのだった。
ラップアラウンドスーツ(WAS )とは一種のボディーアーマーです。そのうちもっと大きな操縦ロボットタイプのバトルスーツも登場してきますよ!